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RadeonよりGeforceがゲームに強い理由

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RadeonとGeforceの性能を見るとメモリの帯域や演算性能はRadeonの方が勝っているのにベンチマークの性能はGeforceの方が優れていることが多くて不思議に思っている方も多いと思います。

何故なのでしょうか?

nVidiaは2014年からnVidia Game Worksというゲーム製作のフレームワークを提供しています。

このnVidia Game Worksはゲーム製作のSDKとかツールとかだけではなく、nVidiaが提供するゲーム開発者への支援という意味合いが強いです。

nVidia Game Worksは以下の三つの要素(サービス)が提供されています。

「GameWorks Research」

「GameWorks Library」

「Developer Tools」

このうち「GameWorks Library」「Developer Tools」は我々が普通に想像できるようなライブラリや開発ツールなどのソフト的なものです。

しかし、「GameWorks Research」は、

GameWorks Researchは人的支援システムで,要は,NVIDIAの技術開発スタッフが,ゲーム開発スタジオから受けた技術的案件に関する研究を行い,ソリューションを提供するというものだ。ある意味で「ゲーム開発技術コンサルタント」的なサポートだといえる。

ソース:4gamer.net - NVIDIA,ゲーム開発者のための開発技術支援ブランド「GameWorks」を発表

とあるため、nVidia Game Worksは我々が想像しているような単純なAPIとかSDKとかライブラリの集合体ということではないようです。

こうしたGPUメーカー独自のサービスを利用した場合、最終的には当然nVidiaのGPUに最適化するわけです。

そういうこともあってnVidiaのGPUの方がよりゲーム側が最適化していき、AMDのGPUよりゲームに強いという評価になっていくわけです。

日本のゲーム会社で言えばSQUARE-ENIXはnVidia Game Worksを利用していると言われています。

 

こうした構図はCPUでも同じ

かなり昔の話ですが、K7が出たころintel製のコンパイラでコンパイルするとintelのCPUよりAMDのCPUの方が速くプログラムが実行されるということがあってすぐに修正されました。

AMD製のCPUではあまり効率よく実行できないプログラムを出力するようになったようですが、CPUやコンピューターのシステムというのAVX-512とか新しい仕組みを実装してもソフト開発者が利用してなかったら意味がないわけです。

intelの場合、注目される技術が使われていれば草の根レベルのソフト開発者にも声をかけてintel製のCPUに最適化してくれるようにお願いしているようです。

開発者の方もintelみたいな巨大な企業から声をかけられると嬉しくなって対応してしまうわけですね。

こんな風にリソースのある大企業というのはいろいろな手段が打てるわけです。

AMDを選ぶ人というのは私を含めてこうしたことを理解した上で敢えて選ぶ人が大半ですので、比較的上級者の人が多いと思います。

当サイトでもRyzenは初心者向けではないとはっきりとお断りを入れています。

同じプログラムが実行できるのに何が違うんだと思われる方もいると思いますが、はっきり言えばこういうことが違います。

製品というのはこうした周辺技術の集合体です。

AMDが単体で勝負してもやはり、「スペック上では上だけど、なぜかintel製品の方がパフォーマンスが良い」ということになってしまうわけですね。

私が言っている「初心者の方はintelを選ばれるのが無難です。」という一言にはこうした状況も含まれているわけです。

逆に言えば市場はintel一色なのにRyzenはよく頑張っているとも言えます。

ただし、普通に使う分にはすでにCPUの性能は飽和していますので、GTX1080TiとかSLiでも使わない限りはゲームにおいてもあまり差が出ることはありません。

LoLなどでフレームレートが極端に落ちるなど一部問題のあるゲームも報告されていますが、このような情報を自分で入手できるようなアンテナを持ってない限りはRyzenはお勧めしません。

 

それはRadeonに関しても同様です。

GPUに関しては懐かしい話ですがnVidiaは初期のころでは3Dmark系のベンチマークソフトのスコアがよくなるように描画を省略するチートドライバを提供してたりしてましたが・・・

ソース:slad.jp - NVIDIAのベンチマーク不正に対応した3DMark03アップデート

昔から自作やってる人は「チートドライバのnVidia」という印象を持ってる人も多いです。

同世代の人は、「おお、そういうこともあったなあ、懐かしい」と感じると思います。

私もゲームに使わないならばRadeonを選択します。

上で書いたような事情を知ってるからです。

私はいまだにそういう印象を持っているので、ズルをするのはこういう性能で勝負する製品を出している会社にとってはかなりのマイナスになります。

ゲームに使うなら流石にnVidiaを選びますが、その他の用途では何となくnVidiaを使うのは気が進まないという印象が残っています。

その後ズルはやめて、上で説明したように地道にゲーム開発者たちをサポートする方向にかじを切ったようです。

nVidiaのトップはまともな判断力というものが備わっていたということです。

やはり変なドライバを出すよりも地道にゲーム開発会社をサポートする道を選んだほうが評価が高くなるということです。

短期的な視野で不正を行うよりも結局地道な努力をしたほうが結果が良くなるということです。

チートドライバ騒ぎがあったころと比較すると、こんな風に市場がnVidia一色になってしまったのは隔世の感があります。

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