
■事実
発売概要
Computex 2026直前の2026年6月1日、AMD Radeon RX 9070 GREがグローバル市場向けに発売(VideoCardz報道、レビュー解禁も同日)されます。
MSRPは**$549**。これはRX 9070の発売時MSRPと同額です。
中国市場では2025年5月に先行発売済みです(中国での発売価格は4,199人民元)。1年越しでの世界展開です。
GREは「Golden Rabbit Edition(黄金の兎版)」の略称。AMDが以前にもRX 7900 GREで採用した中国向け先行→グローバル展開のパターンを踏襲しています。
AMDの自社比較スライドでは、現在のRX 9070が「$619から」と表記されており、発売時MSRP($549)からの実勢価格上昇が示唆されています。
ボードパートナー第一陣はASUS、Sapphire、XFX(ASUS PRIME、Sapphire PULSE Gaming OC、XFX Swift等のカスタムモデルが小売リスト入り済み)です。
Acer、ASRock、Gigabyte、PowerColorも後続モデルを準備中です。
スペック
- GPU:Navi 48 XL(RDNA 4)。RX 9070/9070 XTと同じダイを使用しCUをカットダウン
- 演算ユニット(CU):48CU(3,072ストリームプロセッサ)。RX 9070(3,584SP)比15%削減
- ブーストクロック:約2.79 GHz(RX 9070の約2.52 GHzより高クロック。CU削減をクロックで一部補填)
- メモリ:12GB GDDR6、192ビットバス、18 Gbps、帯域432 GB/s
- RX 9070(16GB/256bit/640 GB/s)と比較して帯域が約33%低い
- Infinity Cache:48MB
- TDP:220W(RX 9070と同等)
- PCIe:5.0 x16、8ピン×2
RX 9000シリーズスペック比較表
| モデル | GPU | SP数 | メモリ | バス幅 | 帯域 | TDP | MSRP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| RX 9070 XT | Navi 48 XTX | 4,096 | 16GB GDDR6 | 256bit | 640 GB/s | 304W | $599 |
| RX 9070 | Navi 48 XT | 3,584 | 16GB GDDR6 | 256bit | 640 GB/s | 220W | $549(発売時)→実勢$619〜 |
| RX 9070 GRE | Navi 48 XL | 3,072 | 12GB GDDR6 | 192bit | 432 GB/s | 220W | $549 |
公式パフォーマンスクレーム(AMD発表・Ryzen 7 9800X3D環境、1440p Ultra設定)
- GeForce RTX 5060 Ti 16GB比:平均22%高速、26%高コスパ(40本以上のゲームで比較)
- GeForce RTX 5070比:2%高速、4%高コスパ
これらはAMD提供の数字であり、独立レビューによる検証が必要
中国向け発売時(2025年5月)のレビュー結果(参考)
- 1440p平均:RTX 5060 Ti 16GBより約22〜28%高速
- 1440p平均:RTX 5070より約4.5〜9%低速
RX 9060 XT 16GBより約28〜30%高速です。
RX 7900 GREとほぼ同等(AMDが主張していた6%優位は確認されず)です。
4K解像度では帯域不足が顕在化し、RX 9070比での性能差が拡大します。
価格の問題点
$549はDRAM・NAND価格高騰が続く2026年市場での設定。RX 9070の実勢価格($599〜)と重なる価格帯です。
AMDの比較スライドがRX 9070を「$619から」と表記しており、RX 9070のMSRP引き上げを示唆する可能性があります。
解説
$549でRX 9070と同額、しかしメモリ容量は12GB対16GBという事実が、この製品の評価を決定的に難しくしている。
「帯域の問題は小さくなったが、容量の問題は依然残る」——RDNA 4のInfinity Cache拡充で帯域差の実効ダメージは1440p中心用途では限定的だ。しかし絶対容量(12GB vs 16GB)の差は将来的な枷になりうる。
12GBが今の1440pゲーミングで足りるかどうかは「今のゲームなら足りる、これからのゲームは微妙」という回答が正直なところ。高解像度テクスチャパックやレイトレを多用するタイトルで先に壁に当たるのはGRE側だ。
GREを正当化する理由があるとすればDRAM危機。2026年現在、NVIDIAカードの実勢価格は高騰しており、RTX 5070系を狙っていた層が$549で「RTX 5070に近い性能」を得られる選択肢として機能しうる。
ただし実際のRX 9070実勢価格が$619〜になっているなら、GREとRX 9070の価格差は70ドル前後。70ドルで4GB VRAMと帯域33%増を買えるなら、そちらを選ぶ人は多いはず・
「またこいつか」のNavi 48:RX 9070 XTから数えて3枚目のNavi 48ベースカード。死蔵しかねないダイの活用策としては理にかなっており、AMDにとっては在庫消化とポートフォリオ補強を同時に実現できる。
中国限定→グローバル展開のGREパターンはRX 7900 GREで成功済み。RX 7900 GREはグローバル市場で「隠れた名機」として評価された前例がある。
AMDの比較でRX 9070を「$619から」と表記した件は、RX 9070の事実上のMSRP引き上げを意味する可能性がある。だとすると、GREは「$549のお手頃版」ではなく「旧$549帯の後継」として位置づけられた可能性がある——意図的かどうかは不明だが。
「22% faster than RTX 5060 Ti」というAMDの主張に実測が概ね追いついているのは珍しい。普段もこのくらい正直に発表してほしい。
$549のGREを買うか、もう少し出してRX 9070 16GBを買うか。「70ドルで16GBを買う」と考えると、実は答えが出やすい気がする。
ソース:
https://videocardz.com/newz/exclusive-amd-radeon-rx-9070-gre-launches-june-1st-at-549-globally