
■事実
台湾のECプラットフォーム「PChome24h(PC Home)」で、GeForce RTX 5090が単品では販売されておらず、複数コンポーネントとのバンドル販売のみとなっています。
最も過激なバンドルは「GIGABYTE AORUS RTX 5090 Master」で、マザーボード8枚(B860Mチップセット1枚、X870Eチップセット1枚、B850チップセット5種類)と1000W電源ユニットが同梱される。マザーボードはすべてGIGABYTE製で、Intel向け・AMD向け両方のチップセットが混在しています。
このバンドルの総額はNT$241,290(約7,481ドル)。マザーボード8枚と電源ユニットの合計金額は約1,600ドル相当と見積もられ、差し引くとGPU自体の実質価格は約6,000ドルに達する計算になります。
同じ店舗では他にも極端なバンドルが存在する。「ASUS ProArt GeForce RTX 5090 OC」はASUS製Radeon RX 9060 XTを4枚同梱して約7,720ドル。「MSI GeForce RTX 5090 Gaming TRIO OC」はMSI製X870Eマザーボード3枚、B650Mマザーボード2枚、Ryzen 9 9950X3D CPUを同梱して約8,498ドルとなっています。
同じ小売業者は過去にもRTX 5080を単品販売せず、バンドルまたは完成PCとしてのみ提供する販売方式を取っていました。
背景として、NVIDIAは2026年5月13日付でRTX 5090・RTX 5090D V2のボードパートナー向け卸売価格を300ドル引き上げており、理由としてGDDR7メモリコストの上昇を挙げています。
業界筋の分析では、RTX 5090の部材コスト(BOM)に占めるメモリの割合は80%を超えているとされています。
GDDR7メモリの価格は、16GB相当で2025年半ばの65〜80ドル程度から、長期供給契約が2025年末で終了した後のスポット市場調達により、年末には200ドル超まで上昇したと報じられています。
RTX 5090の市場実勢価格は既に3,500〜4,500ドル程度に達しており、一部の業界トラッカーは2026年末までに5,000ドルに近づくと予測しています。
IDCの試算では、2026年に世界のメモリ生産量の約70%をAIデータセンターが吸収する見通しで、これは2022年時点の20〜30%から大幅に上昇している。同年のDRAM・NAND供給量の成長率はそれぞれ前年比16%・17%と、過去の平均を下回る水準にとどまります。
比較表
| バンドル名 | 同梱コンポーネント | 総額(目安) |
|---|---|---|
| GIGABYTE AORUS RTX 5090 Master | マザーボード8枚(B860M×1、X870E×1、B850×5)+1000W電源 | 約7,481ドル |
| ASUS ProArt GeForce RTX 5090 OC | Radeon RX 9060 XT(ASUS製)×4枚 | 約7,720ドル |
| MSI GeForce RTX 5090 Gaming TRIO OC | X870Eマザーボード×3、B650Mマザーボード×2、Ryzen 9 9950X3D | 約8,498ドル |
ソースURL:
https://wccftech.com/taiwanese-retailer-wont-sell-the-rtx-5090-alone-forcing-buyers-into-an-7481-eight-motherboard-bundle/
解説
マザーボード8枚おまけに付けてまで「単品では売らない」というのは、正直かなり異常な光景だ。
ただこれ、単なる小売業者の悪ノリというより、GPU自体の部材コストの8割超をメモリが占めるようになった今の状況を踏まえると、かなり合理的な行動に見えてくる。
マザーボード8枚おまけに付けて「これで一家に一台、ホームサーバーが5台建てられます」と言われても、正直そんなにマザーボードは要らない。
要するに、GPU単体で売ると転売ヤーに買い占められるだけなので、「本当にPCを組みたい人」を選別するフィルターとして、要らないパーツを大量に抱き合わせているという理屈だ。
マザーボード8枚+電源で実質1,600ドル分、それでもGPU本体の実質価格が6,000ドルというのは、もはや「バンドルで安く買える」という体裁すら成立していない。単なる在庫処分と抱き合わせ販売の合わせ技という印象だ
個人的に気になるのは、これがもう「一部の変わった店の特殊な販売方法」ではなく、同じ店舗がRTX 5080でも同様の手法を取っていた点です。つまり定着しつつある販売パターンということだ。
この背景にあるのは、GDDR7メモリの調達コストが2025年末にかけて急騰したこと。長期契約が切れてスポット調達に頼らざるを得なくなったタイミングと、AIデータセンター向けのメモリ需要拡大が重なったのが痛いところだ。
IDCの試算通り、世界のメモリ生産の7割をAIデータセンターが持っていく時代になると、コンシューマー向けGPUはもう「余ったところを取り合う」立場でしかない、というのが率直な感想だ。
NVIDIA自身もボードパートナー向け価格を引き上げており、末端価格の高騰は台湾の1店舗だけの問題ではなく、供給網全体で起きている構造的な話だと見ている。
「GPUを買うためにマザーボードを8枚買う」時代が来るとは、数年前には誰も予想していなかっただろう。