今回はメモリに関してお話をしたいと思います。
今回の話を始める前に当サイトのコンテンツ「メモリについて」は必ず読んでおいてください。
最低限度のことが書いてあります。
私が自作ユーザーであることはここに来られているユーザーの方ならご存知かと思いますが、私は自作を始めてからメモリの相性問題に一度もぶつかったことがありません。
始めたころは恐らく100%運だったと思いますが、最近では相性が厳しいと言われるマザーボードでも相性問題は問題なくクリアしてきました。
BTOの場合でも一番自力で拡張する可能性が高いのはメモリだと思います。
BTOの場合だとシングルチャンネルで出荷されるモデルもありますので、そのようなモデルを増設する場合、一番良いのはメモリの型番を調べて同じメモリを注文することです。
メモリの型番を確認するには本体の電源を切ってからコンセントを外し、本体を開けてメモリを外してどのようなメモリが使われているか確認しなければなりません。
たいていの場合、メモリにはシールが貼ってあり、型番を確認することができるようになっていると思います。
自作などの場合、バルクメモリで一切シールなどが貼ってないメモリを使うことが稀にありますが、今はそういうこともほとんど無いと思います。
※ こういう場合は買ったところに電話で確認を取るか、メモリの基板にプリントされている型番らしき文字を片っ端から調べて検索するしかありません。
BTOの場合は確認したわけではありませんが、おそらくシールが貼ってあり、メモリの型番が確認できるようになっていると思います。
上の画像の場合だと、シールから読み取れる情報は elixir/M2U51264DS8HC3G-5T/512MB DDR-400MHz-CL3/PC3200U 30331です。
順番に解説しましょう
elixirはメーカー名です。一般の人は聞いたことが無いと思いますが、自作ユーザーにとってはかなり有名なメーカーです。
M2U51264DS8HC3G-5Tが型番になります。これで検索するだけでどんなメモリなのか詳細を知ることができます。
512MB DDR-400MHz-CL3とPC3200U 30331がメモリのスペックになります。DDRの512MBのメモリですからかなり古いメモリですね。動作クロックは400MHzです。CL3に関してはここでは説明を割愛します。今後、機会があったら解説します。
今がDDR4ですから、DDRメモリというのは3世代前のメモリになります。このような古いメモリでも型番がわかれば検索すればちゃんと出てきます。
DDR4であれば、現役のメモリですから、検索すれば通販で取り扱ってるショップが出てくると思います。BTOの場合は大抵のショップは仕入れ先が決まっていますので、同じメモリを取り扱っているはずですから、型番がわかれば同じものが購入できると思います。
現在動いているメモリと同じメモリを購入すれば動くのは確実ですので、相性問題にあたることは100%あり得ません。
それでは1から増設する場合や、4つメモリスロットがあり、2つに挿さっているメモリがもし万が一すでに手に入らなかった場合はどうするか?ですが、このような場合はまずは使われているマザーボードの型番を確認してください。
ここでは例としてASUSのROG STRIX Z370-F GAMINGを例に挙げてみましょう。
ROG STRIX Z370-F GAMING - Memory / Device Support
どこのメーカーでもほぼ上のようなページがあります。
ここの「ROG-STRIX-Z370-F-GAMING_Memory-QVL_20180223」をダウンロードしてください。
PDFファイルにメーカーが動作確認してあるメモリモジュールの一覧が載っています。
(この動作確認をバリデーションと言います。)
ネット上にはおまじないみたいな変な理屈が書いてあることがありますが、難しいことは考えなくてもこの表に載っているメモリを購入すれば不具合にあたることはまずありません。
※ デュアルチャンネルの場合、同じメモリを二枚一組で増設してください。
私は相性問題が厳しいとされているマザーボードでもこうしたメーカーが動作確認を取っているメモリを購入して組み合わせて動かなかったことは一度もありません。
稀に日本では入手しずらかったり、売ってないメモリが掲載されていることがありますが、複数のメーカーの複数のメモリが掲載されていますので、たいていの場合は普通に手に入ります。
※ こういうケースは相性問題が厳しいマザーボードで多いです。
メモリの相性問題が怖い方はこのような方法で購入するメモリを決めれば99%相性問題にあたることはありません。
安全性を取るならば、このようにメーカーがお金と人と時間をかけて動作確認を取っているメモリを買うのが王道です。
自作ユーザーの方で特に初物の製品や相性問題が厳しいと言われている製品を買う場合はこのように購入するメモリを決めると不具合に当たる確率を激減させられます。
問題の多いプラットフォームや製品で妙にケチって安いバルクメモリを買うと、思わぬ相性問題に引っかかることがありますので注意しましょう。
今後メモリの世代が変わり、DDR5やHBM2/3がメインメモリの規格になったとしてもこの方法は通用しますので、覚えておくとよいと思います。
最近のintelプラットフォームではほとんど相性問題は聞きませんので、ほとんどの場合、ここまで神経質になることはありません。
しかし、不安な場合はこの方法でメモリを探せば安心です。
不具合にあたる確率を激減させる方法は、「高品質電源を使うこと」とこの方法の様に「メーカーが動作確認を取ったメモリを使うこと」この2点です。
ちなみに私はmemtest86/+系のメモリテストは24時間完走否定派です。
それでも一応はやりますが、自分の時で2周、人に頼まれるか重要な用途だと4周ですかね。
※ 4周するのはエクスキューズのためです。ほかに理由はありません。
それ以上の品質を求めるならECC使いなさいという感じです。
グーグルのサーバーの資料ですが、ECCメモリを使ったマシンでも一年間に4000回近い訂正可能なメモリエラーが発生しているとのこと。
ソース:グーグルの研究が示すメモリエラーの真実--明らかになった高い発生率
24時間動かしたら一回くらいは起きる可能性は結構高いということですよ。
メモリのエラーなんてハードの不具合以外でも発生する可能性があります。
これだけ発生率の高いエラーに神経質になるのはナンセンス。
普通のマシンにはECCなんてついてませんから、何ら不具合が無くても年間4000回発生するエラーが一回でも起きたらメモリエラーです。
仮に発生したとして、普通の人に通常使用で発生するメモリエラーとハード欠陥のメモリエラーの切り分けができるのかという問題もあります。
普通のデスクトップ向けPCは24時間365日連続稼働に耐えられるようにはできてません。
そういう品質を求めたければECCメモリやRegisteredメモリ搭載可能プラットフォームを導入すべきです。
当然導入コストは跳ね上がりますが、信頼を買うというのはそういうことです。
クリエイター・設計などをされる方や特殊用途で100万円から1千万円単位のデータ扱われる方は何もなくてもECCメモリを使ったプラットフォームを導入したほうがいいですよ。
そこはケチるところではありません。
デスクトップ向けプラットフォームというのは品質と信頼性を価格で割り切ったプラットフォームです。
そこに過剰な信頼性を求めるのは無意味です。
そんな無駄なことに時間を使うくらいなら、高品質電源と瞬停・ノイズ対策の低容量UPSでも入れたほうが100000000倍くらいマシです。
自分からありもしないエラーを追求していくようなテストは正直ナンセンス。
安定性や信頼性が欲しければお金を出しなさいというのはPCの世界の鉄則です。
信頼性のために金は一円も出さないで、ひたすらメモリのエラーを追求していくのははっきり言って時間の無駄です。
PCという合理性の塊のデバイスを使って「イワシの頭も信心から」みたいな行動をとってる人はそろそろやめたほうがいいと思います。
不具合にあたっている人の話を聞くと、
1.安い電源を使っている
2.変な(安い)メモリを使っている
大体この2点です。あとは初期不良ですかね。これは運の問題なのである意味どうしようもありません。
自作のポイントは「性能」「価格」と「品質」です。
たいていの人は「性能」と「価格」にだけしか目を向けません。
この「品質」に目を向けられるようになったら一人前だと思います。