ストレージとはSSDやHDDのことです。ゲームのみならずコンピューターの快適さに大きく関係してくる要素です。
ストレージはWindowsやゲームのプログラム・データを入れておくところです。
プログラムを実行するためには必ずSSDやHDDから読み込みしなくてはならないため、速度差が体感する速度に直結します。
ストレージの歴史と傾向
ストレージはWindows95が発売された1990年代中ごろにはすでにHDDが主役でした。
主に1980年代に主流だったフロッピーディスクと比較すると高速・大容量で快適にPCを使うためには必須のものでした。
OSが大容量化してからはパソコンに内蔵されることが多くなり、現在に至ります。
その間、ずっと大容量化・高速化の道をたどってきましたが、2000年代後半に入り市販用のSSDが登場してからはSSDの高性能化・大容量化に伴ってパソコンのストレージの主役の座をSSDに譲ることになりました。
それぞれの特徴を説明します。
SSD(ソリッドステートドライブ)
SSDは2008年ごろからパソコン用が手の届く価格で市販されはじめ、年を追うごとに高速化・大容量化をしています。
HDDと比較すると極めて高速で、SSDがあるかないかでパソコンの快適さが大きく変わってきます。
パソコンを快適に使いたいなら、何があっても絶対に入れておきたいものの一つです。
SSDには現在2つの規格があります。
NVMeとAHCI(SATA)です。
NVMeはM2というマザーボードのスロットに直接取り付けるSSD、AHCI(SATA)はハードディスクと同じように取り付けるSSDです。
(一部例外もありますが、ここでは触れません。)
高速ですが、「1GB当たりの単価が高い」、「使っているうちに遅くなる」、「読み込みに比べて書き込みが遅い」という欠点があります。
2019年現在AMDのRyzen3000シリーズがPCI Express4.0をサポートしたため、PCI Express4.0に対応した高速なNVMe SSDが登場いたしました。
それまでの3500MB/s前後のシーケンシャルリード/ライトから5000MB/s弱のシーケンシャルリード/ライトになりSSDの高速化がはかられました。
HDD
ハードディスクは高速回転する金属製もしくはガラス製の磁気ディスクをヘッドで読み取る方式のストレージで昔から一般的に使われています。
SSDと比較すると速度が遅いこと、また衝撃に弱いため、ストレージの主役の座はSSDに譲ってしまいましたが、大容量で安価のためいまだにデータドライブとして使われています。
OSをインストールするドライブとしては遅いので、できる限りSSDを選択するか、使うとしてもデータ専用にとどめておくのが無難です。
SSDとHDDの性能差
シーケンシャル(MB/s) | ランダム4K(MB/s) | ランダム4K・DQ64(MB/s) | |||||||
リード | ライト | ミックス | リード | ライト | ミックス | リード | ライト | ミックス | |
960 Evo NVMe 1TB | 2,194 | 1,398 | 1,339 | 51.2 | 106 | 40 | 272 | 256 | 105 |
960 Evo NVMe 250GB | 2,176 | 1,111 | 1,206 | 50.7 | 103 | 32.9 | 254 | 234 | 92.8 |
850 EVO SATA 250GB | 499 | 395 | 401 | 37.9 | 76.2 | 33 | 186 | 181 | 66 |
WD Blue 1TB WD10EZRZ | 129 | 121 | 114 | 0.72 | 2.05 | 0.22 |
ソース:UserBenchmark.com - SSD / UserBenchmark.com - HDD
シーケンシャルは連続読み書き、ランダム4Kは4K byteの小さなファイルをランダムに読み書き、DQ64は同時に64の命令を発効して4K Byteの小さなファイルをランダムに読み書きするテストです。
※ 実際の使用に近いのはランダム4Kのほうです。
見てわかる通り、SSDとHDDの速度は圧倒的に違います。
またNVMeとAHCIのSSDの速度も圧倒的に違うため、できる限りNVMeのSSDを入れるのが快適に使うコツです。
SSDを選択する際の注意点
SSDはフラッシュメモリという記憶素子(SDカードなどと同じもの)を使っているため、書き込みの回数に制限があります。
そのため、ウェアレベリングという、同じメモリ素子に連続で書き込まないようにする仕組みを持っています。
このウェアレべリンクを効率よく動作させるためには容量の1/2から1/4程度が空いていることが理想とされているため、必要な容量の1.25倍から2倍程度の容量のものを選ぶのが無難です。
※ Windows10をインストールするとOSだけでおおよそ15-20GB前後の容量を消費します。120GBのSSDだと120*3/4-20=70GBほどしか使用できないということになります。予算が許す限りできるだけ大容量のSSDを使用したほうが良いでしょう。
容量がぎりぎりのまま使い続けると同じメモリセルに何度も書き込みを行って寿命が極端に縮んだり、同じメモリセルに書き込まないようにデータをドライブ内で移動させるための作業に時間がかかり、極端に遅くなるなどの弊害が出る恐れがあります。
また、SSDは同じメーカーの同系列モデルでも容量が大きければ大きいほど速度が上がっていく傾向があります。
※ ただし、SATAの場合はすでに速度がインターフェースの速度を上回っていますので、ほとんど影響はありません。NVMeのみとなります。
そのため、それなりの性能のPCにはそれなりの容量のSSDを付けたほうが無難です。
理想の構成
ゲーミングPCを使うにあたって理想とする構成は
システムドライブ SSD(NVMe)
ゲームインストール専用ドライブ SSD(NVMe)
データ用ドライブ HDD
という構成が理想だと思います。
もちろんストレージにもう一台入れることに予算を使うなら、GPUをアップグレードしたほうが明らかに快適になるのであくまでも理想です。
また、ゲーミングPCの構成によってはNVMeのSSDが二台増設できないこともあり、このような構成にすることはそもそも不可能であることもありますが、ゲームはどんどん大容量化しており、SSDをもってしても起動にそれなりに時間を要するゲームも出てきています。
システムドライブ(Windowsインストールドライブ)にはページファイルという頻繁に読み書きが入る巨大なシステムファイルが置かれることもあって、予算に余裕があればゲーム専用NVMeの高速SSDを一台用意するのが理想です。