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中国国営携帯電話メーカー、チップ設計部門を閉鎖、チップ製造独立への道における国の苦難を浮き彫りに

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チップ不足が解消した現在、TCLは自社製ディスプレイドライバーチップを望まなくなった。

中国の家電メーカー大手TCLテクノロジー・グループは、ディスプレイドライバー(DDIC)や電源管理IC(PMIC)などの汎用チップの開発を専門とするチップ子会社ムーアシリコンを閉鎖したと日本経済新聞が報じた。

この措置は、チッププロジェクトへの資金調達の確保に関する不確実性と、TCL全体の財務上の課題によるものでした。

ムーアシリコンは、以前は 100 人未満のエンジニアを雇用していましたが、DDIC や PMIC などの汎用チップの深刻な不足と、中国の半導体産業への投資が好調な時期の中で、2021 年 3 月に設立されました。

テレビ、ディスプレイ、スマートフォンを製造する TCL は、ディスプレイ ドライバーと電源管理チップを大量に消費するため、そのようなチップを社内で設計し、その生産を制御することは、同社の主要事業にとって非常に意味がありました。

2021 年以降、あらゆる種類の家庭用電化製品の需要が減少しており、DDIC や PMIC の需要も同様に減少しています。

その結果、戦略的手段であったムーアシリコンは大部分が負債となり、これにより上半期の TCL の損失はさらに拡大しました。 それにもかかわらず、TCL は PMIC 資産を保持します。

ムーアシリコン は当初、DDIC のみを設計する独立した部門として設立されましたが、後に TCL Technology のより広範な半導体事業に統合されました。

この統合には、パワーチップ、整流回路、その他の半導体コンポーネントを設計した TCL Huanxin Semiconductor が含まれていました。

どうやら、DDIC の価格下落により、社内開発の経済性は 2021 年よりもはるかに低くなっているようです。

Sigmaintell のデータ (日経新聞より引用) によると、大型テレビ パネルに使用されるこれらのチップの平均価格は、2022 年第 1 四半期のユニットあたり 1.23 ドルから、 2023 年第 2 四半期には 0.91 ドル、2024 年第 2 四半期までに 0.88 ドルまでさらに下落すると予測されています。

ソース:Tom's Hardware - Chinese state owned phone maker shutters chip design unit, highlighting country's struggles in path to chipmaking independence

 

 

 

解説:

アメリカの規制に苦しむ中国では半導体製品の国産化を進めています。

しかし、その道のりは平たんなものではないようです。

中国国営携帯電話メーカー、チップ設計部門を閉鎖

話題に上がっているムーアシリコンと言うTCLの子会社は半導体不足の折、コスト圧縮を進めるために設立された会社のようです。

その後、半導体不足が解消されるとコスト競争についていけなくなったということのようです。

国産化率向上に逆行するような話ですが、最先端半導体では技術が、量産半導体ではコストが問題になっているようです。

中国の半導体内製化に関しては7nmまで達成し、ファーウェイがスマホの新製品、Mate60Proを発売したことで大きな話題になりました。

「アメリカの規制なんて無駄なんだよ」と言う声も上がりましたが私はそうとは思えません。

製造装置が同じなので5nm迄は生産可能だと言われていますが、7nmで打ち止めになる可能性も私はあると思います。

皮肉にも中国がここまで最先端技術を使うことができたのは金の力で技術者を引っ張ってこれたからです。

しかし、アメリカの規制で技術を自分たちで作っていくことになりました。

7nmの国産化を果たしたのは確かに驚きでしたが、ASMLの製造装置に依存していることに違いはありません。

ではそれ以降、微細化が可能かと言われれば、難しいのではないかと思います。

何でも間でも一つの国で、一つの企業で出来ればそれに越したことはありませんが、ならば、グローバルサプライチェーンなどは組まなくてもよいわけです。

サプライチェーンを作るのは分業しなければできないほど高度に複雑化しているからで、製造装置はオランダが、素材は日本が、Fabは台湾とアメリカが、それぞれ担っています。

これを一つにまとめるのは技術的にもコスト的にも不可能に近いのではないかと思います。

中国を過大評価する声がある一方で、政治力で黒いものも白くなるという中国の社会を見ると、健全な発展は不可能なように思えます。

この懸念は中国が純国産で半導体の製造装置や素材すらも国産化してTSMC3nmクラスのプロセスを自国で開発しない限り、晴れることは無いのではないでしょうか。

それはほとんど不可能なように私には思えます。

 

 

 

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