今日は久しぶりにゲーム系の話題をしようと思います。
AMDが中国の「Zhongshan Subor Educational Electronics Co. Ltd」向けにZenベースのカスタムチップを供給する予定だそうです。
私もこの「Zhongshan Subor」という企業は知らなかったので、調べてみたのですが、今までにも見かけがWiiとそっくりの16bitゲームコンソール(笑)などを出していたようです。
こうしたものは〇 in one系の版元から許可を受けてない90年代のゲーム機のゲームのデッドコピーと同じノリなんでしょう。
タイトルがそろわなかったら他所からパクッてくればよいという意識の某国のノリでPS4 Proを凌ぐスペックを持つゲームコンソール向けの発売時のキラータイトルをちゃんと用意できるのかどうかははなはだ疑問です。
古くは90年代の3DO Realとかちょっと景気がいいと雨後のタケノコのように到底売れるとは思えないゲーム機を発売していた時代が日本にもあったのですが、まさにそれを思わせるような話です。
中国みたいに半導体産業が集まっている国であれればハード自体を出すことは比較的簡単に出来るのと思うのですが、問題はキラータイトルやビッグタイトルを集められるかというところなのはゲーム系に詳しい皆さんならよくわかってるんじゃないかと思います。
昔はSEGAも日立と共同でARMのカスタムCPUを作ったりしていたのですが、今はすっかりおとなしくなってしまいました。
日本でもゲーム業界は2000-2010年代にかけて身の丈にあわない事業拡大を行った会社は淘汰されていきました。
会社の規模というのは大きくなっているときは気にならないのですが、一旦縮小が始まるとかなり経営するのが難しくなっていきます。
身の丈に合わせた規模に縮小するか別の業界に進出するのに失敗した企業の多くは倒産しました。
コンパイル、コンシュマー系ではデータイーストとかSNK、ジャレコなどもそうです。
最近ゲームを始められた方は全く聞いたことのない名前だと思います。
ちなみに大ヒットしたスマホゲーム、Fate/Grand Orderの元になったFate Stay/Nightを作ったのはコンパイルの元スタッフですので、あの時代の混乱が無かったらFateは無かったということになります。
Wiiのデザインとそっくりの16bitゲーム機を見ているとこういう80年代-90年代日本の「金があるからとりあえず出しとけ」というようなダメなにおいがプンプンしますね。
ゲーム機に一番必要なのはハードではなく、「世界的にヒットを飛ばせる独自タイトル」なのですが、「無ければ他所からパクってくればよい」という考え方の国では安易にハードを発売して売り上げを建てたいと思うのは自然な流れなのかもしれません。
PS4とかXboxもハードは原価ギリギリの値段で出して、ソフトのライセンス料で利益を出すというビジネスモデルになっているわけですが、このゲーム機は一体いくらで売るつもりなんでしょうか。
元の記事を見るとWindowsだかLinuxだかよくわからないOSが動いている画面がありますので、興味のある方は見てみてください。
日本も金が余っている時代はこういう安易な方法でハードを発売していたのであまり偉そうなことは言えないのですが、中国の景気が減速していると言ってもこうした話が出て来るあたり、日本とはやはり違うなと思います。
スペック
Zhongshan Subor | Ryzen 5 2400G APU | Vega Mobile | Intel with Radeon RX Vega | Xbox One X | Sony Playstation 4 Pro | |
発売年 | 2018 | 2017 | 未定 | 2018 | 2017 | 2016 |
コア数/スレッド数 | 4 / 8 | 4 / 8 | - | 4 / 8 | 8 / 8 | 8 / 8 |
CPUアーキテクチャ | Zen | Zen | - | Kaby Lake | Jaguar+ | Jaguar |
最大クロック | 3.0 GHz | 3.8 GHz | - | 4.1 GHz | 2.3 GHz | 2.13 GHz |
GPU | Vega | Vega | Vega | Polaris | Polaris | Polaris |
GPU CUs | 24 | 11 | 24-32 | 24 | 40 | 36 |
GPU SPs | 1536 | 704 | 1536-2048 | 1536 | 2560 | 2304 |
GPUクロック | 1300 MHz | 1250 MHz | ? | 1190 MHz | 1172 MHz | 911 MHz |
GPUメモリ | 8 GB GDDR5 | System DRAM | 4GB HBM2 | 4GB HBM2 | 12GB GDDR5 | 8GB GDDR5 |
プラットフォーム | Subor PC Subor Console | Desktops | - | Hades Canyon NUC | Xbox One X | PS4 Pro |
※ Hades Canyon NUCのGPUアーキテクチャがPolarisになっていますが、Vegaの間違いだと思います。ソース元がそうなっていますので、訂正はせずにそのまま載せます。
スペックを見るとPS5 Ver 0.8くらいの感じです。
PS4よりは圧倒的に高性能で現世代ゲーム機と次世代ゲーム機の丁度中間くらいのスペックですね。
メモリはPS4と同じようにGDDR5を使っていますので、Vegaの性能と合わせてPCで言えば最低でもGTX1060程度の能力はあると思います。
PCとあるのでWindowsが使えるんでしょうか。
AMDは割と中国企業にカスタムチップを供給しています。お蔵入りした計画でオンダイでARMとx86両方を搭載したプロセッサーSkybridgeというのが昔あったのですが、それを搭載したノートPCを中国の企業がこっそり発売してたりしたことがありました。
どこかにHPがあったと思うのですが、中国の国産CPUということになっていたので、Skybridgeという名前は一切使われておらず、残念ながら検索でたどり着くのは不可能です。
チップの型番は忘れてしまいましたので、もし今後まぐれで見つけたら記事内にソースを張りたいと思います。
こうしたゲームコンソールは独自のキラータイトルがない限り覇権を取るのは無理でしょうが、昔は日本にもこういう夢のある話が結構あったので、なんだが懐かしい気分にさせられます。
景気のいい時は「いけるかもしれない」って思うものなんでしょう。
スマホやインターネットは無かった(普及してなかった)ですが、「とりあえず闇雲に努力すれば何とかなる」という時代の明るさがあったので今の時代と比べるとどっちが良いのかわかりません。
今は閉塞感が凄いですからね。
多分失敗すると思いますし、もう二度と名前を聞くことはないと思いますが、性能的には今までの某国産の安易なデッドコピーとは違ってゲーム機のトップクラスに近い性能ですので、一応取り上げてみました。
ソース:anand tech - AMD Creates Quad Core Zen SoC with 24 Vega CUs for Chinese Consoles