AMDは、Ryzen AI 300 APUの新しいゲーミングベンチマークを公開し、FSR 3などのRadeonテクノロジーを使用することで、Lunar Lakeと比較して75%向上したと主張した。
AMD Ryzen AI 300とIntel Lunar Lakeのゲーミング対決、ネイティブ解像度では同程度のパフォーマンスだがFSR 3が大幅なブーストを実現
AMDとインテルの両社は、ノートパソコンや携帯ゲーム機などのモバイルゲーミングプラットフォーム向けに最新のSoCを発表した。
レッドチームからはRyzen AI 300 「Strix Point」が、ブルーチームからはCore Ultra 200V 「Lunar Lake」が発表された。
最近の話題は主にAI(NPU)とCPUサイドに集中していたが、AMDは今回、Ryzen AI 9 HX 370とCore Ultra 7 258Vを比較した初のゲーミング・ベンチマークを提供している。
最初のベンチマーク・セットは、一連のAAAゲームで両チップを比較したもので、AMDは平均75%の性能向上を主張している。
場合によっては、AMD Ryzen AI 300の性能アドバンテージは2倍にまで上昇し、これは素晴らしい向上だが、これらのベンチマークはStrix Point APUでFSR 3を有効にした状態で行われているのに対し、Lunar Lake CPUはXeSSテクノロジーを実行していることに注意してほしい。
前者は、インテルのXeSSでは利用できないフレームジェネレーションサポートを備えており、それゆえ、ゲーム性の向上はここでもかなり明白だ。
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以下は、テストしたタイトル(FSR 3/XeSS Enabled)における、Ryzen AI 9 HX 370のCore Ultra 7 258Vに対する平均パフォーマンス向上です:
- Ghost of Tsushima: +124.1%
- Baldur's Gate 3: +109.3%
- Call of Duty: Black Ops 6: +106.2%
- Forza Horizon 5: +98.5%
- Borderlands 3: +80.0%
- Hogwarts Legacy: +79.6%
- Assassin's Creed Mirage: +79.6%
- Cyberpunk 2077: +76%
- Doom Eternal: +75.7%
- Far Cry 6: +67.0%
- Tiny Tina's Wonderland: +65.7%
- Shadow of The Tomb Raider: +61.0%
- Dying Light 2: +60.7%
- F1 24: +55.6%
- Spiderman Remastered: +44.4%
- Hitman 3: +43.1%
次のベンチマークでは、AMDがFSR/XeSSテクノロジーを使用しない場合のネイティブ解像度と、これらのテクノロジーを完全に有効にした場合のパフォーマンスを比較しています。
ネイティブ解像度では、Intel Lunar Lake「Xe2」とAMD Strix「RDNA 3.5」の両iGPUが拮抗しており、一部のゲームではXe2が、その他のゲームではRDNA 3.5がリードしています。
この結果は、フレームジェネを使用すれば、Intel Xe2 iGPUはRDNA 3.5 iGPUと同様に、依然としてゲームに最適な選択肢であることを示していますが、FSR 3とHYPR-RXが提供するアドバンテージにより、Ryzen AI 300チップは、モバイルゲーム分野、特に携帯ゲーム機などのポータブルプラットフォームで勝利するための鍵となる、確実な改善を提供しています。
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AMDはまた、AFMF 2を活用することで、同様の確かな性能向上を実現できることも示している。
AMDのFSRとそのオープンな性質について最も優れている点は、Lunar Lakeチップ上のIntel Xe2 iGPUもこれらのテクノロジーを活用できることだ。
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AMDはまた、FSR 3フレームジェネレーションサポートが95以上のゲームで利用可能であること、FSRが現在415以上のタイトルで利用可能であること、1000以上のゲームがワンクリックでAFMF 2をサポートするようにチューニングできることを強調している。
一方、IntelのXeSSは約130のゲームでサポートされているが、同技術のフレーム生成サポートは提供されていない。
インテルiGPUは、AMDのFSR 3フレームジェンを活用してさらなるパフォーマンスを得ることができるが、AMDは強力なRyzen AI 300モビリティ・ラインでその選択肢を提供しており、外出中のゲーマーにとって強力なソリューションとなっている。
AMDがゲーミング・ベンチマークを公開してくれたことに感謝するとともに、新しいドライバーのアップデートにより、最新のAAAタイトルでさらなる性能向上が期待できる。
解説:
Lunar LakeよりRyzen AI 300のほうがゲーム性能がAAAゲームで倍高い
素のGPU性能は同程度だが、FSR3込みだとゲーム性能は最大倍になるそうです。
もちろんLunarlakeはXeSS込みです。
- NVIDIA DLSS アップスケーラー=AI、フレーム生成=AI
- AMD FSR3 アップスケーラー=非AI、フレーム生成=AI
- Intel XeSS アップスケーラー=AI、フレーム生成=無し
AMDは次期のFSRでアップスケーラーもAIになるといわれています。
Intelは2023年の12月あたりにExtraSSという名前のフレーム生成を実装中という話が出ていましたが、現在まで出ていません。
おそらく、Battlemageと同時にロンチするのではないかと思います。
この対応状況を見るとポストプロセスのアップスケーラーとフレーム生成に関してはNVIDIAが独走しているのがわかります。
FSR3とHyperRX+AFMF2はFSR3がゲームに実装されたもの、HyperRX+AFMF2はゲーム外(ドライバの拡張機能)からアップスケーラーとフレーム生成を対応させたもので基本的には同じものです。
HyperRX+AFMF2ははFSR3に対応していないゲームでも無理やりアップスケーラーとフレーム生成を対応させることができます。
さて、IntelもGPU性能が向上して、内臓GPU同士の比較ではAMDとほとんど差がつかなくなっています。
あとは、アップスケーラーやフレーム生成の性能や対応状況が左右するという状況になっています。
ゲーム動作のの安定性・信頼性もそうですが、アップスケーラーやフレーム生成は基本的に個別のゲームへの対応になりますから、どれだけ誠実に個別のゲームに向き合うのか?ということになります。
AMDはIntelよりも業歴が長いですから、個別のゲームに対応する方法やノウハウにも積み上げがあります。
その差がモロに出た結果といってよいでしょう。
実際のところ、著名ゲームStarfieldではIntel A700シリーズは動作対象外とされてしまいました。
こういったことはあってはならないことです。
AAAタイトル以上のゲームやAAAタイトルに準ずるゲームには自社のGPUに対応しなさそうならスポンサードしてでも対応させるのがセオリーと思いますが、ドライバの完成度やそうしたセオリーの積み上げがなかったのでしょう。
Battlemageからはようやくゲームにスポンサードするようですので、こういった状況は徐々に改善してくると思います。
それでもIntel ARCが利益を出せるようになるまでには長い道のりが待っているでしょう。
例えば、内臓GPUならばDDR5、dGPUならばGDDR6が現在主流ですが、メモリの帯域を生かす速度で性能は頭打ちになっていきますから、Intelがこなれた製品を出せたとしてもメモリ速度が最大許容する性能になるわけです。
ここまで来てようやく先行2社に追いつくわけですが、同じグレードの製品が同じ性能だったとしてもゲームの対応に不安があるIntelと実績のあるAMD、NVIDIAのGPU、どちらを選ぶでしょうか?
正確に言えばAMDよりNVIDIAの方がきちんと動くゲームは多いと思います。
聞いたことのないマイナーな過去のインディーズゲームだとRadeonでも動作に不安があるかもしれません。
しかし、その分安いです。
このように絶対的な積み上げてきた実績というものがありますので、Intelがその差を縮めるにはそれなりの時間がかかるということになります。
Battlemageかその次あたりからようやくスタートラインという感じではないでしょうか。
それでもまだまだ赤字を積み上げていくという感じになると思います。
よほどコストをかけて対応していかない限り、こうした比較ではやはりIntelは弱いかなと思います。
Intel GPU ARC Aシリーズ