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中国の国産8コアCPU「Zhaoxin KX-7000」がシングルコアでSkylakeに匹敵、マルチコアテストでは純正&OCベンチマークで上回る

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中国国産x86チップ、Zhaoxin KX-7000 CPUは、純正およびオーバークロック設定での幅広いテストにおいてベンチマークを実施し、前世代と比較して大幅な性能向上を示すとともに、国内市場にPCニーズのための新たな選択肢を提供しました。

Zhaoxin KX-7000 x86 CPUテスト: 初のダイショット、ASUS製LGA 1700ソケットマザー、オーバークロック・ベンチマークなど

Zhaoxin KX-7000 CPUの最新性能ベンチマークは、ASUSの中国ゼネラルマネージャーであるTony Yu氏によるもので、彼は自身の公式Bilibiliチャンネルで日常的に詳細な性能テストと製品評価を行っている。

今回テストされた最新の製品は、中国国内市場向けに設計されたx86チップ、Zhaoxin KX-7000 CPUである。こ

のCPUは2023年末に発売され、2024年第1四半期に最初の製品が発売された。

初期の性能テストでは、このチップはSkylakeアーキテクチャの改良版を利用するインテル第10世代「Comet Lake」ラインアップと同等の性能を達成できることが示され、第1世代のZenコア・アーキテクチャにも匹敵するはずだ。

仕様から説明すると、Zhaoxin KX-7000/8CPUはx86 Century Avenueアーキテクチャをベースとし、7nmチップレット設計を採用している。

CPUダイとI/Oダイは分離されており、CPUダイのサイズは78.6mm2、I/Oダイのサイズは151.8mm2である。CPUダイは、8スレッド×8CPUコア、コアあたり512KBのL2キャッシュ(合計4MB)、32MBの共有L3キャッシュ、最大3.6GHzのコアクロック(ベースは3.2GHz)を備えている。

I/Oダイは、最大容量128GBのDDR4-3200とDDR5-4800の両メモリ規格をサポートするIMCを備え、DX12、OpenCL 1.2、OpenGL 4.6、H.265をサポートするC1190として知られるオンダイGPUも搭載している。

iGPUはDP、HDMI、VGA出力インターフェースをサポートする。その他のブロックには、24 PCIe Gen4レーン、4 USB 3.2 Gen2、シングルUSB4コントローラが含まれます。

また、最大4ポートをサポートするシングルSATA IIIコントローラも搭載しています。

プラットフォームに関して言えば、ASUSはZhaoxin KX-7000/8 CPU用に独自の専用LGA 1700ソケットマザーボードを開発した。

このマザーボードは、ヒートシンクなしの6+2フェーズVRM、シングルM.2スロット、2つのSATA IIIポート、2つのフルレングスPCIe x16 4.0、およびシングルPCIe x1 4.0スロットを備えたエントリーレベルの製品と同様です。

マザーボードはmATXフォームファクターで、2つのDIMMスロットのみを備えています。

マザーボードにはDEBUG LEDがあり、I/Oは非常に標準的です。マザーボードにはPCHがなく、すべての接続はCPU本体のI/Oダイで行われます。

性能の数値に目を移すと、このCPUはまずノーマル状態でテストされ、シングルスレッドとマルチスレッドの両方のテストで、前モデルのKX-6780の2倍以上の性能を記録した。

また、シングルコアのテストでは、Core i7-7700Kと同等で、AMD Ryzen 7 1700Xよりも高速でした。

CPUは3.6GHz(最大1コア)と3.2GHz(オールコア)のクロックを超えて3.6GHz(オールコア)までオーバークロックすることもできる。

これには、より優れた冷却ソリューションが必要で、360mm AIOが使用されました。

その結果、マルチコアで最大21%、シングルコアで10%の向上が見られた。

純正の消費電力に関しては、CPUはマルチスレッドテストで85Wを消費する。

アプリケーション性能は十分なものだったが、CPUがNVIDIA GeForce RTX 4070 GPUをほとんど処理できなかったため、ゲーム性能にはまだ多くの最適化作業が必要なようだ。

4Kのサイバーパンク2077では46 FPS、カウンターストライク2ではわずか30 FPSしか出せず、GPUが著しくボトルネックになっていた。

結局のところ、Zhaoxin KX-7000/8CPUは中国国内市場にとって良い選択肢であり、中国本土のx86/CPU開発にとって進歩であると結論づけられる。

同社は、16コア以上を提供するチップレットでファミリーを拡大することを期待している。

また、ASUSは同社のマザーボードではOCの上限を4GHzに設定しているが、極端なオーバークロックの場合は上限を5GHzに拡大することも可能だとしている。

ASUSのTony氏は、このビデオが10万いいね!に達したら、BIOSをアップデートするようASUSのチームに依頼すると言っており、興味深い提案だ。

ソース:wccftech - China’s Domestic Zhaoxin KX-7000 8-Core CPU Matches Skylake In Single-Core, Beats It In Multi-Core Tests In Stock & OC Benchmarks

 

 

 

 

解説:

中国の国産x86CPU、「Zhaoxin KX-7000」がシングルスレッド性能でSkylakeと同等の結果を出し、マルチコアテストで初代Zenの8コアを上回る

わずかの間にここまで性能を上げたのは素晴らしいことだと思います。思いますが・・・

今回はちょっと辛口で行きます。

まず、ライセンスでガチガチに固められた国産のx86 CPUが設計できるのは素直に素晴らしいことだと思います。

ここに異議を唱えるつもりは全くありません。

しかし、AppleがMシリーズMacを出して以来、省電力性能でx86と差がついて売り上げに影響が出て焦ったマイクロソフトがARM版のWinodwsをロンチしてQualcommと組んで自社ハードでARMノートPCをロンチしました。

もうすぐ出るといわれているSnapdragon X Elite搭載機はかなりの性能を誇っており、売り上げ次第ではARM版のWindowsが主流になる可能性すらも出てきています。

また2025年からWindowsが動作するARMをQualcomm以外にも開放するとしており、すでにNVIDIAは製品を準備しているのではないかと言われていますし、AMDも動向によっては製品を発売する可能性もあると思います。

それを踏まえたうえでこの話を聞いてみると、すでに遅きに失した感があります。

半導体は重要な産業であることは間違いありませんが、バブル崩壊によって中国経済が失速する中、このプロジェクトを続けることが正しいことなのかどうかは疑問です。

中国はもともとARM CPUの設計にたけており、ファーウェイがアメリカから制裁を食らう前はAppleと世界トップ争いを繰り広げていました。

またミドルレンジのARM SoCを出しているUNISOCも中国の企業です。

この情勢で無理してx86を製造する必要があったのか?というのは疑問です。

少なくとも、現時点でもQalcommとNVIDIAはARM版Windowsに対応したCPUを発売することは確実でしょう。

ARMとx86の現時点での大きな差異は結局Windowsが動くか動かないかだけであり、ARMでもWindowsが動くようになればライセンスでガチガチに固められたx86にはあまりメリットがないように思えます。

Snapdragon X Elite搭載機の軽さや省電力性については評判がいいようで、IntelがLunarLake搭載機でどこまで追従できるかが今後のカギになると思います。

実際、どのくらい売り上げるのかに関しては発売されてみないとわかりませんが、Appleと違ってWindows陣営には強力なブランド力を持った企業が少ないので、あまり売り上げが伸びない可能性もあるとは思います。

ただ、ノートPC、モバイルジェットのレビュワーやインフルエンサーにはかなり注目を浴びているようです。

やはり今までWindowsではかたくなにスルーされてきたバッテリーの持続時間というものがAppleのMacbookと露骨に差がついてしまいましたから、同じ土俵に上がってきた製品に興味が集中するのは仕方ないのかなと思います。

 

中国の欠点は良くも悪くも世の中のトレンドを動かす製品が作れていないことだと思います。

市場自体をけん引するような製品が作れない限りずっと二番手以下に甘んじることになります。

バブルが崩壊する前だとそれでもイケイケだったのでしょうが、世の中には無限なものなど存在しません。

当然「無限の繁栄」などというものもありません。

お金が尽きた時点でできることがどんどんなくなっていきます。

これから冬の時代に突入する中国にとってx86 CPUというお荷物の開発を続けていく余裕があるのでしようか?

 

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