SUNEASTと並んで激安系国内メーカーとして名を馳せるWINTENの製品をレビューしていきます。
結論から書きます。
以下を読んでいただければわかりますが、非常に残念な結果になりました。
それを前提に読んでください。
WINTENは2007年3月に設立された資本金1000万円の会社です。
あまり大きな企業ではありません。
PC関連の他、美容・健康・雑貨なども取り扱っているようです。
従業員数は書いていませんが、資本金1000万円の企業でこれだけ多岐にわたる業務を行っているのは業務の専門性として大丈夫なのかなと感じます。
説明書や箱の裏書を見ても明らかに初心者向けと思われる表記が散見されます。
PCパーツやデジタル系のガジェット用品を専業とするSUNEASTとは対照的です。
ただし、中華の企業のようにHPに販売されている製品が書いてないということは無いです。
この辺は安心できるところでしょう。
今回レビューする製品の紹介
説明書とブリスターに入った本体
説明書の裏には保証書が付いています。このクラスで5年保証は驚き。
本体面
本体裏
WINTENでは他にもSATAのM.2モデルを発売しています。
こちらはWINTENのラインナップの中では上位のモデルと言うことになります。
型番 | WTPCIe-SSD-256GB | WTPCIe-SSD-512GB | WTPCIe-SSD-1TB | WTPCIe-SSD-2TB |
ブランド | WINTEN | WINTEN | WINTEN | WINTEN |
容量 | 256GB | 512GB | 1TB | 2TB |
本体サイズ | 約22x80x1(mm) | 約22x80x1(mm) | 約22x80x1(mm) | 約22x80x1(mm) |
本体重量 | 約5.4g | 約5.4g | 約5.4g | 約5.4g |
規格 | M.2 2280 | M.2 2280 | M.2 2280 | M.2 2280 |
転送速度 | 読取最大2000MB/s、 書込最大1200MB/s | 読取最大2000MB/s、 書込最大1600MB/s | 読取最大2000MB/s、 書込最大1600MB/s | 読取最大5000MB/s、 書込最大4300MB/s |
インターフェース | NVMe1.3/PCIe3.0×4 | NVMe1.3/PCIe3.0×4 | NVMe1.3/PCIe3.0×4 | NVMe1.3/PCIe4.0×4 |
付属品 | 本体、マニュアル(保証書付) | 本体、マニュアル(保証書付) | 本体、マニュアル(保証書付) | 本体、マニュアル(保証書付) |
保証期間 | 5年間 | 5年間 | 5年間 | 5年間 |
※ 各容量の型番をクリックすると別Window・タブで詳細ページに飛びます。
5年保証の国内企業の製品と言うことで非常に期待していたのですが、残念ながらTBWがどこにも書いてありません。
一つ注意してほしいのは2TBだけPCIe4.0対応品なので(恐らく)コントローラーからフラッシュから何もかも全て別物でしょう。
なかなか変則的なラインナップなっています。
MTBFは1,000,000時間とあります。動作条件は0℃-70℃と標準的なSSDの値です。
スペック表でわかるのはここまででしょうから、実際にFlash_idをかけて調べてみました。
コントローラー:Silicon Motion社 SM2263XT
フラッシュ:Micron 96L(B27B) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
おやっと思いました。
フラッシュメモリセルがMicronの96層TLCとなっています。
これが本当なら私がレビューを始めて最初のYMTC以外のフラッシュになります。
残念ながら、コントローラーはSM2263XTでした。
登場した時は安価で画期的な製品でしたが、今となってはもう時代遅れのコントローラーで性能にはあまり期待できなそうです。
いつも通り、flash_idのログは記事の後ろに張り付けておきます。
フォーマット後の容量は238GBでした。
標準的な256GBのSSDの容量です。
先にお断りしておきますが、このSSDはSMART情報を正常に送信しておりません。
温度が55℃で固定されています。
なぜわかるかと言うと、最大値も最高値も現在値も55℃から張り付いて動かないからです。
普通ありえません。
flash_idのログを見ると温度が正常に出力されているのでsamrt情報に対してこのような書き換えがなされているようです。
smart情報の温度のような重要な情報を書き換えるのはちょっと意図が読めません。
特にメーカーにとって偽装しても有利にならない値なだけに不思議です。
一つ書き換えられていると他の値もすべて疑われしまいます。
この点だけ見てもこの製品はお勧めできません。
折角の数少ない国内企業製品ですが、とても残念な結果です。
検証環境
- CPU:Intel Core i7-13700K
- CPUクーラー:サイズ Big shuriken3 RGB
- マザーボード:Asrock Z690M-ITX/ax
- SSD:M2_2(チップセット側) AGI NVMe Gen3(システムドライブ)
- M2_1(CPU側) WINTEN WTPCIe-SSD-256GB(今回レビューするSSD)
- 電源:Corsair SFX 750W電源 SF-750
- メモリ:Patriot Viper DDR4-3000 OCメモリ8GB*2=16GB
- ケース:QDIY 0040-*PCJMK6-ITX(テストベンチ)
- OS:Windows11 22H2(最新Windows Update適用済)
注意してほしいのはテストベンチなので、当然オープンエアと言うことになります。
普通のケース(特にMini-ITX)よりはかなり冷却に関する条件が良いのでそれを差し引いてみてください。
SSDのヒートシンクはマザーボード付属のものではなく、単体売りしている製品を使っています。
理由はツイートしましたが、マザーボードに付属のものは2枚をいっぺんに冷やす一体型になっており、一方が爆熱だとシステムドライブの調子がおかしくなるからです。
使ったのは上の製品です。色は赤と黒があります。
Crystal Disk Info
ストレージの情報を取得する定番のソフトCrystal Disk Infoで情報を取得してい見ました。
電源投入回数が最初から4回でした。初回の1を引くと出荷前に3回電源が投入されていることになっています。
中華SSDあるあるですが、ちゃんと初期電源投入回数が1から始まる製品もあって気になるところです。
温度は55℃で、起動直後でこれだと高すぎて危ないと思ったのですが、先にも説明した通り、55℃で固定されています。
偽装とすれば全く意味が無く、意図が読めない不思議な製品です。
Crystal Disk Mark8
ストレージベンチマークの定番であるCrystal Disk Mark8で転送速度を啓作してみました。
Crystal Disk Mark8はデフォルトでは1GiBのテストデータを使って5回計測し、一番成績の良かった結果を表示するベンチマークです。
測定するストレージの最高の状態の性能を計測するベンチマークです。
ほぼ公称値通りの性能が出ています。
性能はやや低めですが、キッチリ公称値が出ているので問題ないでしょう。
ちょっと気になったのはシーケンシャルライトの初回は100MB/s台の結果が出たところ。
何度か計測したが、必ず最初は100MB/s台なので何かあるのかもしれません。
ランダムリード・ライトは上のような結果になりました。
最大でリード90K IOPS、ライト220K IOPSでしょう。
同じコントローラーを搭載したFikwot FN500より下で、私が今までレビューした同容量のSSDの中で一番性能が低いということになります。
シーケンシャル性能に関してはテストデータが増えてもあまり影響を受けていません。
公称値は遅めだが、この点は安定しているSSDと言ってもよいでしょう。
ランダム性能に関してはテストデータが大きくなるとやはり影響を受けるようで遅くなります。
ATTOベンチマーク
SSDのブロックサイズごとの速度を測るATTOベンチマークで性能を測定してみました。
QD1
QD4
AS SSDベンチマーク
空き容量が少なくなってきたら、どのように速度が変化するか?
最新のSSDはフラッシュメモリセルをSLC化してキャッシュにし、速度が低下しないようになっている。
今回は残り容量64GBまで減らし、32GBのファイルをコピーしてみた。
※ C:ドライブのPCIe Gen3x4 256GBのSSDからコピー
準備として、約174GBほどのファイルを作成し、USB 2.5'HDDからコピー
当初1GB/s程度でコピーしていたが、途中から上のように1MB/sから300MB/sを行ったり来たりしながらゆっくりとコピーされ、途中で10分以上の残り時間が表示されることもあった。
Fikwot FN500もそうだったが、SM2263XT採用SSDは巨大ファイルのコピー先として極めて弱いようだ。
とても快適とは言えなかった。
残り容量64GBで32GBのファイルをコピー
こちらも途中で速度がガクっと落ちて転送速度1MB/sから300MB/sを間でゆっくりとコピーが進んだ。
動画ファイルなどの巨大なファイルの置場にはとても使えないだろう。
温度:
Crystal Disk Mark8 をテストデータ8GiB、テスト回数9でテスト実行し、実行中と実行後10秒間の温度を測ってみた。
残念ながら、温度のSMART情報が55℃で固定されているため、意味をなさないが一応テストは行ったので結果は出しておきます。
「温度の偽装なんてよくわかったな」と思う方もいるかもしれませんがSMART情報を見たら現在温度も最高温度は最低温度もすべて55℃になっていたら普通は「おかしいな」と感じると思いますので誰でも一発で気が付きます。
この仕様だと特に発熱が激しいというわけでもないと思いますが、なぜ55℃に温度が固定されているのか不明です。
総評:
コントローラーがSM2263XTの為、巨大ファイルのコピーでかなり時間がかかった。
また、発熱はさほどでもないと思うのですが、なぜかSMART情報の温度が55℃で固定されているなど意図がよくわからない仕様があり、ちょっとお勧めできない製品と言える。
貴重な国内メーカーですから、WINTENにはぜひともMAXIOあたりで激安の遺伝子を継承した新製品を出してもらって名誉挽回を期待したい。
折角Micronのフラッシュメモリを搭載しているとのことなのにこの仕様はかなり勿体ないと思います。
価格は非常に安いのだが、性能や温度が固定されている意味不明の仕様もあってお勧めできない製品と言わざるを得ない。
レビュー品は256GB版
512GB版はこちら
1TB版はこちら
おまけ:
smi_nvme_flash_id.exeのログ
smi_nvme_flash_id.txt
v0.272a
OS: 10.0 build 22621
Drive : 0(NVME)
Scsi : 1
Driver : W10
Model : WT/PCIE-256G
Fw : KKF114M
HMB : 32768 - 65536 KB (Enabled, 64 M)
Size : 244198 MB [256.1 GB]
LBA Size : 512
AdminCmd : 0x00 0x01 0x02 0x04 0x05 0x06 0x08 0x09 0x0A 0x0C 0x10 0x11 0x80 0x81 0x82 0xC0 0xC1 0xC2 0xC4 0xC8
I/O Cmd : 0x00 0x01 0x02 0x09
Controller: [SM2263XT] bufferless
Bank00: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xe6,0x0,0x0,0x0 - Micron 96L(B27B) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
Bank01: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xe6,0x0,0x0,0x0 - Micron 96L(B27B) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
Bank02: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xe6,0x0,0x0,0x0 - Micron 96L(B27B) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
Bank03: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xe6,0x0,0x0,0x0 - Micron 96L(B27B) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
Channel: 4
CE : 1
Plane : 4
Die/Ce : 1
Ch map : 0x0F
CE map : 0x01
Bit Per Cell : (TLC)
Inter. : 1
Pages/Block : 3456(1152)
First Fblock : 1
Total Fblock : 338
Total Hblock : 3816
Fblock Per Ce : 338
Fblock Per Die: 338
Original Spare Block Count : 19
Vendor Marked Bad Block : 0
Bad Block From Pretest : 9
SM2263XT Telemetry data:
VERSION : 1
Temperature : 28
Total LBAs Read : 60 [0GB]
SLC Available Spare Blocks (SLC) : 19
High Temp : 28
Low Temp : 23
Avg Temp : 25
SLC Nand Data Read (SLC) : 118240
SLC NAND Writes (SLC) : 14176
Current TLC spare super block (TLC/MLC) : 301
Current SLC spare super block (SLC) : 320
SLC Erase cycle Max : 1
SLC system block writes(sector) : 30
smi_nvme_flash_id_ec.txt
Block Erase Count
1 0
2 0
3 0
4 0
5 0
6 1
7 0
8 0
9 0
10 0
11 0
12 0
13 0
14 0
15 0
16 0
17 0
18 0
19 0
20 0
21 0
22 0
23 0
24 0
25 0
26 0
27 0
28 0
29 0
30 0
31 0
32 0
33 0
34 0
35 0
36 0
37 0
38 0
39 0
40 0
41 0
42 0
43 0
44 0
45 0
46 0
47 0
48 0
49 0
50 0
51 0
52 0
53 0
54 0
55 0
56 0
57 0
58 0
59 0
60 0
61 0
62 0
63 0
64 0
65 0
66 0
67 0
68 0
69 0
70 0
71 0
72 0
73 0
74 0
75 0
76 0
77 0
78 0
79 0
80 0
81 0
82 0
83 0
84 0
85 0
86 0
87 0
88 0
89 0
90 0
91 0
92 0
93 0
94 0
95 0
96 0
97 0
98 0
99 0
100 0
101 0
102 0
103 0
104 0
105 0
106 0
107 0
108 0
109 0
110 0
111 0
112 0
113 0
114 0
115 0
116 0
117 0
118 0
119 0
120 0
121 0
122 0
123 0
124 0
125 0
126 0
127 0
128 0
129 0
130 0
131 0
132 0
133 0
134 0
135 0
136 0
137 0
138 0
139 0
140 0
141 0
142 0
143 0
144 0
145 0
146 0
147 0
148 0
149 0
150 0
151 0
152 0
153 0
154 0
155 0
156 0
157 0
158 0
159 0
160 0
161 0
162 0
163 0
164 0
165 0
166 0
167 0
168 0
169 0
170 0
171 0
172 0
173 0
174 0
175 0
176 0
177 0
178 0
179 0
180 0
181 0
182 0
183 0
184 0
185 0
186 0
187 0
188 0
189 0
190 0
191 0
192 0
193 0
194 0
195 0
196 0
197 0
198 0
199 0
200 0
201 0
202 0
203 0
204 0
205 0
206 0
207 0
208 0
209 0
210 0
211 0
212 0
213 0
214 0
215 0
216 0
217 0
218 0
219 0
220 0
221 0
222 0
223 0
224 0
225 0
226 0
227 0
228 0
229 0
230 0
231 0
232 0
233 0
234 0
235 0
236 0
237 0
238 0
239 0
240 0
241 0
242 0
243 0
244 0
245 0
246 0
247 0
248 0
249 0
250 0
251 0
252 0
253 0
254 0
255 0
256 0
257 0
258 0
259 0
260 0
261 0
262 0
263 0
264 0
265 0
266 0
267 0
268 0
269 0
270 0
271 0
272 0
273 0
274 0
275 0
276 0
277 0
278 0
279 0
280 0
281 0
282 0
283 0
284 Bad
285 0
286 0
287 0
288 0
289 0
290 0
291 0
292 0
293 0
294 0
295 0
296 0
297 0
298 0
299 0
300 0
301 0
302 0
303 0
304 0
305 0
306 0
307 0
308 0
309 0
310 0
311 0
312 0
313 0
314 0
315 0
316 0
317 0
318 0
319 0
320 0
321 0
322 0
323 0
324 0
325 0
326 0
327 0
328 0
329 0
330 Bad
331 Bad
332 Bad
333 Bad
334 Bad
335 Bad
336 Bad
337 Bad
smi_nvme_flash_id_smart.txt
-------- NVME SMART --------
0 Critical Warning : 0
1 Composite Temperature : 55
2 Available Spare : 100
3 Available Spare Threshold : 10
4 Percentage Used : 0
5 Data Units Read,MB : 0
6 Data Units Written,MB : 0
7 Host Read Commands : 12
8 Host Write Commands : 0
9 Controller Busy Time : 0
10 Power Cycles : 4
11 Power On Hours : 0
12 Unsafe Shutdowns : 3
13 Media and Data Integrity Errors : 0
14 Number of Error Information Log Entries : 0
15 Warning Composite Temperature Time : 0
16 Critical Composite Temperature Time : 0
25 Thermal Management Temp 1 Transition Count : 0
26 Thermal Management Temp 2 Transition Count : 0
27 Total Time For Thermal Management Temp 1 : 0
28 Total Time For Thermal Management Temp 2 : 0