工場の火事などによる生産設備の喪失と旺盛なメモリ需要によって高止まりが続いていたメモリ価格についに下落の兆しが現れました。
まずはこちらの記事を見ていただきましょう。
Bloomberg - 半導体株が下落、メモリー市場に懸念も
Bloomberg - サムスン電子:半導体増産ペース減速を計画、価格維持で-関係者
先月の話ですが、DRAMの価格頭打ち、Flashメモリの供給過剰の両面から半導体企業の株価が下落しています。
またDRAM Exchangeでは8月のサプライヤーと顧客間での交渉で契約価格の下落が確認されたとのことで、ずっと値上がり、高止まりが続いていたDRAM価格がようやく下落傾向に転じたということのようです。
韓国のサムスンは価格維持のため生産量を調整するようですが、DRAM価格が下落局面に入ったことは間違いないでしょう。
18/Q4契約分は契約価格が0から-4%落ちているとのことですから、私が以前の記事で書いたように2019年からはようやくDRAMの価格が落ち着くようです。
DRAM Exchangeでは2019年には最大25%程DRAMの価格が落ちると予測されており、プロセスルールの進化に伴って各パーツの価格上昇にあえぐ自作ユーザーにとっては唯一のうれしい福音となりそうです。
アメリカの自作ユーザーなんて米中貿易戦争のあおりをもろに食らってます。
来年から25%の関税ってひどいですね。
AKIBA PC Hotlineの相場情報でも2018年の7月から明らかに価格の下落が報告されています。
Akiba PC Hotline - DDR4 8GB×2枚組が一時15,000円割れ、1年ぶりの安値を記録
メモリ価格の高騰でPCの新調を見合わせていた方は年末から来年初め以降、いよいよPCの買い時がやってきたというところでしょうか。
それとは裏腹なintel CPUの品薄傾向
以前の記事でも書きましたが、メモリと対象的なのはintel CPUの品薄傾向です。
intelのCPUは独占商品ですので、需要の読みと供給量は比較的予測しやすいのですが、予想外の需要があったようですね。
メモリの価格が下落しているにも関わらず、CPUは品薄傾向というのは何か不思議な感じがしますが、DRAMは複数のメーカーが生産を行っている都合上、供給が過剰になったからと言って簡単には生産調整が出来ないということなのでしょう。
折角メモリが安くなったにも関わらず、今度はintelのCPUが品薄で値上がり傾向というのは皮肉な話です。
結局PCの買い時はいつなのか?
私は友人にこの質問をされた時、「あなたが欲しい時が買い時です。」と答えています。
現在のタイミングとしては、
・DRAM 値下がり傾向・・・待てばもっと下がる
・CPU 品薄傾向・・・2019年まで供給が改善しない
・GPU RTX2080Tiが極めて品薄。改善される時期は不明。
というような状況になっています。
PCのパーツ交換のタイミングとしてはRTX2000シリーズに変わりましたのでよいと思いますが供給が安定していません。
CPUに関しては、ゲーミングPCならば、特別な理由がない限りCore i9-9900Kにはさほどこだわらなくてもよいと思います。
特に旧作中心でプレイされている方でCore i7-8086Kを持っておられる方は1or2コアのターボクロックが同じ5GHzであり、さほど快適さが変わるようなものでもありません。
Core i7-7700K以前のCPUをお持ちの方で、4KでRTX2080/Tiなどと組み合わせて最新のゲームをプレイされているような方は是非とも手に入れておいた方がよいでしょう。
DRAMに関しては待てるならば2019年に入るまで待った方が安く買えます。
個人的な予想ですが、GPUに関してはRTX2080Tiの入手性が改善されるのは来年2月くらいなんじゃないかと思います。
現在は品薄傾向が強いですが、価格的に言ってもそれほど数が売れるようなものではありません。
あまりに高価ですから、RTX2000シリーズから「2080Tiはあきらめて2070にしておく」層が一定数出てくるものと思います。
ですから、GTX1080Tiよりは数は出ないと思います。
GTX1080Tiは高騰する前は10万以下で「頑張って買おう」と思える価格ですが、RTX2080Tiはさすがにあきらめる層が相当数出る価格だと思います。
今は品薄ですが、一通りいきわたって落ち着いた場合、おそらくあまり品物が動かなくなるんじゃないかと思います。
今はマイニング需要がありませんので、一旦各ショップに在庫が残って「いつでも買える」状態になった場合、ほとんど動かなくなるんじゃないかと思っています。
16-18万円というのはそうそう売れる価格ではありません。
下手すると1か月分の給与よりも上の金額ですから、これをたった1個のPCのパーツにつぎ込むのはかなり勇気が要るでしょう。
RTX2080Tiと転売屋
品薄商品を見つけるとハエのように集って来る困ったチャンの転売屋ですが、RTX2080Tiは転売商品としては向いてません。
amazonで転売屋が日本価格の倍ほどで取り扱いしていますが、こんな高額商品がダブついたら最後ですし、よくこんなリスキーな商品を取り扱うなと思います。
来年の2月と予想しましたが、速ければ10月23日以降だぶつく可能性もあるんじゃないかなと密かに思っています。
だって日本での実売16万円以上ですよ?こんなパーツを欲しがる人(買おうと思う人)がそれほど多いとは思えません。
価格的に言っても転売屋が買い占められるような価格でもありません。
30万とか40万とかいう価格で転売しようとしても、今度はRTX2080Tiを搭載した完成品が買えてしまいますので、高額なこともあってリスクも高く転売屋的には非常に売るのが難しい商品でしょう。
倍の価格を付けたところで売れるわけがありません。
完成品PC(BTO)はoemに近い供給ルートになっているでしょうから、いくら転売屋が買い占めしようとしても手が出せないでしょう。
この構図がある限りRTX2080Tiが極めてハイリスクな転売品であることには間違いが無いと思います。
またマイニング需要がありませんので、初物のボーナス時期が終わって供給が安定してくれば価格的に言ってもそれほど動く(売れる)ものではありませんので徐々に価格が下がっていくことと思います。
CPUに関しては2019年は確実にIceLakeという設計が全く新しいCPUが発売されます。今のタイミングで購入するのが正しいのかどうかについては疑問です。
それでもCore i4000シリーズ以前をお持ちの方は今回買い替えされたほうがよいと思いますが、それ以外の方は来年まで待った方がよいと思います。
もちろんですが、新規に購入予定の方は今すぐ買いましょう(笑
こうしたことを考えるといつまでたっても買えませんから、私は友人・知人には「欲しい時が買い時」と言ってます。