怪しいSSDシリーズ第3弾です。
前回のFikwotは意外とまともに動作しました。
別ブランドでFikwotとして出している元の会社であるFanxiangの製品であるS500Pro 256GB NVMe Gen3x4 SSDをレビューしてみましょう。
コイツも256GBで税込3,390円とFikwotほどではないですが、なかなか安価な製品です。
それではどれほどの実力があるのか試してみましょう。
レビュー品の紹介
パッケージはFikwot FN500と全く同じでした。
違うのは小窓の付いている方が裏(Fikwot)であるか表(Fanxiang)であるかだけです。
サイズも全く同じで小さなドライバーとSSD固定用の小さなねじが入っていることも同じです。
パッケージにはFikwot FN500と同じく、3 Years Warrantyの文字がありますので3年保証なのでしょう。
パッケージ裏にサイトのアドレスが書いてあるので見てみました。
しかし、ここでもこのS500Proの記述はありません。
既に終売してしまったのでしょうか。
amazonのページから拾ってきた仕様です。
Fanxiang モデルS500Pro 仕様
容量 | 256GB | 512GB | 1TB | 2TB |
インターフェース | NVMe PCIe Gen3 x4 | NVMe PCIe Gen3 x4 | NVMe PCIe Gen3 x4 | NVMe PCIe Gen3 x4 |
サイズ | M.2 2280 | M.2 2280 | M.2 2280 | M.2 2280 |
最大読込速度 | 2800MB/秒 | 3200MB/秒 | 3500MB/秒 | 3500MB/秒 |
最大書込速度 | 2000MB/秒 | 2800MB/秒 | 3000MB/秒 | 3000MB/秒 |
NAND Type | 3D NAND TLC | 3D NAND TLC | 3D NAND TLC | 3D NAND TLC |
TBW | 200TBW | 320TBW | 640TBW | 1280TBW |
容量は256GBから2TBまでラインナップされており、速度はGen3のSSDとしてはなかなか早いです。
特に256GBはこんなに速度が出るのかな?と言うくらいの数字です。
これ以上、ネットからは情報は期待できませんので、製品から情報を取ってみました。
mxio_nvme_fid.exeからの情報によると、コントローラーはmaxio社製MAP1202、フラッシュメモリはYMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/dieでした。
いつも通り、mxio_nvme_fid.exeのログはこのレビューの一番後ろに張り付けておきます。
同じ会社の製品と思しきFN500と比較するとコントローラーがmaxio社に変わっているほか、フラッシュメモリは中華激安製品によくあるYMTCでこちらは同じ会社の製品です。
と言うことでまとめると
- 保証期間:3年
- フラッシュメモリ:YMTC製 3D TLC NAND Flash
- コントローラー:maxio社製MAP1202
- DRAMキャッシュ:無し(HMB 16MB使用)
といったところでしょうか。
何かHMBの容量が心もとないです。
フォーマット後の容量は238GBでした。
検証環境
- CPU:Intel Core i7-13700K
- CPUクーラー:サイズ Big shuriken3 RGB
- マザーボード:Asrock Z690M-ITX/ax
- SSD:M2_2(チップセット側) AGI NVMe Gen3(システムドライブ)
- M2_1(CPU側) Fanxiang S500Pro 256GB(今回レビューするSSD)
- 電源:Corsair SFX 750W電源 SF-750
- メモリ:Patriot Viper DDR4-3000 OCメモリ8GB*2=16GB
- ケース:QDIY 0040-*PCJMK6-ITX(テストベンチ)
- OS:Windows11 22H2(最新Windows Update適用済)
注意してほしいのはテストベンチなので、当然オープンエアと言うことになります。
普通のケース(特にMini-ITX)よりはかなり冷却に関する条件が良いのでそれを差し引いてみてください。
Crystal Disk Info 8の結果
ストレージのSmart情報を表示する定番ソフトCrystal Disk Info 8の結果です。
mxio_nvme_fid.exeからの情報によると、Bad Blockが0/65/1とのことでした。
ちょっと何のことだかわからなかったのですが、上を見ると予備領域64と予備領域の閾値1となっています。
妙に多いなと思ったのですが、Bad Blockではないのかもしれませんね。
Fikwot FN500はNVMe 1.3でしたが、こちらはNVMe 1.4となっています。
こちらの製品も最初から3回電源投入回数が記録されており、そのすべてがアンセーフシャットダウンになっていました。
4回目(つまり今回)の電源投入もまだ電源を落としていないのに何故かアンセーフシャットダウンになっており、この辺はちょっと気持ち悪いです。
この辺は両方ともFanxiangが製造しているからなのかよく似ています。
Crystal Disk Mark8の結果
SSD/HDDのベンチマークの定番であるCrystalDiskMark8の結果です。
CrystalDiskMark8は各テストを5回計測し、一番数字が良かったものを表示ます。
ストレージの最高の状態の性能を測定するベンチマークです。
テストは1/8//64GiBで行いましたが、8GiBは誤差程度ですが、64GiBは性能が落ちました。
特にシーケンシャルライトのQ8T1、ランダム性能全般の落ち込みがひどかったです。
やはり256GBと容量があまり多くは無いので、テスト容量が増えると性能が低下していくようです。
結果は1GiBのものだけSSを張り付け、後はグラフにします。
スペック上ではリードは2800Mb/s、ライトは2000MB/sとなっていますが、リードが大幅に早く、ライトはかなり遅くなっています。
あまりに違い過ぎてちょっとびっくりです。
ランダム性能
SSDの速度を大きく左右するランダム性能をIOPSで見てみました。
ランダム性能は表記されてませんでしたので、こちらも調べてみました。
リード119K IOPSとライト266K IOPSでしょう。
リード98.5K IOPS、ライト245.6K IOPSだったFikwot FN500と比較するとあまり速くなっていません。
ただ、ランダムリードのQ1T1を見るとFikwot FN500は55.74MB/sだったのに対して76.76MB/sと妙に速くなっています。
1.5倍近く違うのはちょっと凄いですね。
テストデータ1GiB/8GiB/64GiBの速度を比較してみました。1GiBと8GiBは速度があまり変わりませんが、64GiBだとガクっと速度が落ちています。
この傾向はFikwot FN500と同じですのでやはり256GBという容量が影響しているのでしょう。
ランダムリードの-Q1T1が速い以外はあまり変わりません。
ATTO Disk BenchMark 4の結果
SSDの各ブロックサイズにおける速度を測定するベンチマークです。
QD1
QD4
4Kから2Mまでの数値をグラフ化したもの
AS SSD ベンチマーク
SSD専用のベンチマークソフトであるAS SSDベンチマークでも測定してみた。
空き容量が少なくなってきたら、どのように速度が変化するか?
最新のSSDはフラッシュメモリセルをSLC化してキャッシュにし、速度が低下しないようになっている。
今回は残り容量64GBまで減らし、32GBのファイルをコピーしてみた。
※ C:ドライブのPCIe Gen3x4 256GBのSSDからコピー
準備として、約174GBほどのファイルを作成し、USB 2.5'HDDからコピー
当初、少し速度が安定しなかったが、少し経つと2.17GB/s前後で安定してコピーできた。
残り容量64GBになってから、システムドライブ(NVMe Gen3 SSD)から32GBのファイルをコピー
一度大きく転送速度が下がったが、以降は2.14GB/sで大きく待たされること無くコピーが完了した。
恐らくは下位製品に当たるFikxot FN500との最大の違いを感じたところです。
Fikxot FN500の場合、900MB/s前後まで速度が下がってかなり時間がかかりましたが、このFanxiang S500Pro 256GBでは全くそんなことは無く、大きなファイルのコピーや移動にも快適に使えるでしょう。
値段にするとFN500と540円しか違いませんが、性能は全然違います。
ベンチマークの数字(特にライト)に圧倒的な差は付いていませんが、実際の使い勝手は全然違うと思います。
温度:
計測方法:CrystalDiskMark8をテスト方法9回、テストデータ8GiBで実行。CrystalDiskInfoで1分間隔で更新して温度監視
時間 | 温度 | |
スタート前 | 0分 | 40度 |
テスト開始 | ||
最初の更新 | 1分後 | 42度 |
2回目の更新 | 2分後 | 42度 |
3回目の更新 | 3分後 | 41度 |
4回目の更新 | 4分後 | 41度 |
5回目の更新 | 5分後 | 41度 |
6回目の更新 | 6分後 | 41度 |
7回目の更新 | 7分後 | 41度 |
テスト終了 | ||
8回目の更新 | 8分後 | 41度 |
スタートしてから最初の更新で42度をマークした後41度になり、それ以降は変化が無かった。
FN500もあまり発熱はしなかったが、このS500Proは輪をかけて熱を出さないようだ。
総評:
かなり快適に使える低容量SSD
Fikwot FN500はイマイチな点が多かったですが、このFanxiang S500Pro 256GBは速度や使い勝手などあらゆる点で改善されており、価格以上の差を感じました。
256GBの容量のSSDはあまり使ったことが無いのでFN500の時は「こんなものか」と思っていましたが、S500Proを使ってみて、その認識が改まりました。
コントローラーやファームウェアの出来によって「これほどまでに体感が違うのか」と思い知らされた製品です。
「SSDの良しあしなんてベンチマークの値だけでわかる」と私は思っていましたが、そんなことありません。
色々テストしてみないとわからないです。
今回のFanxiang S500Pro 256GBもテストしてみないとわからないところがありました。
巨大ファイルの書き込みでは、ベンチマーク上の値だけを見ても大差がないので、この違いは分からないと思います。
しかし、実際に使ってみるとその違いは明らかです。
このFanxiang S500Pro 256GBは比較的残りの容量によって速度が低下する心配をしなくても使える製品だと思います。
一つ腑に落ちないのシーケンシャルが公称値のライトより700MB/sほど遅かったことです。
Gen3の製品をGen4環境で使うなどしていますし、検証環境にも依存するのかもしれませんが、ちょっと気になるところでした。
機会があれば別の環境で検証しなおしてみたいと思います。
買うなら絶対こちらがお勧めですね。
私は有名メーカーの製品の低用量版(256GB)を使ったことが無いので比較は出来ませんが、これだけ挙動が賢いと、恐らく勝ってるじゃないかと思います。
少なくとも同等レベルの使い勝手だと思います。
maxio社製コントローラーは最近某メーカーも採用製品を投入していますが、かなり優秀なコントローラーだと思います。
256GBの中では最安ではありませんがかなり安い方です。
それでこの性能と言うのはかなりお買い得だと感じました。
オマケ:
maxio_nvme_fid.exeのログ
maxio_nvme_fid.txt
v0.32a
OS: 10.0 build 22621
Drive : 0(NVME)
Scsi : 1
Driver : W10
Model : Fanxiang S500PRO 256GB
Fw : SN09273
HMB : 16384 - 16384 KB (Enabled, 16 M)
Size : 244198 MB [256.1 GB]
LBA Size: 512
AdminCmd: 0x00 0x01 0x02 0x04 0x05 0x06 0x08 0x09 0x0A 0x0C 0x10 0x11 0x14 0x80 0x84 0xC1 0xC2
I/O Cmd : 0x00 0x04 0x08 0x09
Firmware id string[1C0] : MKSSD_501003000092730000,Jun 20 2022,12:33:22,MAP1202,MRRHCDDC
Project id string[180] : r:/00_release/2_Release_9273/Release_Brance_9273
Controller : MAP1202
NAND string : CYAxxTE1B1xC3B
NAND MaxPE cycles : 3000
NAND Freq : 1600
Channel number : 4
CE number : 1
Total bank : 4
Flash type : TLC
Blocks/CE : 1980
Pages/Block : 2304
Page size : 16
Planes(?) : 4
Die/CE : 1
Ch0CE0: 0x9b,0xc4,0x28,0x49,0x20,0x0,0x0 - YMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/die
Ch1CE0: 0x9b,0xc4,0x28,0x49,0x20,0x0,0x0 - YMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/die
Ch2CE0: 0x9b,0xc4,0x28,0x49,0x20,0x0,0x0 - YMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/die
Ch3CE0: 0x9b,0xc4,0x28,0x49,0x20,0x0,0x0 - YMTC 3dv3-128L(x2-9060) TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 4Plane/die
maxio_nvme_id_smart.txt
-------- NVME SMART --------
0 Critical Warning : 0
1 Composite Temperature : 40
2 Available Spare : 100
3 Available Spare Threshold : 1
4 Percentage Used : 0
5 Data Units Read,MB : 17
6 Data Units Written,MB : 188
7 Host Read Commands : 1174
8 Host Write Commands : 1054
9 Controller Busy Time : 0
10 Power Cycles : 4
11 Power On Hours : 0
12 Unsafe Shutdowns : 4
13 Media and Data Integrity Errors : 0
14 Number of Error Information Log Entries : 5
15 Warning Composite Temperature Time : 0
16 Critical Composite Temperature Time : 0
17 Temperature Sensor 0 : 40
18 Temperature Sensor 1 : 27
25 Thermal Management Temp 1 Transition Count : 0
26 Thermal Management Temp 2 Transition Count : 0
27 Total Time For Thermal Management Temp 1 : 0
28 Total Time For Thermal Management Temp 2 : 0
-------- ATA-style ExtSMART --------
id Description val raw
009 Power-on Hours Count 0 0 (000000000000)
012 Power Cycle Count 0 4 (000000000004)
167 SSD Protect Mode 0 0 (000000000000)
168 PHY Error Count 0 23130 (000000005A5A)
169 Bad Block Count 96 0/ 65/ 1 (000000410001)
171 Program Fail Count 0 0 (000000000000)
172 Erase Fail Count 0 0 (000000000000)
173 Erase Count 0 1/ 1/ 1 (000100010001)
175 Bad Cluster Table Count 100 0 (000000000000)
192 Unexpected Power Loss Count 0 4 (000000000004)
194 Controller Temperature,C 100 40 (000000000139)
231 SSD Life Left 100 0 (000000000000)
241 Total LBA written,MB 0 188875 (00000005E701)
242 Total LBA read,MB 0 17045 (00000000885C)
243 Nand Temperature,C 0 27 (00000000001B)
-------- ExtSMART --------
Write? : 46592
Read? : 8381
Unk1 : 0
Unk2 : 0
Unk3 : 0
AvePE : 1
MaxPE : 1
MinPE : 1
AvePE SLC : 1
MaxPE SLC : 2
MinPE SLC : 1
Unk7 : 0
Bad Block Count?: 1
Bad Block Count?: 65
Bad Block Count?: 0
SSD Life Left? : 100