ネット環境はゲームにとって非常に重要な要素となります。
ネットワーク環境に遅延が大きいと、MMOや対戦型のFPSなどで快適にプレイできなくなります。
※ シングルプレイゲームにおいてはあまり関係ありません。
FPSなどで敵を発見する前に殺されたり、MMOなどでほかのプレイヤーが突然消えたり何度も同じ位置を移動したり瞬間移動したりしてるように見えるのはネットワークの遅延が原因です。
ネットワークと伝送品質
私のサイト内では品質や信頼性について繰り返し繰り返し重要性を述べていますが、ネットワークに関しては品質は非常に重要になります。
一般的に使われているインターネット回線は固定の光回線、CATV回線、モバイル回線でしょう。
そして自宅内のLANは有線LANと無線LANがあると思います。
このうち、品質の高いものから順に並べると
インターネット回線 光回線>>CATV回線>>モバイル回線
となります。しかし、インターネット回線に関しては住んでいる場所の都合で変更できないことがありますので、どうにもならない可能性もありますが、できる限り光回線を契約しましょう。
自宅内のLANに関しては
有線LAN>>>無線LAN
となります。できるだけ無線LANは使わないようにした方がよいでしょう。
理由は後で説明します。
ネットワークとping
ネットワークにはきちんと通信できるかどうか、どのくらいの時間がかかるのかを測定するためにICMPというパケットが用意されています。
pingを打つとこのICMPパケットが送信されて、対象のホストとの通信にどのくらい時間がかかるのか測定できます。
残念ながら管理人にはCATV回線の環境はありませんので、モバイル回線と光回線で比較してみました。
宛先ホスト yahoo.co.jp[182.22.59.229]
Flet's光[ocn光] 最小30ms 最大38ms 平均34ms
モバイル回線[docomo MVNO 4G回線] 最小105ms 最大199ms 平均152ms
となりました。
単位のmsはミリセカンドで1ms=1/1000秒です
モバイル回線の方がかなり遅いのがわかるのではないかと思います。
同様に有線LANと無線LANについても調査してみようと思ったのですが、管理人の環境だと周辺の無線ルーターが多すぎて無線アクセスポイントが認識しなかったため調査できませんでした。
これに関しては後述します。
ping値はインターネットにおいて唯一物理的な距離を感じさせる要因です。
通信経路の回線品質にも影響されますが、基本的に物理的な距離が離れていると比例してping値が大きくなります。
ping値はゲームにおいては一般に100ms以内に収めるようにするのが理想で、それ以上になると様々な弊害が出てきます。
無線通信の伝送品質
有線と比較すると無線はなぜこんなにスピードが遅くなるのでしょうか?
無線通信にはノイズなどの事情で頻繁にパケットロスが起きたり、基地局の能力を超える多数のホストが通信することによって回線が遅くなったりなど、ネットワークの伝送品質を下げる要素が非常に多くなっています。
パケットロスが起きると通信のやり直しになりますので当然遅くなりますし、基地局の能力を超えると1ホスト当たりの通信能力が落ちて、これも遅延の原因となります。
目には見えないだけに厄介ですが、無線通信には通信を邪魔する要素がたくさんあるため、パケットがきちんと届いたかどうか、届いたパケットが正しいかどうかを確認する仕組みがあり、そのデータをパケット内に持っているため、データ送信の効率もネットワークの速度も有線の回線に劣ります。
4G/LTEで最大150Mbpsなどと言っても額面通りのスピードが出ないのはこのような要因も影響しています。
ちなみにこの仕組みは無線通信のハードに近い側で持っているためpingの損失としては表示されません。その代わりping値が大きくなります。
この辺をあまり詳しく説明しても意味がありませんので、エラー検出・エラー訂正に関して使われている技術の説明を一例として挙げておきます。
参考リンク:ケータイWatch - ケータイ用語の基礎知識 第551回 HARQとは
言っていることがよく理解できなくても、皆さんに覚えておいてほしいのは、通信というのは純粋なデータ以外のものも含まれており、その中にはエラー訂正や再送信のためのデータも含まれているということです。
モバイル回線や無線LANは様々な要因でデータが化けたり損失したりしますので、有線インターネット回線や有線LANと比較するとこのエラー訂正のデータが非常に大きくなっているということです。
普段、スマートフォンやWiFi機器を使っているだけでは意識することはありませんが、見えないところで様々な技術を使って正常に通信ができるように工夫されているということです。
11g回線の罠
無線LANを使っていると回線が頻繁に途切れたり通信できなくなったりすることはないでしょうか?
無線LANには2.4GHz帯を使ったIEEE802.11b/g/nと5GHz帯を使ったIEEE802.11a/n/acがあります。
※nに関しては二つのchを束ねて速度を上げる技術のことですので、2.4GHz帯と5GHz帯両方で使われます。
このうち2.4GHz帯に関しては安価のためゲーム機によく搭載されています。
今の格安ノートPCにはIEEE802.11b/g/nもIEEE802.11a/n/acも両方ついていることがありますが、ちょっと前の格安ノートPCだとIEEE802.11b/g/nのみしかついてないことがあります。
無線LANが頻繁に切れるというのはこの2.4GHz帯の特性によるところが大きいです。
無線LANにはチャンネルがあり、複数チャンネルを使ってできるだけ他の機器と干渉しないようになっています。
2.4GHz帯は13ch(日本のみ14ch)、5GHz帯は19ch持っています。
では通信の切断を引き起こす2.4GHz帯の特性とは何でしょうか。
上が2.4GHz帯のチャンネル図式です。重なっているところは周波数帯が重なっていて、周波数帯が重なっていると干渉して効率が落ちたり切れたりします。
勘の良い人はこれだけで気が付いたと思いますが、2.4GHz帯の13チャンネルのうち重なっていないのは同じ段だけです。
1ch、6ch、11chと日本のみ11chと干渉しない14chがあります。よって日本では1ch、6ch、11ch、14chを使うのが一般的です。
他のチャンネルを使えば干渉します。
14chあると言いながら実際に干渉せずに使えるのはたったの4chしかないということです。
では使うのがあなただけではなく、他の方も使っていたらどうなるでしょうか?
もうわかりましたね。
集合住宅などで無線通信を使う家庭がほかにもあった場合、お互いに干渉しあって通信が遅くなったり、切れたりするのです。
更に11nという規格は2つのチャンネルを束ねて速度を上げる技術ですので、一度に2ch使います。
するとどうなるか?もはや言わなくてもわかると思います。
この状態を改善する方法があるのかどうかですが、基本的にありません。
「そんなバカな」と思うかもしれませんが、引っ越すかIEEE802.11a/n/ac機器を使うしかありません。
ゲーム機の場合、無線機能は変更できないので我慢するしかありません。
私の自宅も無線LANのアクセスポイントが時間帯によって多数見える状態でIEEE802.11b/g/nではまともに通信できません。
(下までスクロールすると合計は見えてるものの倍ほどあります。これほど酷い環境は滅多にないと思いますが・・・。ここまで酷いともうどうしようもないです。)
ですから、有線LANを使っています。
(2018-05-28追記)また、2.4GHzは電子レンジでも使われていますので、電子レンジを使用すると回線が切れることがあります。まるで冗談を言っているように聞こえると思いますが、本当です。
利便性を捨ててでも有線LANを使ったほうが良いというのはこういう意味です。
コンピューターの世界ではできると言われていても実際には言葉通りにならないのはこのような要素が関係しています。
2.4GHz帯を使ったIEEE802.11b/g/nと5GHz帯を使ったIEEE802.11a/n/acを比較すると2.4GHz帯を使ったIEEE802.11b/g/nが安価です。
安価のためゲーム機にもよく使われていますし普及しています。
普及しているのも11gの厄介なところです。
安いものにはそれなりの理由があるということです。
こうしたことも「品質」というものに目を向けなければ決して気が付くことはありません。
少なくとも人にアドバイスするような立場を目指すならば価格や性能だけではなく、絶対に「品質」にも目を向けなければダメです。
そうしないと説明する上のどこかで壁にぶち当たることになります。
私のケースの様に集合住宅などで複数のアクセスポイントが見えるような状況の場合、どうしても無線LANを使わざるを得ないときは出来る限りIEEE802.11a/n/ac機器を使うようにしましょう。
IEEE802.11a/n/ac機器もチャンネル数が多く、周波数帯が重なっていないというだけで周辺にIEEE802.11a/n/ac機器を使う家庭や事務所が多くなってチャンネル数が重なってきたら同様の状態になる可能性があることは覚えておいてください。
参考記事:2018年の定番ルーター