遂に、満を持して激安SSD界の王に挑む
さて、みなさん。お待ちかね。
ローエンドSSD界に燦然と輝くレジェンド、激安SSDの王、SUNEAST製品を検証していきます。
いきなりSUNEASTでもよかったのですが、やはり、私のような木っ端レビュワーが王に挑むには経験を積まなくてはなりません。
そのため、今まで無名メーカーの三製品をレビューして経験値を稼いできたと言ってもよいです。
激安SSDに興味の無い人はSUNEASTと聞くと、ああ、アレねとひとまとめにしてしまうかもしれません。
しかし、SUNEASTには既にNVMe SSDでも複数のモデルがあり、今回レビューするのは一番安いモデルになります。
トップモデルはなんと、7000MB/s越えのPS5対応モデルもあります。
SUNEASTは常に進化し続けているのです。
知らなかった人は反省してください。(?)
さて、前説はこのくらいにして、SUNEASTについて解説していきましょう。
SUNEAST SE900NVG3-256G NVMe SSD製品ページ
SUNEASTはブランド名で正式名称は株式会社旭東エレクトロニクスです。
パッケージ裏には発売元となっていますのでメーカーと言う扱いだと思いますが、特に自社Fabを持っているわけではないと思います。
会社案内には
設立 2017年8月
資本金 3000万円
従業員数 13名
このようにあります。かなり若い会社で資本金も3000万円、従業員数は13名です。
初代Ryzenが発売されたころに設立された会社と言うことになります。
そのため、OEMのように中国当たりのFabに生産を委託しているのでしょう。
この人数で自社Fabを抱えているのはちょっとありえません。
自社では企画やサポートなどを行っているのでしょう。
今回検証する製品
剥がすとわかる封印シール
製品は透明なブリスターに入っています。
ラベルが貼ってある面が取り付けたときに下側になります。
ヒートシンクやよくある熱伝導シールなどは何もなく、チップが剥き出しです。こちらが取付時上側になります。
MXIO MAP 1202が見えます。
M.2スロット取付時に固定するネジが1個付属しているほかには何も付属品はありません。コストダウンの為か説明書などは一切付いてません。
「ネジは入っていない」とわざわざ箱に書いてあるにも関わらず、M.2固定用のネジが1個入っていて驚きました。
ネジの他は何もなく、箱とブリスターのみです。
ではスペックを見ていきましょう。
今回検証するSUNEAST SE900NVG3-256Gはネット専売モデルです。
容量 | 256GB | 512GB | 1TB | 2TB |
インターフェース | NVMe PCIe Gen3 x4 | NVMe PCIe Gen3 x4 | NVMe PCIe Gen3 x4 | NVMe PCIe Gen3 x4 |
サイズ | 22*13*1.3(mm) | |||
最大読込速度 | 3200MB/s | 3500MB/s | 3200MB/s (2500MB/s) | 3500MB/s |
最大書込速度 | 1200MB/s | 1800MB/s | 2800MB/s (1800MB/s) | 2800MB/s |
NAND Type | 3D NAND TLC | 3D NAND TLC | 3D NAND TLC | 3D NAND TLC |
TBW | 112TBW | 224TBW | 448TBW | 896TBW |
保証期間 | 3年 |
※ 上の表の容量の部分をクリックすると新しいウィンドウ・タブで製品の詳細が表示されます。
スペックを見ると、まあまあの速度が出ていますが、TBWを見ると、普通のメーカーの半分程度しかありません。
TLCだとものにもよりますが、1GB当りおおよそ1TBくらいのTBWになりますので、256GBで112TBWしかないのはちょっと少ないです。
QLCを採用しているのだと思っていました・・・が後述しますが違いました。
公式HPとパッケージ裏の製品寸法が違っているのですが、公式HPの厚さが3.58mmはM.2規格のSSDではあり得ないので単純な記載ミスだと思います。
基盤は片面実装で、チップが付いている面にはヒートシンク・シールなど何も貼られていませんのでチップが剥き出しでした。
コントローラーはMAXIO MAP1202が確認できます。
フラッシュはチップを見る限りではYMTCのようでした。
MAXIO MAP1202だと割と性能は期待できると思います。
そして、DRAMレス(HMB)確定ですね。
いつも通り、Flash_idをかけて確認していきましょう。
Controller : MAP1202
フラッシュセル:YMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/die
DRAMキャッシュ:無し(HMBで16MBを確保)
でした。
TBWの少なさからてっきりQLCだと思ったのですが、128層のTLCだったようです。
いつも通り、flash_idのログは記事の一番後ろに張り付けておきます。
フォーマット後の容量は238GBでした。
検証環境
- CPU:Intel Core i7-13700K
- CPUクーラー:サイズ Big shuriken3 RGB
- マザーボード:Asrock Z690M-ITX/ax
- SSD:M2_2(チップセット側) AGI NVMe Gen3(システムドライブ)
- M2_1(CPU側) SUNEAST SE900NVG3-256G SSD 256GB(今回レビューするSSD)
- 電源:Corsair SFX 750W電源 SF-750
- メモリ:Patriot Viper DDR4-3000 OCメモリ8GB*2=16GB
- ケース:QDIY 0040-*PCJMK6-ITX(テストベンチ)
- OS:Windows11 22H2(最新Windows Update適用済)
注意してほしいのはテストベンチなので、当然オープンエアと言うことになります。
普通のケース(特にMini-ITX)よりはかなり冷却に関する条件が良いのでそれを差し引いてみてください。
今回から、SSDのヒートシンクはマザーボード付属のものではなく、単体売りしている製品を使っています。
理由はツイートしましたが、マザーボードに付属のものは2枚をいっぺんに冷やす一体型になっており、一方が爆熱だとシステムドライブの調子がおかしくなるからです。
使ったのは上の製品です。色は赤と黒があります。
Crystal Disk Info 8の結果
ストレージのSmart情報を表示する定番ソフトCrystal Disk Info 8の結果です。
初回使用時の電源投入回数は3回でした。
中華SSDあるあるの最初から電源投入回数が刻まれているという現象です。
アンセーフシャットダウンも何故か3回です。
Crystal Disk Mark8の結果
SSD/HDDのベンチマークの定番であるCrystalDiskMark8の結果です。
CrystalDiskMark8は各テストを5回計測し、一番数字が良かったものを表示ます。
ストレージの最高の状態の性能を測定するベンチマークです。
テストは1/8//64GiBで行いましたが、64GiBでは結果が落ちる現象がみられました。
256GBと容量が小さいので仕方ないのかもしれません。
スペックではリード3200MB/s、ライト1200MB/sとなっています。
少しリードは速いですが、概ね公称スペック通りと言ってもよいでしょう。
同じコントローラーのFanxiang S500Pro 256GBと比較するとほぼ同じ数値となっています。
コントローラーの癖が出ていると言ってよいでしょう。
SSDの真の性能と言ってもよいランダム性能です。
リード119K IOPS、ライト244K IOPSですね。
こちらもFanxiang S500Pro 256GBと近い数字が並んでおり、MAXIO MAP1202の特性がそのまま出ているようです。
ATTOベンチマーク
SSDの各ブロックサイズにおける速度を測定するベンチマークです。
QD1
QD4
4Kから2Mまでの数値をグラフ化したもの
AS SSD ベンチマーク
SSD専用のベンチマークソフトであるAS SSDベンチマークでも測定してみた。
空き容量が少なくなってきたら、どのように速度が変化するか?
最新のSSDはフラッシュメモリセルをSLC化してキャッシュにし、速度が低下しないようになっている。
今回は残り容量64GBまで減らし、32GBのファイルをコピーしてみた。
※ C:ドライブのPCIe Gen3x4 256GBのSSDからコピー
準備として、約174GBほどのファイルを作成し、USB 2.5'HDDからコピー
2.17GB/sほどで安定的にコピーが進んだ。
残り容量64GBで32GBのファイルを(C:)ドライブのNVMe SSDからコピー
キャッシュが切れたのか一度速度が落ちたが、後は2.19GB/sほどでコピーが完了した。
Fanxiang S500Proと同じように特に極度に速度が落ちることなる大きなファイルもコピーできた。
巨大な動画ファイルなどをコピーしても特に遅いと感じることは無いでしょう。
温度:
Crystal Disk Mark8をテストデータ8GiB、テスト回数8で実行。
5秒更新、終了後10秒間まで温度を監視した。
テストスタート時40度。テスト終了後、数秒経ってから43度に温度が上昇しました。
ローエンドSSDだけあってあまり発熱しないSSDと判断してよいでしょう。
総評:
性能は特に見るべきところは無いが・・・
価格が安い256GBにおいてはそれほど他製品と気になるだけの価格差は付いていませんが、ラインナップの大容量モデルに関してはずば抜けて安価で、非常に製品としての魅力が高いです。
Gen3のNVMe SSDは今となってはローエンドに位置し、性能にこだわるような製品ではなくなったため、トップレベルの性能がなかったとしてもこの製品に魅力を感じる人は多いでしょう。
他社製品と比較して、TBWが半分ほどと確かに気になるところは多いです。
しかし、そう言ったところを犠牲にして、価格と言うファクターを1点突破で強化している製品と考えればかなり納得感があります。
通常の仕様だけでなく、巨大なファイルのコピーや、容量の少なくなった時の速度の低下なども特になく、目立った欠点がなくそつなくまとまっているのも見事だと思います。
この製品の評価は「価格」と言うものをどう考えているかですべてが決まると思います。
安価であるということに一番の価値を感じているならば、非常に有用な製品と言えるでしょう。
そうでなければ、性能の良い他製品を購入したほうが良いと思います。
個人的には、このクラスにおける価格の重要性をよく理解している製品だと思いますし、非常に高く評価しています。
耐久性や初期不良率に関しては不明ですので、それは抜きにした評価です。
しかし、ネットでも多くの人が購入していますので、特に他社のローエンド製品と比較して極端に悪いということは無いと思います。
今回のレビュー品256GB
512GB版はこちら
1TB版はこちら
2TB版はこちら
オマケ:
maxio_nvme_fid.exeのログ
maxio_nvme_fid.txt
v0.32a
OS: 10.0 build 22621
Drive : 0(NVME)
Scsi : 1
Driver : W10
Model : SUNEAST SE900NVG3 256G
Fw : SN10096
HMB : 16384 - 16384 KB (Enabled, 16 M)
Size : 244198 MB [256.1 GB]
LBA Size: 512
AdminCmd: 0x00 0x01 0x02 0x04 0x05 0x06 0x08 0x09 0x0A 0x0C 0x10 0x11 0x14 0x80 0x84 0xC1 0xC2
I/O Cmd : 0x00 0x04 0x08 0x09
Firmware id string[1C0] : MKSSD_501003000100930000,Sep 29 2022,12:29:31,MAP1202,MRRHCDDC
Project id string[180] : r:/00_release/2_Release_10093/Release_Brance_10093
Controller : MAP1202
NAND string : CYAxxTE1B1xC3B
NAND MaxPE cycles : 3000
NAND Freq : 1600
Channel number : 4
CE number : 1
Total bank : 4
Flash type : TLC
Blocks/CE : 1980
Pages/Block : 2304
Page size : 16
Planes(?) : 4
Die/CE : 1
Ch0CE0: 0x9b,0xc4,0x28,0x49,0x20,0x0,0x0 - YMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/die
Ch1CE0: 0x9b,0xc4,0x28,0x49,0x20,0x0,0x0 - YMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/die
Ch2CE0: 0x9b,0xc4,0x28,0x49,0x20,0x0,0x0 - YMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/die
Ch3CE0: 0x9b,0xc4,0x28,0x49,0x20,0x0,0x0 - YMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/die
maxio_nvme_id_smart.txt
-------- NVME SMART --------
0 Critical Warning : 0
1 Composite Temperature : 41
2 Available Spare : 100
3 Available Spare Threshold : 1
4 Percentage Used : 0
5 Data Units Read,MB : 574987
6 Data Units Written,MB : 351045
7 Host Read Commands : 12608752
8 Host Write Commands : 18673639
9 Controller Busy Time : 12
10 Power Cycles : 3
11 Power On Hours : 1
12 Unsafe Shutdowns : 3
13 Media and Data Integrity Errors : 0
14 Number of Error Information Log Entries : 4
15 Warning Composite Temperature Time : 0
16 Critical Composite Temperature Time : 0
17 Temperature Sensor 0 : 41
18 Temperature Sensor 1 : 47
25 Thermal Management Temp 1 Transition Count : 0
26 Thermal Management Temp 2 Transition Count : 0
27 Total Time For Thermal Management Temp 1 : 0
28 Total Time For Thermal Management Temp 2 : 0
-------- ATA-style ExtSMART --------
id Description val raw
009 Power-on Hours Count 0 1 (000000000001)
012 Power Cycle Count 0 3 (000000000003)
167 SSD Protect Mode 0 0 (000000000000)
168 PHY Error Count 0 23130 (000000005A5A)
169 Bad Block Count 97 0/ 42/ 1 (0000002A0001)
171 Program Fail Count 0 0 (000000000000)
172 Erase Fail Count 0 0 (000000000000)
173 Erase Count 0 2/ 8/ 4 (000200080004)
175 Bad Cluster Table Count 100 0 (000000000000)
192 Unexpected Power Loss Count 0 3 (000000000003)
194 Controller Temperature,C 1 41 (00000000013A)
231 SSD Life Left 100 0 (000000000000)
241 Total LBA written,MB 0 351045306 (00002ADA2A73)
242 Total LBA read,MB 0 574987120 (0000463058F5)
243 Nand Temperature,C 0 47 (00000000002F)
-------- ExtSMART --------
Write? : 39316224
Read? : 86553
Unk1 : 0
Unk2 : 0
Unk3 : 0
AvePE : 4
MaxPE : 8
MinPE : 2
AvePE SLC : 13
MaxPE SLC : 17
MinPE SLC : 2
Unk7 : 0
Bad Block Count?: 1
Bad Block Count?: 42
Bad Block Count?: 0
SSD Life Left? : 100