AMDは、同社の主力製品であるRadeon VIIグラフィックスカードの製造を中止したと伝えられています。
Cowcotlandの報道によると、AMDはNVIDIAのRTX 2080に匹敵する価格でRadeon VIIを製造販売することはもはや不可能であると語っています。
AMDはおそらくカスタムデザインのRX 5700 XTカードがさらにギャップを狭めることを期待しています。
RX 5700 XTは、そのASICの単純さ、従来のGDDR6メモリ設定、およびはるかに軽い電気的要件のために、Radeon VIIと比較してはるかに少ないBOM(部品表)コストを持っています。
RX 5700 XTとは全く対照的に、Radeon VIIは、7nm GPUダイだけでなく、4つの32 Gbit HBM2スタック、およびシリコンインターポーザを備えた複雑なMCM(マルチチップモジュール)に基づいています。
それはまたはるかに厳しいVRM要件を持っています。
さらに悪いことに、それが基づいている今は時代遅れの "Vega"アーキテクチャであり、それはperformance/Wattで "Navi"に対して大きな損失となる。
AMDのハイエンドVGAラインナップの将来は不確実です。
「Navi」、RX 5700がNVIDIAと同等の性能/ワットパリティに近づく方法を考えると、AMDは、NVIDIAのハイエンドに新たな揺さぶりを加えるために、従来のGDDR6ベースのメモリサブシステムを搭載した「Navi」に基づいて、より大きなGPUダイを設計しようとしているかもしれません。
ソース:techpowerup - AMD Retires the Radeon VII Less Than Five Months Into Launch
解説:
さらばRadeon VII
AMDが7nm版VegaであるRadeonVIIを退役させます。
高価なHBM2メモリを16GBも搭載し、RTX2080並みの性能を誇ったRadeonVIIですが、やはりGDDR6と組み合わせ、RadeonVIIよりはるかに安価に製造可能なRX5700/XTが出た今となっては利益がほとんどないといわれるRadeonVIIを製造し続けるのは無駄以外の何物でもないということなのでしょう。
無理してもよいことはありませんし、RadeonVIIはRTX2000シリーズを発売して勢いに乗っていた当時のnVidiaをけん制するためだけに発売されたといわれているほどでしたので、やむを得ないのかなと思います。
逆に言えば、ゲーミング性能はさておき、メモリの容量や速度を、演算能力などを考えるとRadeonVIIは非常にお買い得なGPUということです。
また、8月からはAIBパートナーがカスタム設計のRX5700/XTを発売しますので、OCされることを考えるともはやRadeonVIIの役割は終わったと判断したのかもしれません。
Radeon RX 5700/XTの発売を機会に急速に世代交代の進むAMDのGPUですが、Navi10=RX5700/XTを筆頭に、Navi12=RX5600?、Navi14=RX5500?と登場する予定とも言われています。
次世代Naviは2020年以降とも言われていますので、とりあえずカスタムボードでOCでもなんでもして急場をしのぐということなのかもしれません。
まあ、HBM2を16GBも搭載するより、多少電源周りを強化してガンガンOCしたRX5700XTの方が原価は安いと思いますので、RTX2080相当の性能が出れば、AMD的には問題が無いという判断なのかもしれません。
RadeonVIIを退役させるのであれば、選別品としてRX5700XTの上位版を設定した方がラインナップとしてわかりやすくて良かったのではないかと思います。
この辺はTU10X-400、TU-10X-400Aとチップの型番のみを変更してモデルに別の名前を使わなかったnVidiaと同じ轍を踏んでいますね。
数量が出せなかったので、50周年記念モデルにとどめたのかもしれませんが、量産化出来たらしたほうがよかったのでしょうね。
RadeonVIIはAMDの最上位モデルであることには違いがありませんし、RX5700XTのOCされたカスタムモデルがその性能を抜くのはちょっと厳しいのではないかと思います。
RadeonVIIを後から買おうと思っていた方は今のうちに買っておいた方が良いでしょう。
NaviとRyzen3000シリーズが発売されてから、急速にPCパーツ世界の時代の流れが速くなっているような気がします。