中国のGPUメーカーであるMoores Threadsは、最近、汎用コンピューティング向けに設計されたMTT S80グラフィックスカードを発表しました。
この特定のGPUの焦点はゲームではないが、中国国内セグメントにおける強力なゲームおよびAIグラフィックス開発の足がかりとなるものだ。
世界初の中国製PCIe Gen 5 GPUは確かにCrysisを実行できる、複数のゲームを実行するMTT S80を展示
このグラフィックカードは中国国外では発売されず、唯一レビューを投稿した媒体もゲーミングベンチマークなど詳細を深く掘り下げてはいなかった。
今回、Twitter仲間のLöschzwerg氏(@Loeschzwerg_3DC on Twitter)が、MTT S80 GPUの各種ベンチマークとゲーミングテストを投稿し、Crysisが本当に動作することを確認しました。
このユーザーは、2月1日にMTT S80 GPUを受け取り、IntelのCore i5-10400 CPUとB560M-HDVマザーボードを搭載したテストシステムに搭載しています。
このカードは、8ピンコネクタ(EPS 12V)1個で起動するのが特徴です。
Moore Threads MTT S80は、純粋にゲーマーに焦点を当てた製品です。
4096個のMUSAストリーミングコアを搭載し、1.8GHzで動作し、ユーザーに14.4TFLOPsの計算性能を提供します。
ゲーミングが中心ですが、このグラフィックスカードは3DレンダリングやAI処理にも利用可能です。
Löschzwerg氏は、オリジナルのCrysisゲームがMoore Threads MTT S80グラフィックスカードとDirectX 9(D3D9)を使ってプレイされているとツイートしたが、それは "今のところ "に過ぎないと指摘もしている。
Crysisがこれほどまでにグラフィックの激しいゲームであり、最も注目されているゲームの1つであることから、このコメントが出された理由も理解できます。
https://twitter.com/Loeschzwerg_3DC/status/1621573247383773184?ref_src=twsrc%5Etfw
このカードが発売されたとき、主に中国市場で見られる60のゲームにしか対応しておらず、そのうちのいくつかはグラフィックを重視したものではありません。
最近のあるベンチマークではLeague of Legendsをテストしましたが、同社が宣伝した他のいくつかのレーベルは、Risk of Rain、Dead Cellsなど、数年前のものです。
MTT S80グラフィックカードのベンチマークに3DMark03を使用しています。
Intel Arc A770 GPUと比較すると、グラフィックカードの性能は35~64%未満であった。
Intel Arc A770は16GBのVRAMを利用し、MTT S80 GPUよりも新しい技術を採用しているので、Intelのグラフィックカードが優れていたのは当然といえば当然だ。
ベンチマークソフトに3DMark03を使用したのは、MTT S80に使われている技術に対応しているためだ。
特定のベンチマークは、ゲーム、特に新しいタイトルには使われない。
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Moore Threadsの開発者は、今日の技術の進歩におけるより多くのサポートと、より充実したゲームタイトルのライブラリに向けて取り組んでいます。
そのプロセスは大企業ほど速くはありませんが、できるだけ早く改善するように努めています。
最新のグラフィックドライバであるバージョン200.2は、グラフィックカードの発売から3ヵ月後にリリースされました。
レビュアーやユーザーに解る最も重大な問題は、アイドル時の電力消費です。
中国のレビュアーやLöschzwergは、消費電力レベルが約110Wであり、これはグラフィックスカード発売当初から変わってないことに言及しています。
もう一度言うが、これは足がかりに過ぎず、中国のGPUメーカーがNVIDIA、AMD、Intelなどの有名なGPUベンダーに追いつくには長い道のりがあるが、MTTシリーズは良いスタート切った。
ソース:wccftech - It Can Run Crysis! Chinese MTT S80, The Only PCIe Gen 5 GPU, Runs DX9 & DX10 Games Well
解説:
中国企業Moores Threadsの一般消費者向けGPU、MTT S80のベンチマーク結果がリークしています。
世界で唯一のGen5対応GPUと言う触れ込みですが、性能は決して高いとは言えないARC A770の-64%です。
またベンチマークも3DMark03や06と言った非常に古いものばかりで、最新のゲームにはほぼ使い物にならないのかもしれません。
それでも記事内では非常に高く評価されています。
恐らく、皮肉ではないと思います。
※ 皮肉だったらごめんなさい。
アメリカ以外の企業で今からGPU製品に参入すればこの程度でしょう。
性能はRTX3070/Ti相当に過ぎませんでしたが、IntelのARC A770が如何に人智を超えた離れ業なのかよくわかるのではないかと思います。
これでも全く経験のない企業の製品としては「良いスタートを切った」と評価されるほどの世界と言うことです。
このようなどうにもならないレベルの製品を出しても許される(買ってくれる)市場があるのが一番すごいところなのかもしれません。
中国はアメリカに半導体製造関連の制裁を受けてから、総て自前で製造しようとしてもがいています。
CPUはRISC-Vで行くのでしょう。
GPUは自前で全部作ることを選んだようです。
このMTT S80は「良いスタートを切った」と評価されていますが、最新のプロセスが使えない中国で後に続く製品が出せるのかどうかは私は疑問です。
何度も何度も書いていますが、同じ回路を並列に動作させて性能を稼ぐ仕組みのGPUで一番性能を左右するのが、「最新のプロセスを使えるか使えないか」だからです。
いつまでも数世代前の製品を政府や役所が買い上げるわけにはいかないでしょう。
最新のプロセスが使えない限りこの問題は解決しないわけですが、普通の方法ではこの問題を解決できないと思います。
さて・・・・どうするのでしょうか。