計画も、報告も、明確なヒエラルキーもない。
nVIDIAは今年、1兆ドルを超える世界で最も価値のある半導体企業となった。
同社はIntelや他のハイテク大手よりも多くの収入を得ているが、Jensen Huangの経営スタイルは、長期的な計画を持たず、40人の直属の部下を持つなど、かなり型破りなものであることがわかった。
NvidiaのJensen HuangCEOは、今年初めに行われたジョエル・ヘラーマーク氏とのインタビュー(最近アナリストのダン・ホッケンマイヤー氏によって注目された)の中で、自身の経営哲学について概説しており、Huang CEOの根本的に異なる経営方法についてユニークな洞察を与えている。
直属の部下40名、1:1ミーティングなし
黄は典型的な階層的コミュニケーションを避け、40人もの直属の部下を持つフラットな組織構造を維持している。
一方、1対1のミーティングは避け、トップから全員が同じレベルにいることを確認するグループ・ディスカッションを好む。
黄は継続的な学習を重視し、業界の最新トレンドやイノベーションを常にアップデートしている。その方法のひとつが、専門知識を惜しみなく共有する知識豊富な人材に囲まれることだ。
Nvidiaでのミーティングは、地位や役職によって制限されることはありません。
副社長から新入社員まで、誰もがすべての情報にアクセスでき、どんな会議にも参加できると黄は言う。戦略的な方向性や決定事項があるのなら、なぜ一部の人間に情報を限定するのか?
「戦略的な方向性があるのなら、なぜ一人に伝えるのですか?「みんなに言うんだ。
そうして、私たちは戦略を練り、未来への道筋をどう立てるかというスープの中を泳いでいる。
時が来れば、私はそれをみんなに同時に送るか、あるいは私がみんなに同時に伝え、みんなからフィードバックをもらい、私たちはそれを改良していくだろう"
戦略的方向性を共有し、確固たる計画は持たない
会社の戦略的方向性を全員で共有することで、さまざまな視点からのフィードバックの門戸を開いていると黄は言う。
この集団的アプローチは、組織全体のインテリジェンスと専門知識を活用し、洗練された考え抜かれた戦略につながるように設計されている。
戦略に関しては、エヌビディアは確かに独自の道を歩んでいる。
計画に関しては、硬直的な長期計画は時に制約になると黄氏は考えている。
そのため、長期計画も短期計画も立てていない。
その代わり、同社は柔軟なアプローチを採用し、常に進化し続けるビジネスと市場の状況に基づいて戦略を再評価している、と黄氏は言う。AI分野の急速な進歩を考えると、これは特に重要である。
「私たちは定期的なプランニング・システムを導入していません。その理由は、世界は生きていて、呼吸しているからです。5年計画もなければ、1年計画もない。」
意思決定プロセスをスピードアップし、現実を常に把握するために、Huangは通常の現状報告をやめた。
彼は、近況報告が彼に届く頃には、しばしば "ground truth"(本来の本質や信憑性)が失われていると感じている。
これに対抗するため、彼はどの従業員に対しても、気になる「トップ5」をすぐにメールで送るよう勧めている。
毎朝、彼はこれらのメールを100通ほど読むことに時間を割き、会社の現実を把握している。
既成概念にとらわれず、コモディティ市場から離れる
Huangは、nVIDIAの中核的な使命は、現在可能なことの端にある課題に取り組むことであり、通常のコンピューティングの問題を解決することではなく、従来のコンピューターが達成できることの限界を押し広げることだと言う。
実際、Huang氏は、コモディティ化したビジネスや分野から撤退することを信条としており、これが数年前にNvidiaがスマートフォンやタブレットのSoC市場から撤退した理由である。
Huang氏は、このアプローチが技術的進歩を促し、Nvidiaをライバルから引き離すと考えている。
しかし、常識や既成のやり方から逸脱した決断を下すことは、困難な場合がある。
Huangは既成のやり方に従う代わりに、問題を根本的な真理に分解し、そこから解決策を構築することを提案している。
このアプローチは革新的な思考を促し、従来のやり方では見落としてしまうような画期的な解決策を導くことが多いという。
Huangは、既存のやり方から逸脱するもうひとつの方法として、「適切なタイミングで適切な決断を下す」ために自分の直感を信じることを挙げている。
Huang氏は、nVIDIAの組織構造について、「業界で最高の人材を集めること」「無駄のない効率的なチームで運営すること」「情報が迅速かつ効果的に社内を流れるようにすること」の3つを主な目的としている。
解説:
PC市場での究極の勝ち組nVIDIAについての記事が出ていましたので取り上げてみます。
記事中には組織の構成について様々な情報がありますが、私が一番注目しているのは
実際、Huang氏は、コモディティ化したビジネスや分野から撤退することを信条としており、これが数年前にNvidiaがスマートフォンやタブレットのSoC市場から撤退した理由である。
と言う点です。
これが身上なら、ローエンドGPUに力を入れていないのも納得できますね。
nVIDIAはプレミア価格で製品を売ることにこだわっており、そこが過剰な営利主義と取られて他企業の買収に神経質に反応されることがあります。
PCゲーミング市場がコモディティになったらどうなるのか?
PCゲーミング市場がコモディティ化するというのはあまり想像がつかないのではないでしょうか。
4K解像度は2003年に映画撮影用のデジタルカメラが発表されたのが始まりだと思います。
そこから20年、とても一般に普及しているとはいいがたい状態です。
一方、8Kもカメラ自体の開発は2002年に始まっています。
しかし、もちろんですがとても普及しているとはいいがたい状態です。
8K以上では人間の目では見わけがつかなくなると言われていますので、とりあえず今回の話の中では8Kイコール限界としておきます。
4Kの普及があまり進まない理由はFullHDで満足してしまっている層が居ること、PCのモニターとしてはdpiを上げないと使いづらいことです。
実際私も4Kモニターを使っていますが、あまりの使いづらさにFullHDモードにしています。
4Kを使うのはゲームの全画面モードでだけです。
4Kモニターの使いにくさとは、3D関係のツールでWindowsのシステム拡張でdpiを上げると一部の3Dのアプリが高負荷になること、Webサイトのスクリーンショット撮影時に画像と文字のバランスがおかしくなることなどです。
また、ドライバが当たる前のLinuxでは特にテキストモードで豆粒のような文字が表示されて非常に見にくいです。
この問題をうまく解決する方法と言うのは今のところないのではないかと思います。
実際4Kモニターを使ったPCの使用と言うのは結構面倒臭い点が多数あります。
この面倒臭さを考えるとそこまで一生懸命4Kに移行したいと考える人はあまり多くは無いのでは?と思います。
話が横道にそれましたが、4Kがある程度普及した今でもFullHDにとどまる層と言うのは一定数いるということです。
一方で解像度を上げずにひたすらFPSを求める人たちもいます。
ゲームが重いシーンになってもFPSが落ちないように普段は300FPSを超えるような状態であってもFullHDにとどまっている人はいるんじゃないかと思います。
その上でGPUの性能がどんどん上がって言ったらどうなるでしょう?
ゲーミングGPUのコモディティ化と言うのは案外早く来るのではないかと思います。
つまり、将来に長期的なスパンで見るとnVIDIAはいくつかの技術のライセンスだけを残してPCゲーム市場からいなくなる可能性もあるのかなと感じました。
こういう書き方をすると今すぐnVIDIAが居なくなると誤解する人がいるかもしれませんが、あくまでも長期的に見た場合ですので勘違いされないようにしてください。
価格が安いGPUが好まれるようになってきているのもコモディティ化が進んでいる証拠ではないでしょうか。
nVIDIAは価格を上げたいと考えているようですが、残念ながら、現状のクオリティで満足している層と言うのは一定数居て、皮肉なことに技術の進歩が低コスト製品で一定のクオリティを担保することに使われてしまっています。
nVIDIAがいくら高価格政策を推し進めても同業他社がFSR系列やXeSS系列と言う形で低価格製品に翼を与えていますので、今後コモディティ化は一層加速していくのではないでしょうか。
また、Switch2がロンチされてそこにDLSSが使われていれば、恐らく、ゲーミング市場のコモディティ化に向けたメッセージをnVIDIA自身が発信することになりかねないのかなと私は感じました。
PCゲーマーは忘れがちですが、元々PCゲーミングと言うのはかなりニッチなジャンルです。
AI/MLの世界がどんどん広がって高価格なサーバー向け製品が飛ぶように売れれば、利益率の低く、相対的に数が出ないPCゲーミング市場にあまり魅力を感じなくなるのではないでしょうか。
AI/ML技術を使ったAI補完のアップスケーラー、フレームジェネレーションを行うDLSSや、最近のSwtch2、AppleのA17Proの記事を見ているとそのように感じます。