鏡の中のインテル
インテルは最近、「Core Truths」と題した新しいプレイブックを発表し、AMDが最新のRyzen 7000モバイルシリーズCPU製品スタックに古いZen 2 CPUアーキテクチャを利用しているとして、直接非難を浴びせた。
インテルは後にこの文書を削除したが、以下にスライドを掲載する。このプレイブックは、AMDの製品スタックについて顧客を啓蒙するためのもので、"蛇の油 "とさえ呼んでいる。
Intelのプレイブックは、特にAMDの最新のRyzen 5 7520Uについて言及しており、Ryzen 7000シリーズのモデル名を冠しているにもかかわらず、2019年のAMDのZen 2アーキテクチャを搭載している点を批判している。
さらに、同社は、AMDが疑うことを知らない顧客に「中途半端な真実」を売りつけていると非難し、若い子供たちの教育の未来には、現在製造されている最新かつ最高のCPUテクノロジーによる最高のCPU性能が必要だと強調した。
その主張を明確にするため、インテルはプレイブックで「スネークオイル(蛇の油)」や中古車セールスマンのイメージに言及した画像を使用した。
また、ArsTechnicaの記事を引用して、AMDのRyzen 7000シリーズ・モバイル製品の新しいネーミング・スキームを批判している。インテルはまた、7520Uと第13世代Core i5-1335UとのCPUベンチマーク比較も発表し、その点を裏付けている。
当然のことながら、1335UはZen 2対応製品よりも大幅に高速だった。
インテルの声明には、いくつかのメリットがある。
AMDのRyzen 7000モバイル製品の命名法は、よく調べていない初心者の消費者を混乱させる可能性がある。
参考までに、Ryzen 5 7520Uの製品名にある「2」という数字は、このCPUがAMDのZen 2 CPUアーキテクチャを搭載していることを示している。
もしこのチップがZen 3/Zen 3+のような新しいアーキテクチャーを搭載していれば、数字の3、Zen 4を搭載していれば4のようになります。
しかし、インテルがCPUでも同様の戦略を使っていることは、インテルのプレイブックには意外にも記載されていない。
第13世代Raptor Lake CPUのラインナップにおいて、インテルは第12世代Alder Lake CPUの旧型ダイを第13世代Core i3と第13世代Core i5の下位モデルに再利用し、事実上、Alder Lakeチップをリブランドした。
この手法は、CPUメーカーが生産効率を最大化する方法の1つだ。
多くの点で、インテルはRaptor Lake Refreshアーキテクチャを採用したすべての第14世代最新チップでも、この手法を採用している。
世代呼称のマーケティング上の増加にもかかわらず、インテルのRaptor Lake Refreshアーキテクチャは、その前身であるRaptor Lake(第13世代チップに搭載)と比べて、特筆すべきIPCの向上はない。
両者の唯一の違いは、「インテル7」プロセス・ノードの新しいリビジョンへのマイナーな製造変更であり、これにより周波数ヘッドルームがわずかに大きくなっている。
つまり、機能面では、インテルのRaptor Lake Refreshチップは、基本的にRaptor Lakeチップのブランド名を変更したものであり、唯一の違いは、一部のモデル(Core i7のバリエーションを除く)のコアクロックがわずかに高くなっていることだ。
このため、名称が新しくなったにもかかわらず、(我々のレビューが示すように)旧世代のものと同じ性能を発揮する。
全体として、インテルの新しい戦略は非常に偽善的だ。
AMDが最新のRyzen 7000製品で古いCPUアーキテクチャを再利用するという決定を軽視しているのだ。
解説:
IntelがAMDのCPU製品命名法を批判しているが・・・
結局Intelも似たような製品展開を行っていますから、同じ穴のムジナと言うことになります。
個人的にはAMDのこのアーキテクチャーを錯覚させる命名方法は大嫌いです。
しかし、まあ、確かにそう言われてみれば確かにIntelも世代を錯覚させるようなネーミングスキームを採用していますね。
旧製品がラインナップの一部として採用されるようになったワケ。
Intelなら22nm以前、TSMCなら16nm以前、製造工場は順調にプロセスを微細化し、順調に売り上げを上げ、開発費や投下した資本をペイして次の微細化に進むことが出来ました。
しかし、7nm以降、世界のFabではSamsung、TSMC、少し遅れてIntelのみが次の技術にコマを進め、多くのFabが脱落していきました。
そのため、製造コストは高止まりし、なかなか安く出来なくなったという事情もあるのだと思います。
また最新鋭の技術にはそれなりの製造コストがかかるようになったという事情もあるのだと思います。
Zen2がしぶとく採用される裏にはこうした事情があるのでしょう。
また、PS5やSteamdeckと言ったコンソールに積極採用されていることからも、特定の性能が重視される製品ではZen2で十分と言う事情もあるのだと思います。
例えばゲーム機ならば、一番重要視されるのは内蔵GPU性能とメモリ速度であり、CPUの性能はFPSを落とさない程度であればさほど重視されません。
PS5などはレイテンシの大きいGDDR6の影響によってPCでは6C12Tの3600無印相当の性能しか発揮できないとされていますが、PS5のゲームの出来を見ると特にそう言ったことは感じさせません。
恐らくは最適化がきちんとされているのでしょう。
OEMからの注文が入りますのでいつまでもEOLにならないのでしぶとく生き残るということなのだと思います。
製造コストの高止まりとは裏腹に一般庶民と富裕層の間で格差が広がり安価なものが好まれるようになったという事情もあるのだと思います。
格差は広がることはあっても縮むことは無いと思いますので、今後もこの傾向は続いていくと思います。
Intelも来年はMeteorlake、RaptorLake/Reflesh、LunarLakeとモバイルで3つのアーキテクチャーをオーバーラップさせますので、あまり他人事ではないのではないかなあと個人的には思います。
リーク情報を追いかける私が混乱するということは実際に製品が投入されれば一般の方が混乱するのは必至です。
第14世代intelCore i5/7/9シリーズ
※ 末尾にFがついているモデルはGPUがありませんのでご注意ください。