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CPUサーマルグリスについて

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MX-5が登場

大人気のMX-4の後継、MX-5が登場しました。

粘度がMX-4が870poiseに対して、MX-5は550poiseとさらに塗りやすくなっていますが、残念ながら熱抵抗値が非表示になり、性能が推測しにくい製品になりました。

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先日、Thermal grizzly Krynaut(通称:熊グリス)の偽物が出回っている記事を書いた際にいろいろとCPUグリスについて調べてみたので、その結果を共有いたします。

参考記事1:熊グリス(Thermal grizzly)の偽物が登場

参考記事2:CPUサーマルパッドについて

 

CPUサーマルグリスとは何か?

※ 上の銀色の金属部分がCPUのヒートスプレッダ。ここにCPUグリスを塗布します

 

※ 高性能タイプで一般的なシリンジタイプのCPUグリス

 

※ 比較的古くからある丸く白い容器に入ったCPUグリス。性能はあまり高くない

 

CPUサーマルグリスとは、CPUクーラーとCPUのヒートスプレッダの間に塗って空気が入ること防止し、スムーズにヒートシンクにCPUを熱を伝えるために塗るものです。

金属の表面というのは一見平らに見えても細かい凹凸があり、そこに空気が入るのは普通です。

ものによっては露骨に平らで無いものもあります。

一般的に必ず塗った方がよいです。

サーマルグリスと熱伝導率

各物質の熱伝導率

物質名熱伝導率・W/m・k
空気0.0241
0.561 – 0.673
石英ガラス1.4
水晶8
標準的なグリス8-16.0
ステンレス鋼16.7 - 20.9

上が各物質の熱伝導率になります。

熱伝導率の単位はあまりなじみが無いと思いますが、W/m・K(ワット毎メートル毎ケルビン)が単位となります。

値が大きければ大きいほど性能がよいです。

金属が熱を伝えやすいというのはご存知のことと思いますが、上の表からおおよそのイメージでつかんでもらえればよいと思います。

ステンレス鋼の熱伝導率が16.7-20.9程度となっています。

このくらいあれば金属とほとんど変わらないということになります。

何故CPUサーマルグリスを塗る必要があるかですが、空気は非常に熱伝導率が悪く、空気が挟まると熱が逃げてくれません。

そのため、サーマルグリスを使ってCPUのヒートスプレッダとヒートシンクを確実に接触させる必要があります。

初期のサーマルグリスはあまり水と変わらない熱伝導率の製品もありましたが、現在の最新レベルの製品ではおおむね8.0-16.0位の熱伝導率となっています。

今回の記事では熱伝導率8.0W/m・K未満のサーマルグリスは「性能低」と表記しています。

熱伝導率はほとんどすべてのサーマルグリスで公開されていますので、サーマルグリスの性能を測るのに最も適しています。

ただし、メーカーによる公称値であること、メーカーによって測定の条件なとが異なっている可能性があるため、あまりに絶対視するのは良くありません。

サーマルグリスの性能を表す指標としては他に熱抵抗もありますが、全てのサーマルグリスにて値が公開されているわけではありませんので、ここでは扱いません。

※ 熱抵抗とは温度の伝えにくさを表す値のことです。

 

サーマルグリスと動作温度

サーマルグリスには正常に機能する温度が表示されていることがあります。

こちらは液体窒素を使った極冷却をされる方以外にはあまり神経質になる必要はありません。

ほとんどのグリスは下は-50から-30℃程度、上は180℃程度までは正常に動作します。

 

サーマルグリスと粘度

粘度というのはあまり聞いたことが無い言葉だと思いますが、簡単に言えば塗りやすさを表します。

各物質の粘度

品名粘度
・poise
0.01
マヨネーズ80
ハンドクリーム300
蜂蜜500
ショートニング10,000

単位はpoiseを使っています。値が小さいほどサラサラになり伸ばしやすくなります。

この値が公開されているサーマルグリスはほとんどなく、一部の製品に限られます。

基本的には22℃か25℃のメーカーが公開している値を載せていますが、独自の計算式を使って単位を統一しています。

そのため、厳密には正確に実態を表していない可能性がありますので、あくまで目安としてください。

 

CPUサーマルグリスと液体金属の違い

一般的にCPUサーマルグリスは伝導性が無く粘度が高く扱いやすくなっています。マザーボードやCPUの端子部に間違ってついても壊れることはありません。

しかし、液体金属の場合、伝導性があり、粘度が低く、流れやすい上に、マザーボードに付着すると浸透して、拭きとっても中に染み込んでしまうため、一発でアウトです。

また、腐食性があり、ヒートシンクの材質によっては腐食して変色したりボロボロになったりします。

伝導率で言えば液体金属の方が高いのですが、上のように非常に扱いづらい性質を持っていますので、ヒートシンクとCPUの間にはCPUサーマルグリスを使用しましょう。

液体金属は超上級者向け、殻割したヒートスプレッダとダイの間に塗るなど限定的な用途に限った方が無難です。

少なくとも初心者が使うものではありません。

 

 

主要なCPUサーマルグリス一覧

アイネックス・親和産業取り扱い品とMX-4、Thermalright社製品を含めたCPUサーマルグリスを一覧にしました。

熱伝導率8.0W/m・K未満の製品は「性能低」としています。

各項目ごとにソートできるようになっていますので、1g当たりの単価や熱伝導率、粘度などでソートして自分に合ったCPUサーマルグリスを見つけ出してください。

なお、価格に関しては本記事を作成している2019年12月13日現在としています。

価格は送料込みのため、合わせ買いすると大幅に下がる可能性のある製品があることはお断りさせていただきます。

製品名をクリックすると販売ページに飛びます。

 

上の表から見る用途別で購入すべきCPUサーマルグリス

基本的に「性能低」以外の製品(熱伝導率8.0W/m・K以上の製品)の中から選んでいます。

 

総合的に見て性能の良いCPUサーマルグリス

TFX Thermal Paste 2g

TFX Thermal Paste 6.2g

数々の名作CPUクーラーを生み出したThermalright社謹製の高性能グリス。動作温度も広く、熱伝導率も高いです。

 

熱伝導率の高いCPUサーマルグリス

ナノダイヤモンドグリス・JP-DX1

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メーカー公称値で16.0W/m・Kを誇るJP-DX1が文句なく一位です。

 

温度変化に強いCPUサーマルグリス

Thermal grizzly Kryonaut

液体窒素でも何でも来いのCPUサーマルグリスは-250~350℃まで耐えられるThermal grizzly Kryonautです。

いろいろな容量がそろっており、大量買いすれば単価が落とせるのもメジャーな製品の利点です。

※Thermal grizzly Kryonautは偽物が横行しているため、上のリンクのamazon本体取り扱い品を購入されることをお勧めします。

 

1g当たりの単価が最も安いCPUサーマルグリス

熱伝導率8.0W/m・K以上で一番単価が安いのは1g当たり174円のMX-4の20g入りです。

現在MX-4は多数の偽物が出回っていますが、上の製品は日本正規代理店ザワード取り扱い製品で安心です。

 

参考:熱伝導率8.0W/m・K未満も含めたすべてのCPUサーマルグリスの中で最も単価の安いCPUサーマルグリス

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全ての製品の中で1g当たりの単価が一番安いのはTC-200です。なんと、1gあたり7.35円となります。

歯磨きかハンドクリーム並みに安いです。熱伝導率3.8W/m・Kなのが玉に瑕ですが、大量に使われる方にとっては非常にありがたい製品でしょう。

この価格ならばメインで使っているCPUサーマルグリスが切れてしまった時の予備として持っていても損は無いです。

 

一番塗りやすいCPUサーマルグリス

MX-4 4g - Amazon本体が取り扱い。並行輸入の業者より若干高いです。

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MX-4 4g - 日本正規代理店ザワード取り扱い品

MX-4 20g - 日本正規代理店ザワード取り扱い品

粘度が公開されている中で一番塗りやすい製品はMX-4になります。粘度870poiseで人気があるのがよくわかる製品です。

現在MX-4は多数の偽物が出回っていますが、上の製品はamazon本体及び日本正規代理店ザワード取り扱い製品で安心です。

 

おまけ:その他、CPUグリスを塗るのにあった方が便利なもの

アイネックス シリコングリス用ヘラ 乳白色(半透明) GH-01

へらは高い製品には付属している場合もあります。う〇こ塗りとへらを使って延ばす塗り方、どちらも賛否がありますが、あった方が便利なことは確か。

 

アイネックス グリスクリーナー IPA-CLN2

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アイネックスのグリスクリーナー。普通に水や水分の含まれているものなどを使うとマザーボードに有害ですのであると便利です。

 

アイネックス グリス拭き取り用ウェットシート GS-CLN

こちらもあると便利です。

 

無水エタノール 100ml(掃除)

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健栄製薬
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専用のクリーナーでなくても無水エタノールと普通のテッシュや綿棒を組み合わせても代替は効きます。量はこちらの方が多いです。

 

 

どうでしたか?上は一例ですが、今回の記事を参考にして自分に一番合ったCPUグリスを探してみてください。

CPUグリスだけでもこれだけの製品があって様々な用途に対応しています。

自作って本当に奥が深くて面白いですね。

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