この8/13にも発売されると言われるRyzen Thread Ripper 2000シリーズに関して概要が飛び込んできました。
モデル | コア数 /スレッド数 | ベースクロック | Boost クロック | XFRクロック | TDP |
Threadripper 2990WX | 32C/64T | 3.4 GHz | 4.1 GHz | ? | 250W |
Threadripper 2970WX | 24C/48T | 3.5 GHz | ? | ? | 180W |
Threadripper 2950X | 16C/32T | 3.1 GHz | ? | ? | 125W |
Threadripper 1950X | 16C/32T | 3.4 GHz | 4.0 GHz | 4.2 GHz | 180W |
Threadripper 1920X | 12C/24T | 3.5 GHz | 4.0 GHz | 4.2 GHz | 180W |
Threadripper 1900X | 8C/16T | 3.8 GHz | 4.0 GHz | 4.2 GHz | 180W |
このようになっています。
上の表では参考として現行のSocketTR4の製品ラインである、Ryzen Thread Ripper 1000シリーズも載せてあります。
ここで気になるのは当サイトの記事でもたびたび話に上ったRyzen Thread Ripper 2990Xについてです。
私の予測では当初はRyzen Thread Ripper 2990Xは発売する予定ではなかったんじゃないかと思います。
TDP250Wということは1.5倍の法則が有効なら実際の消費電力は375Wにも上るわけで、あまり実用性が無いと言わざるを得ません。
まあ、こういうCPUを買うような人は普通じゃない人(誉め言葉です)ばかりなので、実用性があるかどうかは関係ないのでしょうが・・・。
恐らく、去年の段階ではRyzen Thread Ripper 2990Xはなかったんじゃないかと思います。
AMDの製品マスターリストの中には少なくとも記述が無かったので、去年の末から今年の頭くらいにかけて発売が決定したんじゃないでしょうか。
上の参考記事によると当初の予定されていたモデルは
- Threadripper 2900X – 8 cores / 16 threads (YD290XA8U8QAF)
- Threadripper 2920X – 12 cores / 24 threads (YD292XA8UC9AF)
- Threadripper 2950X – 16 cores / 32 threads (YD295XA8UGAAF)
この3モデルだったことがわかります。
既に製品コードがついていたのですから、恐らく当初はこの3モデルで行く予定だったのでしょう。
現在のSocketAM4のとのバランスを見てもこの製品ラインが適正だったように思います。
しかし、打倒intelの旗頭の元、急遽無理して2990Xを発売することが決定したのだと思います。
Ryzen Thread Ripper 2990Xは発売前からかなり話題になっていますので、AMDのこの目論見は正しかったと思います。
今回の情報を見て感じたこと。
正直、Ryzen Thread Ripper 2990Xはかなり無理してるなあと思います。
第一世代Ryzen Thread Ripperの最高性能モデル1950XがTDP180Wで今回発売される第二世代Ryzen Thread Ripperの中でTDPが180Wの範囲に収まっているのが、Ryzen Thread Ripper 2970Xですので、おそらく、AMDが当初製品として成立させるというバランス(SocketTR4という製品ラインの中で最も使いやすくて高性能というバランス)の中での最高性能はRyzen Thread Ripper 2970Xの24コア48スレッドなんだと思います。
Ryzen Thread Ripper 2990Xはライバルとの競争に打ち勝つためにバランスを無視して無理やり作られた製品なのでしょう。
※ この決定を契機としてSocketAM4の16コア32スレッド製品発売にも方向が向いたように感じます。まだ発表されてませんので断言はできませんし、疑問視もされていましたが、おそらくSocketAM4に16コア32スレッドが降りてくるものと思います。
SocketTR4の適正な最大TDPが180Wとするならば、その適正値に収まる形での真の32コア64スレッドCPUの発売はRyzen Thread Ripper 3000シリーズを待たなければならないのかもしれません。
今回、16コア32スレッドのRyzen Threadripper 2950XもTDP125Wですので、空冷で行くならこちらもなかなかよい選択だと思います。
しかし、どっちにしてもあまり安い製品ラインではないので、どうせ買うなら最高性能ということで、多くの人がThreadripper 2990Xを求めるのでしょう。
個人的にはSocketTR4やLGA2066の最大の利点ははコア数の増加ではなく、PCI Expressレーン数の増加だと思うので、購入を検討されている方はプロセスの進化と性能のバランスを冷静に見極めて判断したほうがいいんじゃないでしょうか。
ベンチマークテストで性能競争することや、最高性能を求めるお祭り騒ぎに参加したい人はともかくとして、実用性を求めるならば何が自分に一番向いているのか、今回の発売を機会にワークステーション向けの製品ラインの購入を検討されている方は少し考えてみてはいかがでしょうか。
ゲーミングマシンの頭脳としてはどうなのか?
結論から先に書きます。ぶっちゃけ向いてないです。
TimeSpyのExtreme CPU Testも32論理コアまでしか対応しておらず、急速にマルチコア化するハードの進化にソフトが全く追い付いてません。
ベンチマークですらもこの有様ですから、発売されているゲームは何をいわんやです。
ちょっと前のゲームなら、起動時にコア数を制限しないと起動しない可能性すらもあります。
RyzenのZen+コアはそれほどシングルスレッド性能が高いわけではありませんし、マルチスレッド性能に極端に振っているCPUですのでマルチスレッド性能がオーバースペックすぎです。
同じ未発売の新製品ならば、Core i9 9900Kの方がよいでしょう。値段も安いし。
ゲーミングマシンのCPUとして見るとRyzen Thread Ripper 2990Xは消費電力375-500W程度、GTX1080TiのSLiとの組み合わせを考えると
375-500W(CPU)+250W(GPU)×2=875W-1000W
にも上り、あまり使いやすいとは言えない消費電力になります。
GPUの方は(少なくとも現行のGTX1080Tiは)かなり省電力機構が働いていますので、常にピーク性能を求めるような使い方をしない限りはこんな馬鹿げた消費電力を要求される場面はそう多くないと思います。
しかし、状況によってはこれだけの消費電力を使いますので、Titanium電源は必須でしょう。
ある程度のマージンを取ることを考えてもかなりの大容量・高性能電源が要求されるとみてよいでしょう。
CPUが20万円程度であることを考えてもSLi前提ならばCPU・GPU・メモリ・電源・マザーボードなどの基幹パーツだけで、軽く50万円越えコースになります。
SLiなしでも40万円は超えるでしょう。
購入を検討されている方は覚悟しておきましょう。
ただ、用途によってはこの値段でECCメモリ対応の32コア64スレッドCPUが手に入るのはバーゲンセールでしょう。
あまりお買い得すぎて何かあるのか疑われるレベルです。先日の記事でも書きましたが、28コア56スレッドのXeon Plutinum 8180が120万円です。
お値段たったの1/6ですので、血相変えて求める人が出てもおかしくないレベルではあります。
しかし、一般人向けとしてはあまりに尖り過ぎた1点突破すぎる製品であり、Ryzen Thread Ripper 2990Xは史上初のコンシュマー向け32コア64スレッドCPUにロマンを感じる人向けの製品です。
ここまで読者さんに冷静になるように呼び掛けてなんですが、管理人はやはりロマンを感じる方です。
買えませんけどね。
ソース:videocardz.com - AMD Ryzen Threadripper 2990WX CPU-Z screenshot leaks out