■事実
ソニーは2026年7月1日(米国時間)、PlayStation公式ブログで「2028年1月以降、新作PlayStationゲームの物理ディスク生産を終了する」と発表しました。
発表文はPlayStation シニアディレクター、シド・シューマン氏名義で公開され、「消費者の嗜好が物理ディスクを大きく上回ってデジタルメディアへ移行している」ことを理由として明記しています。
対象は自社(SIE)タイトルおよびサードパーティタイトルを含む、PlayStationコンソール向けの全ての新作ゲームです。
2028年1月より前に発売済み・発売予定のディスク版タイトルには影響ありません。(該当タイトル例:今秋発売予定の「マーベルズ・ウルヴァリン」)
ソニーは今後もPlayStation StoreおよびリテールでのDL版販売は継続するとしており、リテール店頭での販売形態(ダウンロードコード入りパッケージなど)の詳細は明らかにされていません。
同日、ソニーはPS3およびPS Vitaのオンラインストアを段階的に閉鎖することも発表。多くの地域で2027年7月までに終了し、メキシコ・ホンジュラス・ニカラグアなど一部市場のPS3ストアは2026年8月から先行して閉鎖開始します。
ソニーの2025年度第4四半期決算資料によれば、PS4・PS5におけるフルゲームソフト販売のうちデジタル版が85%、パッケージ版が15%という比率です。
米国の大手ゲーム小売GameStopは過去2会計年度で1,300店舗以上を閉鎖したと報じられています。
発表の数日前には、GTA VIの「パッケージ版」が実質的にダウンロードコードのみを封入した箱であることが判明し、SNS上で反発が起きていました。
Sonyは同時期、UK・欧州でStudioCanal作品のライセンス切れを理由にPSNアカウントから500本超の映画を削除しており、この件が「デジタル所有権の脆弱性」を象徴する事例として複数メディアで言及されています。
Sony広報はGame Fileの取材に対し、「ゲーム・映画・音楽を含む全てのデジタルコンテンツについて、ユーザーは非商用個人利用ライセンスを購入している」とコメントしています。
同広報は過去作品の保存について「エミュレーションやリマスターを通じて過去世代の体験を新プラットフォームへ提供することにコミットしている」ともコメントしています。
発表直後、MicrosoftのXbox次世代機「Project Helix」についても、複数の海外メディア(Windows Central発の情報を各社が報道)がディスクドライブ非搭載の“完全デジタル機”になるとの観測を報道しています。
Project Helixに関しては、既存のXbox One/Xbox Series X|S世代の物理ディスクを対象に、ディスクの権利をデジタルライセンスへ変換する「ディスク・トゥ・デジタル」機能(コードネーム「Positron」との報道もあり)を準備しているとの情報があります。Xbox 360・オリジナルXbox世代のディスクは対象外との報道です。
Nintendoは現時点でSwitch 2の主要な自社タイトルについて、フルカートリッジ収録の物理版を維持する方針を継続しています。
比較表
| 項目 | PlayStation(発表済み) | Xbox Project Helix(未確定・報道ベース) |
|---|---|---|
| ディスク生産終了時期 | 2028年1月〜(新作対象) | 未定(次世代機から非搭載と報道) |
| 対応方針 | 新作は完全デジタル販売のみ | ディスクtoデジタル変換機能を準備中との報道(コードネームPositron) |
| 対象世代の物理ディスク | 2028年1月以前発売分は継続販売 | Xbox One/Series X|S世代のみ変換対象、360以前は対象外との報道 |
| 公式発表の有無 | 2026年7月1日に正式発表済み | 未公式、複数メディアの情報源ベース |
| 関連する既存デジタル施策 | PS3/PS Vitaストア閉鎖を同日発表 | Series Sはすでにディスクレスモデルとして販売中 |
解説
数字だけ見れば「デジタル比率85%」で驚く話ではないが、業界最大手が正式に“終了時期”を明言した点がインパクトの核心。市場のなだらかな移行を、はっきりした期限に変えてしまった。
PS3・PS Vitaストア閉鎖と同日発表になったのは象徴的。「ディスクが無くなればずっと遊べる」という前提そのものが、実は幻想だったことを図らずも証明する形になっている。
500本超の映画をライセンス切れで削除した直後というタイミングの悪さは指摘せざるを得ない。「デジタル所有=永続的アクセスではない」という不信感を自ら補強してしまった格好だ。
「非商用個人利用ライセンスを購入している」という説明は、法的には正確でも、多くのユーザーが実感している「買った」という感覚とは乖離がある。この温度差がSNSでの反発の根っこにある。
ディスク廃止は中古市場・貸し借り・レンタルの実質的な終焉を意味する。メーカー側にとっては二次流通で自社の取り分にならない売上を消せるメリットがあり、「消費者の嗜好」だけが理由ではないという見方も可能(ここは推測を含む論点として明記)。
GameStopの店舗閉鎖ペースを見る限り、小売側の物理ゲーム依存はすでに構造的に縮小していた。ソニーの決定はその流れを追認しただけとも言える。
GTA VIの“ディスクなしパッケージ版”騒動があった直後の発表は、業界全体が同じ方向を向いていることを裏付ける。1社の判断というより、業界のコンセンサスが固まったタイミングと捉えるべき。
Xbox Project Helixも同日中にディスクレス観測が報じられたのは偶然ではなく、両社が足並みを揃えて世論の反発を分散させる意図があった可能性がある。
保存(プリザベーション)の観点では深刻な後退。ストアが閉鎖されればそのタイトルへのアクセス手段が失われるリスクがあり、PCのような改造・バックアップの自由度が低いコンシューマー機では特に痛手が大きい。
通信環境が不安定・従量課金制のエリア(中南米・東南アジア・アフリカなど)のユーザーにとっては、大容量ダウンロード前提の全デジタル化は実質的なアクセス制限になりかねない。
PS6の発売時期は2028年前後と目されており、今回の発表はPS6が“最初からディスクドライブを持たない設計”になることの事実上の予告と読むのが自然だ
「所有権ではなくライセンスです」と言われた瞬間、CDケースの棚を見て急に愛おしくなった人は少なくないはず。
「ディスクが消える」というより「“買う”という感覚そのものが消える」と言った方が正確かもしれない。