コンシュマー向けCPUとしては初の32コア64スレッドCPUであるRyzen Thredripper2990WXを含むRyzen Thredripper2000シリーズの価格とスペックが判明しましたので、お知らせします。
モデルナンバー | コア数/ スレッド数 | ベースクロック | ブーストクロック | TDP | 価格 |
Threadripper 2990WX | 32C/64T | 3.0 GHz | 4.2 GHz | 250W | 1,799 USD |
Threadripper 2970WX | 24C/48T | 3.0 GHz | 4.2 GHz | 250W | 1,299 USD |
Threadripper 2950X | 16C/32T | 3.5 GHz | 4.4 GHz | 180W | 899 USD |
Threadripper 2920X | 12C/24T | 3.5 GHz | 4.3 GHz | 180W | 649 USD |
Threadripper 1950X | 16C/32T | 3.4 GHz | 4.0 GHz | 180W | 999 USD |
Threadripper 1920X | 12C/24T | 3.5 GHz | 4.0 GHz | 180W | 799 USD |
Threadripper 1900X | 8C/16T | 3.8 GHz | 4.0 GHz | 180W | 549 USD |
以前の記事で報告しました24コア48スレッドの2970Xも残念ながら250Wになってしまったようです。
参考記事:Ryzen Thread Ripper 2000シリーズに関する話
さらに2950Xも125Wではなく180wになってしまったようです。
恐らく型番にある末尾の「WX」が250Wを示しているのでしょう。
最下位のモデルは12コア24スレッドからで、世代が進むにつれ順当に進化していることが伺えます。
キャッシュの改良で数%程IPCが上がっていると言われているZen+コアですが、コア数の増加に伴い残念ながらベースクロックはダウンしてしまっているようです。
ターボクロックはアップしていますので、実用性は上がっていることを祈りましょう。
どちらにしても最下位のモデルでも10万円近くしますので、そうおいそれと簡単に買えるものではないでしょう。
ゲーミングPC向けとして考えるとどうか?
ゲーミングPC向けとして考えると最下位のThredripper2920Xでも十分でしょうね。
以前の記事でも書きましたが、CPUの設計としてはRyzenはマルチスレッド性能に極端に性能を振っているCPUで、Thredripperはその特徴を極限まで突き詰めたものです。
ですので、ゲーム向けとしてはあまり向いてません。
理想を言えば、もっとコア数を減らし、シングルスレッド性能に振ったほうがよいでしょう。
一応ThredripperおよびSocketTR4はゲーミング・クリエイターのエクストリームユーザー向けとされています。
AMDがゲーム・デスクトップ向け用途として出しているにも関わらず、Thredripperシリーズはなぜマルチスレッド性能を重視するか?ですが、昔はAMDも3DNowなどの拡張命令をintelと競ったこともあったのですが、こうしたソフトウェア周りは開発者へのケアも含めて企業としての規模の差がモロに出るところですので、FXシリーズの失敗などを経て市場に対する影響力というものを完全に失ってしまいました。
シングルスレッド性能というのはすでに頭打ちになっていて、AVX512のような拡張命令を追加するかクロックをあげるくらいしか伸ばす方法は無くなって久しいのですが、前者は今まで説明してきた通り、企業としての総合力が問われ、莫大な資金がかかること、後者は進んだ製造能力が必要とされます。
intelのFabは10nmでコケるまで世界最高の製造技術を誇っていました。
AMDにはどちらもありませんでしたので、マルチスレッド性能で勝負するというのはAMDの総合的な能力を考えても「正解」だったと思います。
普通にOSを動かしてオフィスやブラウザなど使う分にはすでにCPU性能は飽和していますので、トランジスタ数当たりの性能向上率が極端に落ちているシングルスレッド性能にフォーカスするよりも、単純に似たものを増やしていく方向性のマルチコア化の方が、「ある種の」性能は確実に伸びます。
そのため、コスト的な面でintelが消極的だったマルチコア性能にフォーカスせざるを得なかったのでしょう。
Ryzenの市場に与えたインパクトを見るとそれは正解だったように思います。
Ryzenのシングルスレッド性能が低いことに不満を持つユーザーも多いと思いますが、AMDという小さな企業が業界の巨人intelに対抗する戦略としては最適解の一つだったと思います。
ゲーム向けとしてはあまり向いているとはいいがたい方向性ですが、昔と比較するとOSレベルでマルチスレッド化に対する対応が進んできましたので、全くの無駄というわけではありません。
こうしたCPUの性能よりもPCI Express3.0のレーン数60というのがThredripperおよびSocketTR4の最大の利点だと思います。
4-Way SLiとNVMe RAID 0 X3同時使用してもレーン数が枯渇しないというのはかなりの利点です。
この点はintelの同セグメントプラットフォームであるLGA2066に1.36倍の差をつけており、明確に優れている部分です。
ゲーム向けとしてはマルチスレッド性能よりはこうしたプラットフォームの総合的なI/O性能が高いというのが一番のメリットでしょう。
中級以上のユーザーの方はこうした過去の経緯を踏まえて、Ryzenの特性も考えた上で自分に合っているのかどうかを判断してください。
※ 初心者の方はおとなしくintelを選ぶことをお勧めします。
ソース:videocardz.com - AMD Ryzen Threadripper 2990WX, 2970WX, 2950X and 2920X specs and pricing leaked