プロセッサーなどの半導体デバイスの設計・開発を専門とするHuaweiの子会社HiSiliconが、本日大きな発表を行いました。
少し前に、米国政府はHuaweiが米国製の技術を一切使用できないようにブラックリストに載せました。
これにより、Armアーキテクチャー(ISA)をベースにしたプロセッサを開発しようとしていたHiSilicon社は、米国の制裁が適用されたため、実質的に役に立たなくなってしまった。
そのため、同社は代替技術に頼らざるを得なかったのです。
本日、HiSilicon社は、RISC-Vアーキテクチャを採用した新しいHiSilicon Hi3861開発ボードを発表しました。
RISC-Vは、あらゆる種類のワークロード向けに設計されたフリーでオープンソースのISAであり、これはファーウェイのシリコン独立への重要な一歩となります。
HiSilicon社の「Hi3861」開発ボードは、低消費電力の「Hi3861」チップを搭載していますが、RISC-Vデザインの構築は同社にとって初めての試みです。
最大動作周波数160MHzの高性能32ビットマイクロプロセッサ」を搭載しています。
これは、従来のHiSilicon製品と比較すると非常に淡白に聞こえるかもしれませんが、このチップは、あまり処理能力を必要としないIoTアプリケーションに使用されます。
より優れた処理能力を必要とするタスクに対しては、HiSilicon社はきっとより強力な設計を開発するでしょう。
これは、ファーウェイのHiSiliconがArm ISAから離れて、別のISAの設計・開発に踏み込んだ重要な出発点を示しているに過ぎません。
今回のRISC-Vでは、米国政府はISAをコントロールできず、誰でも自由に使うことができ、ライセンスコストもかからないというメリットがあります。
この新しいISAを使って、HiSilicon社がどのような製品を発表していくのか、注目していきたいと思います。
ソース:techpowerup - HiSilicon Develops RISC-V Processor to Move Away from Arm Restrictions
解説:
しぶといファーウェイ
かつての日米半導体協定で日本の半導体産業は没落していきましたが、中国はなかなかしぶといです。
シャオミの制裁も解除されてバイデン政権になってからやはり中国に甘くなっています。
ファーウェイはARMからRISC-Vに移行するようですが、アメリカ企業の半導体設計ソフトを使わずにどこまで出来るんでしょうか。
シリコン独立と言う表現がありますが、アメリカの制裁はARMの設計だけではなく、設計ツールなど周辺の技術にまで及んでいるはずなのですが、ここまで来てもまだあきらめてないというあきらめの悪さには関心します。
RICS-Vの話題を出したとき、ARMと同じレベルになるのは10年以上かかると言われていましたが、この試みがうまくいけば案外早く実用レベルになるかもしれません。
中国企業は警戒すべきだと思いますが、個人的にはRISC-Vには未来を感じるので複雑な気分です。