
■事実
AMD Radeon RX 9070 XTは、RDNA 4アーキテクチャを採用したNavi 48 GPUを搭載し、16GBのGDDR6 VRAMを持つミドルハイGPUだ。
2025年3月の発売以降、RTX 5070 Tiと互角以上の性能をより低価格で提供するカードとして注目を集めてきた。
フランスのハードウェアメディアHardware & Coは2026年2月21日、欧州の大手PCパーツ販売店2社から収集したRX 9070 XTの保証修理率データを公開した(https://hardwareand.co/actualites/breves/fiabilite-des-radeon-rx-9070-xt-quels-modeles-ont-les-plus-bas-taux-de-sav)。
データの提供元はドイツのMindfactoryとチェコのAlzaで、いずれも欧州有数の大手量販店だ。
この「保証修理率」は、購入後に返品・交換申請が行われた比率だが、単純な返品(クーリングオフなど)は含まれない。
確認された故障・不具合による保証対応のみが計上されており、実際の故障発生率に近い指標と言える。
なお、販売台数が100台未満のモデルはサンプル不足として対象外とされている。
全モデルのデータをまとめた表が以下となる。
| メーカー | モデル | Mindfactory 販売数 | Mindfactory 保証修理率 | Alza 販売数 | Alza 保証修理率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ASUS | Radeon RX 9070 XT PRIME OC | 460台以上 | 0.22% | 1,000台以上 | 0.58% |
| ASUS | Radeon RX 9070 XT TUF Gaming OC | 260台以上 | 0.81% | ― | ― |
| ASRock | Radeon RX 9070 XT Challenger | 1,510台以上 | 0.22% | ― | ― |
| ASRock | Radeon RX 9070 XT Steel Legend | 820台以上 | 0.38% | 200台以上 | 1.86% |
| ASRock | Radeon RX 9070 XT Steel Legend Dark | 430台以上 | 0.25% | 200台以上 | 0.64% |
| ASRock | Radeon RX 9070 XT Taichi OC | 340台以上 | 1.25% | 100台以上 | 2.53% |
| GIGABYTE | Radeon RX 9070 XT GAMING OC | 380台以上 | 0.27% | 1,000台以上 | 0.49% |
| GIGABYTE | Radeon RX 9070 XT AORUS ELITE | 120台以上 | 0.00% | 200台以上 | 0.54% |
| PowerColor | Radeon RX 9070 XT Reaper | 1,660台以上 | 3.83% | ― | ― |
| PowerColor | Radeon RX 9070 XT Hellhound | 3,520台以上 | 0.41% | ― | ― |
| PowerColor | Radeon RX 9070 XT Hellhound Spectral White | 340台以上 | 0.61% | ― | ― |
| PowerColor | Radeon RX 9070 XT Red Devil | 990台以上 | 1.04% | ― | ― |
| PowerColor | Radeon RX 9070 XT Red Devil Spectral White | 250台以上 | 1.21% | ― | ― |
| SAPPHIRE | Radeon RX 9070 XT PULSE | 1,540台以上 | 0.66% | 1,000台以上 | 1.37% |
| SAPPHIRE | Radeon RX 9070 XT PURE | 670台以上 | 1.08% | 1,000台以上 | 0.55% |
| SAPPHIRE | Radeon RX 9070 XT NITRO+ | 1,450台以上 | 0.85% | 1,000台以上 | 1.12% |
| XFX | Radeon RX 9070 XT Swift | 3,920台以上 | 0.68% | 1,000台以上 | 0.29% |
| XFX | Radeon RX 9070 XT Swift White | 470台以上 | 0.44% | ― | ― |
| XFX | Radeon RX 9070 XT Quicksilver | 510台以上 | 0.81% | 200台以上 | 0.94% |
| XFX | Radeon RX 9070 XT Quicksilver White | 440台以上 | 0.95% | 200台以上 | 1.50% |
| XFX | Radeon RX 9070 XT Quicksilver White Magnetic Air | ― | ― | 200台以上 | 0.38% |
| XFX | Radeon RX 9070 XT Mercury | ― | ― | 500台以上 | 0.50% |
| XFX | Radeon RX 9070 XT Mercury OC | 1,900台以上 | 0.81% | 500台以上 | 0.54% |
| XFX | Radeon RX 9070 XT Mercury OC White | 410台以上 | 0.75% | ― | ― |
| XFX | Radeon RX 9070 XT Mercury OC Magnetic Air | ― | ― | 500台以上 | 0.21% |
注:「―」はその販売店での販売台数が100台未満、またはカタログ非掲載のため対象外。
このデータで最も目立つのは、PowerColorのRX 9070 XT Reaperで、Mindfactoryでの1,660台以上という十分なサンプル数にもかかわらず、保証修理率が**3.83%**と突出して高い。
25台に1台が修理対応になる計算であり、他のモデルと比べて明らかに異常な数値だ。
なお、AlzaはPowerColor製品を取り扱っておらず、同店でのデータによる検証ができない点には留意が必要だ。
2番目に高い数値を示したのはASRockのフラッグシップモデル、Taichi OCで、Mindfactoryで1.25%、Alzaでは2.53%を記録している。
一方、最も保証修理率が低いのはGIGABYTEのAORUS ELITEで、Mindfactoryでの120台以上の販売に対して修理率**0.00%**を達成している。
ただしAlzaでは0.54%とわずかにあり、サンプル数が比較的少ない点から過度な一般化には注意が必要だ。
XFXについては、他ブランドと比較して品質が劣るといった先入観を持たれることがあるが、全モデルの合計で1万台を超えるサンプルを集めており、おおむね0.3〜1.0%台の修理率にとどまっている。
Hardware & Coは、このデータはあくまでも2社の欧州販売店に限定された統計であり、500台未満のサンプルは統計的信頼性が低いとしている。
また、AmazonやNeweggといった大手ECサイトはこうした修理率データを公開しておらず、今回のデータが入手できる数少ない実態調査となっている。

解説
正直なところ、PowerColor Reaperの3.83%という数字はかなり衝撃的でした。
通常、グラフィックカードの保証修理率は1%前後かそれ以下が「普通」の範囲とされています。
3.83%というのは、他の全モデルと比べて文字通り「桁が違う」レベルで、明らかに製品に何らかの問題があったと見ていいでしょう。
個人的に興味深いのは、PowerColorのRX 9070 XT Reaperはすでに生産終了になっているという点です。
PowerColorは高マージン製品を優先するため、Reaperの製造を打ち切ったとされていますが、この修理率の高さが背景にあったとしても驚きではありません。
一方で、同じPowerColorのHellhoundは3,520台以上という最大級のサンプル数で0.41%と優秀な数値を出しています。
要するに「PowerColor全体がダメ」ではなく、Reaperというモデル固有の問題だったということですね。
ASRock Taichi OCについても、フラッグシップモデルなのに修理率が高いというのは皮肉な話です。
高価なモデル=高品質とは必ずしも言えないわけで、この手のデータが重要な理由がよくわかります。
GIGABYTEのAORUS ELITEがMindfactoryで0.00%を達成しているのも注目です。
もっとも、サンプル数が120台程度と少ないので「絶対に大丈夫」と断言はできませんが、少なくとも大きな問題がないことの証左ではあります。
全体的な傾向として、RX 9070 XTはPowerColor Reaperという例外を除けば、ほとんどのモデルが1%以下という良好な修理率をキープしています。
「AMDカードはドライバーが不安定」という声はよく聞きますが、ハードウェアの故障率という観点では、むしろかなり健全な数字と言えるでしょう。
購入を検討している方へのアドバイスとしては、Reaperはすでに生産終了ですが中古市場には出回っている可能性があります。
入手する機会があっても、このデータを参考に慎重に判断することをおすすめします。