2023/9/20 ROCm5.7のリリースノートのURLが変更になって書き換えられていたので、更新しました。
AMD ROCm™ Documentation - Release Notesより
ROCm5.7
ROCm v5.7 リリースハイライト
ROCm 5.7.0には多くの新機能が含まれています。
新ライブラリ(hipTensor)、デバッガ(ROCgdb)、FortranとOMPDのサポート、rocRANDとMIVisionXの最適化など。
ホストとデバイスコード(GPU)用のアドレスサニタイザがベータ版として利用可能になりました。
ROCm 5.7.0 は MI50 用の EOS であることに注意。
ROCmの5.7バージョンは、ROCm 5シリーズの最後のメジャーリリースである。
本リリースは Linux 専用である。
重要:次のROCmメジャーリリース(ROCm 6.0)は、ROCm 5シリーズとの下位互換性はありません。変更点は、LLVMパッケージの管理しやすいサイズへの分割、HIPランタイムAPIの変更、rocRANDとhipRANDの別パッケージへの分割、ファイル構造の再編成などです。
AMD Instinct™ MI50 サポート終了のお知らせ
AMD Instinct MI50、Radeon Pro VII、およびRadeon VII製品(総称してgfx906 GPU)は、2023年第3四半期よりメンテナンス・モードに移行します。
5.6.0で説明したように、ROCm 5.7は、gfx906 GPUが完全にサポートされる状態になるための最終リリースとなります。
ROCm 6.0リリースでは、LinuxとWindowsでMI50sが「メンテナンス中」モードとして表示されます。
このメジャーリリース(ROCm 5.7)以降、gfx906 GPUの新機能および性能最適化はサポートされません。
バグ修正と重要なセキュリティパッチは、2024年第2四半期までgfx906 GPUをサポートし続けます(EOM(メンテナンス終了)は、最も近いROCmリリースに合わせます)。
メンテナンス期間中のバグ修正は、次の ROCm ポイントリリースに反映されます。
gfx906 のバグ修正は、古い ROCm リリースにはバックポートされません。
ディストリビューション/オペレーティングシステムのアップデートは、EOMまでgfx906 GPUのROCmリリース・シーケンスに従って継続されます。
サポートOS & GPU
AMD ROCm™ Documentation - GPU Support and OS Compatibility (Linux)より
サポートGPU
製品名 | アーキテクチャー | LLVM ターゲット | サポート可否 |
AMD Radeon™ VII | GCN5.1 | gfx906 | 〇 |
製品名 | アーキテクチャー | LLVM ターゲット | サポート可否 |
AMD Radeon™ Pro W6800 | RDNA2 | gfx1030 | 〇 |
AMD Radeon™ Pro V620 | RDNA2 | gfx1030 | 〇 |
AMD Radeon™ Pro VII | GCN5.1 | gfx906 | 〇 |
製品名 | アーキテクチャー | LLVM ターゲット | サポート可否 |
AMD Instinct™ MI250X | CDNA2 | gfx90a | 〇 |
AMD Instinct™ MI250 | CDNA2 | gfx90a | 〇 |
AMD Instinct™ MI210 | CDNA2 | gfx90a | 〇 |
AMD Instinct™ MI100 | CDNA | gfx908 | 〇 |
AMD Instinct™ MI50 | GCN5.1 | gfx906 | 〇 |
AMD Instinct™ MI25 | GCN5.0 | gfx900 | × |
サポートOS
ディストリ ビューション | プロセッサ アーキテクチャー | 検証済 カーネル | サポート可否 |
RHEL 8.7 | x86-64 | 4.18 | 〇 |
RHEL 8.8 | x86-64 | 4.18 | 〇 |
RHEL 9.1 | x86-64 | 5.14 | 〇 |
RHEL 9.2 | x86-64 | 5.14 | 〇 |
SLES 15 SP4 | x86-64 | 5.14.21 | 〇 |
SLES 15 SP5 | x86-64 | 5.14.21 | 〇 |
Ubuntu 20.04.5 | x86-64 | 5.15 | 〇 |
Ubuntu 22.04.2 | x86-64 | 5.19 | 〇 |
解説:
ROCm5.7がリリースされましたので、概略だけ公式サイトから抜粋しています。
全文が見たい方はリンクから公式サイトを開いてください。
まずROCm5.6から5.7へのサポートGPUですが、大きな違いは無いです。
サポートGPUとしてRDNA3はリストに入りませんでした。(ただし、動作はします。)
RDNA3はQ3にサポートされなかった
RDNA3はQ3/Q4にサポートされるともっぱらの噂でしたが、Q3にはサポートされませんでした。
Q3は今月で終わりです。
Q4にROCm6.0で正式にサポートされるようです。
ROCm6.0は5.7以前とはバイナリの互換性が失われるとありますのでかなり大きな変化が起きるのでしょう。
RDNA3が非公式にサポートされたROCm5.5もそれ以前とは互換性がありませんでした。
ROCm5.7はAI/MLホビーソフトウェアを実行する上ではあまり大きな変化がありませんでした。
次に出るROCm6.0に期待したいと思います。
今後もホビー向けにROCmの情報を提供する唯一の存在として情報を発信していきたいと思います。
※ 2023/9/20 リリースノートのURLが変更になって内容も変わっていたので適宜内容を書き換えしました。ちょっと驚かされました。
全く告知なく変更があるということは、本当に一般向けのソフトウェアではないのでしょうねえ。
システムを一括納入するような業者さんには案内があるのでしょうか?びっくりです。
衝撃を受けました。
※1 RDNA3(RX7000シリーズ)から1SP当たりの演算器が倍増され、RDNA2と比較するとAI/ML関連の処理速度が大きく上がっていますので、ROCm(Linux版)でAI/ML関連の環境を整備されたい方は無理をしてでもRDNA3(RX7000シリーズ)を購入されることをお勧めしておきます。
※2 ROCmはノーマルの一般向けRadeonは正式にサポートされていません。Radeon Pro及びRadeon Instinct向けのソフトウェアです。絶対にノーマルRadeonで動作するという保証はありませんし、AMD側に対応する義務もないのでご注意ください。Radeon ProとRadeonは同じGPUチップを使っている関係上動作するだけです。
AMDのGPU Radeonシリーズ
Radeon 7000シリーズ
Radeon RX 6000シリーズ
※ SAPPHIREはAMD Radeon専業のメーカーであり、Radeonのリファレンス的なメーカーです。