ValveはSteamの一定の売り上げを超えた場合の収益分配率を更新したことが明らかになりました。
収益1,000万ドル(11.3億円)を超えると、開発者とバルブの間の分割は通常の70%/ 30%ではなく75%/ 25%になります。
5,000万ドルを超えると、分割は開発者にとってさらに有利になり、80%/ 20%に調整されます。
明らかに、これはSteamの代わりに、独自のプラットフォームを作成しようとしている大手開発会社やパブリッシャーをとどめようとする試みです。
例えば、ActivisionはBattle.netでDestiny 2とCall of Duty:Black Ops IIIIをリリースしました。
オーソリティメンバーは、Steamworksへの次回のログイン時にすべての条件と詳細を確認できますが、このメモの変更点のいくつかを強調したいと思います。
Steamのような大規模なネットワークの価値は、すべての参加者に寄与して共有する多くの利益をもたらします。
これらの貢献を反映するために適切なバランスを見つけることは、機能の良好なネットワークでは難しいが重要な要素です。
成功したゲームや大勢のユーザーがネットワークの影響に重大な影響を与えていることが明らかになったため、Steamはこれらのゲームの魅力的なプラットフォームとなり続けることをネットワークのすべての参加者にとって重要な目標にしています。
そのことを念頭に置いて、一定の収益レベルを達成するゲームのための新しい収益分配層を作成しました。
2018年10月1日以降、Steamでゲームが1,000万ドル以上になると、そのアプリケーションの収益分配率は1,000万ドル以上の収益で75%/ 25%に調整されます(その日より前の収益は含まれません)。
50百万ドルで、収益シェアは50M以上の収益で80%/ 20%に調整されます。
収益には、ゲームパッケージ、DLC、ゲーム内販売、コミュニティマーケットプレイスのゲーム料金が含まれます。
私たちの希望は、この変更が大きなゲームの開発者によって生み出された肯定的なネットワーク効果に報酬を与え、Steamとコミュニティとの関心をさらに一致させることです。
また、販売データの機密性に関する契約を変更しました。
私たちは頻繁にSteamで自分のゲームの販売に関する第三者または公に他の開発者と話をしたいパートナーからの質問を受けます。
私たちはもう知っています。
私たちは機密保持規定を更新して、パートナーが自分のゲームに関する販売データを適切に共有できることを明確にしています。
ソース:wccftech - Valve Updates Revenue Share Tiers, Trying to Keep Big Developers on Steam
Steamがどんな仕組みでゲームの販売をしているかはいつか話をしようと思っていましたが、こういう話はなかなか表に出てきません。
今回も内容としてはあまり大した中身ではありませんが、Steamの内情というか、収益の分配率が更新されたというニュースです。
この手の話が公に出回るのはなかなか珍しいのはではないかと思います。
流れとしては「Call of Duty」シリーズのActivisionや「Battle Field」シリーズのEA、「Fortnite」のEpic Gamesもすべて自社の販売ネットワークを作って自社ポータルで販売する流れになっています。
こうした動きをけん制しようとValveは分配率を改善して、必死で大手のタイトルをSteamにとどめようとしています。
こうした大手の「Steam離れ」は収益分配率のほか、単純にユーザーからどのくらいマーケティングに関する情報を得られるかと、ゲームのプロモーションに関すること、などといった自由度に関する点も不満になっているようです。
日本の大手開発会社やデベロッパーについてはまた別で、日本のゲームはまずPS4があり、そこに出すことを前提に開発しています。
PS4で発売されたビッグタイトルはおよそ2年後でなければSteamで販売しないという不文律が存在するとされています。
例
Final Fantasy XV
PS4版 2016/11/29
PC版 2018/3/29
ActivisionやEAはCall of DutyやBattle FieldシリーズをPCも含めたマルチタイトルでほとんど同時に発売していますので、これができない日本の開発会社はかなりの機会損失をしているといってもよいかもしれません。
これらのタイトルはとりあえず出せば売り上げ1000万本がスタートラインです。
マルチタイトルで魚を網で取るようにPC、Xbox、PS4で売り逃しを極力小さくするように販売しています。
収益をできるだけ安定させることによって、次回作も大量の開発費を投入し、さらに多くの人を集めて売り上げを増やし、ライバルより有利な状態を作り出そうと必死にゲーム制作を行っているということです。
ソニーも大規模な先行投資を行ってPS4というプラットフォームを作っていますので、当然といえば当然ですが、この支配力は日本の人口が減っていることもあり、おそらくは今後どんどん弱くなっていくでしょう。
モンスターハンターワールドは2018年1月26日にPS4版が発売され、PC版は9月でした。
あと何年かしたら、日本のゲーム会社も海外に開発拠点を置き、日本と世界で同時にPC、Xbox、PS4でマルチタイトルを出すようになるのが当たり前になるかもしれません。
逆にそれができない会社はこれから淘汰されていく可能性大です。
今は大人もゲームで遊んでいますので、ぎりぎり売り上げは維持されていますが、ゲームをプレイする世代の人口減少が始まったらそうならざるを得ないでしょう。
「ゲームなんて子供のおもちゃ」と言ってる人がよくいますが、世界ナンバーワンのMMOタイトル「World of Warcraft」の最盛期の一か月の収入(12憶ドル)は映画「タイタニック」の全米興行収入(6憶ドル)の二倍で、そういうことを言ってる人には、「ゲームのビッグタイトルの収益はお前の会社の数年分の売り上げより上だよ」と言ってあげましょう(笑。
たいていの場合は成立する図式です。
こういうことを言ってる人は完全に時代遅れ、時代についていけない生きる化石です。
「ゲーム脳」という人が少なくなったのは、ゲームが一大産業になり、巨大な金額が動くようになって業界への批判ができなくなってきたことも関係していると思います。
もはやゲーム業界というのはマイナーな日陰産業ではないということです。
余談ですが、eSportsはゲーム開発者だけではなく、プレイヤーが尊敬されるのが当たり前になる世界がやってくるかもしれないという点で、とても意義が大きいと思います。
特にわたくしも含めて我々の世代は世間がゲームに対して批判的だった時代を過ごしていますので、世相や社会に対するルサンチマンはかなり大きい人が多くいるんじゃないですかね。(笑
最近のeSports関連の動きを見ているとそう強く感じます。
このサイトもわたくしの当時のルサンチマンが原動力の一つであると思います。
女優の本田翼さんもゲームの実況チャンネルをやっていますが、リア充の象徴である芸能人それも女優さんがゲーム実況チャンネルなんてやるあたり、時代は変わったなとしみじみ思います。