ゲームについて

「Tides of Annihilation」開発元、NVIDIAとEpic Gamesの技術支援でジャイアントナイト戦のフレームレート問題を改善——夏のハンズオンイベントも発表

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コ崩壊したロンドンに佇む巨大な鎧の騎士、ゴシック建築に絡まる魔法の蔓、劇的な曇り空と青白い神秘的なエネルギー。

■事実

ゲーム概要

中国の成都を拠点とするEclipse Glow Gamesが、シングルプレイヤー向けファンタジーアクションアドベンチャー「Tides of Annihilation」を開発中です。

2025年2月のSony State of PlayおよびXbox Partner Previewで初披露。開発エンジンはUnreal Engine 5です。

アーサー王伝説をベースにした世界観。舞台は「アヴァロン」からの侵略によって崩壊した現代のロンドンです。

主人公グウェンドリンは都市唯一の生存者として、妹の救出とアヴァロンの真相解明を目的に戦う。敵対者はモードレッドです。

最大4人の亡霊騎士(円卓の騎士)と連携して戦う「デュアルフロントラインバトルシステム」を採用。2人の騎士を同時に操作し、うち1人はパートナー状態でグウェンドリンの攻撃を強化しています。

「ジャイアントナイト」と呼ばれる巨大ボスが景観に立ち回る。プレイヤーはその巨体に直接よじ登り探索できます。

スキルツリーと装備強化システムあり。ただし開発者は「従来アクションRPGより軽め」と説明しています。

対応プラットフォームはPC(SteamおよびEpic Games Store)、Xbox Series X|S、PlayStation 5。リリース時期は未発表です。

親会社はTencentで技術支援も提供(詳細は未開示)しています。

技術的問題と最適化

2025年の発表映像で、ジャイアントナイト戦でのフレームレート低下が明確に確認されていました。

2026年5月27日公開のメイキング動画で、Epic GamesとNVIDIAとの「深い技術的パートナーシップ」が明かされました。

リードテクニカルアーティストのカイ・ユアン(Kai Yuan)氏が、ジャイアントナイトのNaniteメッシュ向けに新たな「階層型マウンティングソリューション」を開発したと説明しています。

このシステムはNaniteの自動化された衝突処理・シャドウ最適化を活用し、高速移動中でも高品位テクスチャを維持しながら演算負荷を抑制します。

Unreal Engine中国地区テクニカルディレクターのウェイ・リウ(Wei Liu)氏がCPU・GPUの両ボトルネックを解析。テクスチャマップ・ロジック・アニメーションへの制御を強化して演算コストを削減し、ボス戦のフレームレートを改善しました。

DLSS(Deep Learning Super Sampling)およびパストレーシングのサポートはすでに発表済み。DLSS 4のマルチフレームジェネレーション(MFG)に対応しています。

新たにNVIDIAが詳細なパフォーマンス解析を提供、今後はドライバーレベルでの共同最適化も予定しています。

目標は最新ハードウェアから幅広い構成まで、安定したフレームレートとシネマティックな映像体験の両立しています。

夏のハンズオンイベント

プロデューサーのクン・フー(Kun Fu)氏が「2026年夏にハンズオンイベントを開催する」と表明し、全プレイヤーに参加登録を開放しています。

詳細スケジュール・場所・プラットフォーム要件は公式SNSで発表予定です。

発表の文脈から、会場限定デモではなくダウンロード可能なデモとして実施される可能性が高くなっています。

Summer Game Festが詳細発表の場として有力視されています。

ソース: https://www.youtube.com/watch?v=ZzSlj2DJnag

解説

問題を公表したこと自体が好印象

多くのスタジオはフレームレート問題を黙って修正するか、問題なかったように振る舞う。Eclipse Glow Gamesは旧映像での低下を認め、何をどう改善したかをエンジニアが顔出しで解説した。

これはAAA規模のスタジオでも珍しい透明性であり、小規模新興スタジオにとってはなおさら勇気ある選択だ。

「デビュー作に過剰な期待をかけないでほしい」という予防線ではなく、「問題を直したので見てほしい」という前向きな発信だ。

NVIDIAとの関係:ショーケースタイトル化の匂い

DLSS 4 MFG対応 → パストレーシング対応 → ドライバーレベルの共同最適化、と段階的にNVIDIAとの連携が深まっている。

これはNVIDIAが特定タイトルを「RTXゲームのショーケース」として育てる典型的なパターンだ。

DLSS MFGは生成フレームにプレイヤーの新規入力が含まれないことに注意が必要(ネイティブ描画レートでの入力応答性は変わらない)。競技志向のプレイヤーには無効化を推奨する環境が考えられる点を記事で補足すべきだ。

【ネタ候補】NVIDIAがここまで入れ込んでいると「GeForce Partnerのロゴがいつ付くか」というレベルの話になってきた。

Nanite×スケルトンメッシュの難しさ

NaniteはもともとUE5の静的メッシュ向けに設計された技術。アニメーションするスケルタルメッシュへの適用はさらに複雑で、スキニング処理とNaniteのクラスタストリーミングの両立が技術的課題になる。

「ジャイアントナイトにNaniteベースのソリューションを構築した」というのは、単なる最適化以上の技術的達成を示している。

Epic EngineチームがUE5の中国ローカルチームを出してきたことも示唆的——「この会社を成功させる必要がある」というEpic側の意志を感じる。

Black Myth: Wukongの影

Eclipse Glow Gamesの立ち上げ自体、「Black Myth: Wukong(黒神話:悟空)の成功に触発された」と明示的に報じられている。

成都+Tencent傘下+UE5+グローバル市場向けというプロファイルが酷似。Tencentは今や「中国発の高品位アクションゲーム」への投資ポートフォリオを積み上げている。

ただしBlack Mythは8年の開発期間と中国神話という「地産地消できない素材」を持っていた。アーサー王伝説は欧米にとってより身近な題材だが、その分「競合作品が多い」という側面もある。

発売時期への懐疑

夏のハンズオンイベントを発表しながら発売日は未定。一部メディアは「2027年以降」と見ている。

これは「完成度を高めるための時間確保」ではなく、「どこまで最適化できるか次第」という印象も拭えない。

「ジャイアントナイトに乗っている間はフレームレートが安定した」という体験談がハンズオン後に届く日を楽しみに待ちたい。

 

Tides of Annihilationのビジュアル戦略

Tencentの「分業」戦略:Black Myth vs Tides of Annihilation

Tencentは意図的に2本の中国産AAAタイトルをポートフォリオとして分離している。Game Science の「Black Myth: Wukong」は中国市場向け(西遊記=中国文化)、Eclipse Glow の「Tides of Annihilation」は欧米市場向け(アーサー王伝説=西洋文化)という役割分担を公式インタビューで明言している。

つまりこれは「偶然のアーサー王もの」ではなく、Tencentが明確に「欧米向け予算タイトル」として命令した戦略的プロダクトプレースメントだ。

「日本的ビジュアル」を「欧米向け武器」として使う逆説

グウェンドリンのキャラクターデザインは、欧米メディアから「Stellar Bladeに近い」「Final Fantasy / Square Enix的」と一貫して評されている。翻って言えば、中国のスタジオが日本的なアニメ調フォトリアリズムを欧米向けの訴求手段として意図的に採用している構図だ。

この「日本的ビジュアル→欧米市場」のルートはすでに実証済み:NieR: Automata(日本製)は欧米で800万本超を売り上げ、韓国の Shift Up が同じ文法で Stellar Blade を作り欧米で大ヒット。Eclipse Glow はその「成功した公式」をさらに輸入している形だ。

要するに「日本→欧米」が通ることを韓国が証明し、中国がそれをトレースする三段跳び構造になっている。

スタジオの構成がハイブリッドである点

Eclipse Glow GamesのスタッフはUbisoft、Gameloft、SEGAなどのOBが中核を占めており、純粋な中国産スタジオというより「中国に拠点を置く国際的なチーム」に近い。

Baldur's Gate 3でシャドウハートを演じた Jennifer English をメイン声優に起用した点も、「欧米市場を本気で狙っている」意思を示す具体的なコスト投資だ。

これらは偶然の組み合わせではなく、Tencentの「欧米攻略パッケージ」として設計されたと読むべきだ。

「日本的ビジュアルの欧米向け有効性」は本当に永続するか

この公式が通じるのは「日本ゲーム文化が欧米でステータスを得ているから」であり、それ自体は2010年代後半以降に成立した比較的新しい現象だ。

ただし参入者が増えるほど差別化が難しくなる:現在、同様の「日本的アニメ調フォトリアリズム」を採用する中国産タイトルは Phantom Blade Zero、Lost Soul Aside、Where Winds Meet、Wuchang: Fallen Feathers など複数が競合しており、公式がコモディティ化するリスクが出始めている。

Tides of Annihilationがこの群れの中で頭一つ抜けるには、技術的最適化(今回のNVIDIA/Epicの話)と同時に、「ビジュアルが似ているだけでない何か」を打ち出す必要がある。

売上予測への筆者の見立て

欧米向けとして設計され、Jennifer Englishを起用し、アーサー王という馴染みある世界観を持ち、NVIDIAのショーケースタイトルになりつつあるこのゲームは「売れる条件」を多く揃えている。

ただし発売日未定(2027年以降と目される)かつデビュー作であり、ダイアログとストーリーへの懸念は欧米メディアからも残っている——「ビジュアルで釣って物語でがっかり」は中国産AAAタイトルで繰り返されてきたパターンでもある。

「英国の騎士を、中国のスタジオが、日本のゲームの文法で作って、アメリカに売る」。これを成功させたら文化の輸送コストゼロの時代が来た、という話かもしれない。

ゲームのビジュアル文法として「日本語」が世界共通語になりつつある今、それを使いこなす中国スタジオが欧米市場に正面から挑む——そこで問われるのは結局、物語とゲームプレイの密度だけだ。

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