
※ 画像は記事の内容をもとにしたイメージです。必ずしも現実を反映しているわけではありませんのでご注意ください。
■事実
今回の値下げの内容
WalmartがGIGABYTE Radeon RX 9070 XT Gaming OC 16GB(型番:GV-R9070XTGAMING OC-16GD、ブラック)を$549.99で販売。AMD公式MSRP $599を$50下回る価格です。
同カードはそれまで$649.99で販売されており、今回$100の値下げとなります。AmazonやNeweggでは現在も$629〜$679で販売中で、Walmartの価格は$130以上安くなっています。
ただしこの価格はセッションや地域によって表示が異なる可能性があり、Walmartのキャッシュページでは依然$679.99表示も確認されています。購入前に最終価格の確認が必要です。
RX 9070 XTは2025年3月6日に発売。発売後8ヶ月間MSRP付近の価格には届かず、ようやく2025年11月頃にMSRPに到達した経緯があります。
RX 9070 XTのスペック(参考)
RDNA 4アーキテクチャ(Navi 48 XTX)、4096シェーダープロセッサ、レイトレーシングアクセラレーターコア×64、テンソルコア×128、ブーストクロック最大2970MHz、GDDR6 16GB(256ビット)、TDP 304W、PCIe 5.0 x16接続です。
価格下落の背景:需要の失速
今回のMSRP割れは一時的なセールではなく、需要減退が根本原因とされています。供給が増える一方で消費者需要が収縮しており、小売業者が在庫をMSRP以下で捌かざるを得ない状況になっています。
AMDは直近の決算説明会で、2026年下半期のゲーミング収益が部品コスト上昇により約20%減少する見通しを示しています。
ドイツの大手小売MindfactoryではRX 9070 XTが2026年3月に週間販売ランキング1位を維持した一方、同期間のGPU全体の販売台数は前年比67%減と激減している。「売れ筋ではあるが、市場全体が縮小している」という構図です。
RX 9070 GREとの価格的競合
AMDは2026年6月2日、かつて中国市場限定だったRX 9070 GREをグローバル展開。価格は$549で、今回のWalmartのRX 9070 XTと同値です。ただしRX 9070 GREはCU数48(RX 9070 XTの75%)、VRAM 12GB(25%少ない)、メモリバス幅192ビットと大幅にスペックダウンしたモデルです。
AMD GPU全体の市場シェア状況
調査会社Jon Peddie Research(JPR)によると、AMDの離散型デスクトップGPU市場シェアは前年の12%→8%→現在6%まで低下です。NVIDIAが94%を押さえる構図が続いています。
比較表
| モデル | 価格(米国・参考) | CU数 | VRAM | メモリバス | TDP |
|---|---|---|---|---|---|
| RX 9070 XT(MSRP) | $599 | 64 | 16GB GDDR6 | 256bit | 304W |
| RX 9070 XT(Walmart今回) | $549 | 64 | 16GB GDDR6 | 256bit | 304W |
| RX 9070(MSRP) | $549 | 56 | 16GB GDDR6 | 256bit | 220W |
| RX 9070 GRE(MSRP) | $549 | 48 | 12GB GDDR6 | 192bit | 220W |
| RTX 5070 Ti(MSRP) | $749 | — | 16GB GDDR7 | 256bit | 300W |
解説
「Radeonは人気ない」は正確ではなく「DIY PCを組む人が減っている」が正確だ。RX 9070 XTはドイツの主要小売でトップセラーを維持している。問題はパイ自体が縮んでいること。
パイが縮んでいる原因はRAMageddon——32GB DDR5キットが昨年秋の$95から現在$300〜400台に高騰しており、「GPUを買ってもRAMに追い金が要る」という状況が新規自作PC需要を直撃している。
MSRPを$50下回る価格がついてもAmazon・Neweggでは依然$130高い。Walmartのこの価格は在庫処分的な性格が強く、市場全体のトレンドとは言い切れない点に注意。
$549というプライスポイントは今や同社のRX 9070 GRE(スペックダウン版)のMSRPと同値。「XT」が「GRE」と同じ値段で買えるなら明確にXTの勝ちだが、在庫があるうちに限った話だ。
AMD全体のGPUシェア6%という数字は額面通りに受け取るのは危険。JPRが計測するのは「AIBへの出荷数」ベースで、NVIDIAのFounders Edition(直販)は含まれない。また台数ではなく金額ベースなら差は縮まる。とはいえ差が大きいのは事実だ。
RAMageddonが続く限り、GPUがどれだけ値下がりしてもトータルのPC組み立てコストは下がらない。「GPUは安い、でもRAMが高くて結局組めない」という皮肉な状況が2027〜2028年まで続く見込み。
RAMが高すぎてGPUの値下がりを誰も喜べないという状況、GPUメーカーからすればとばっちりにもほどがある。
今が買い時かどうかは、RAMをいくらで調達できるかによって答えが変わる時代になった。
小売棚に値札付きで展示されたAMD Radeonグラフィックスカードの商品写真風イメージ。ドラマチックなスタジオ照明、赤のアクセント照明、広告スタイル(参照用)