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AMD FSR(FidelityFX Super Resolution)4.1、Radeon RX 7000シリーズへ正式展開——コミュニティのリーク騒動が後押しした電撃前倒し

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■事実

ドライバー更新の概要

AMD Adrenalin Edition 26.6.2ドライバーが2026年6月22日にリリースしました。

FSR(FidelityFX Super Resolution)4.1のRDNA3アーキテクチャ対応が主な変更点です。

対応GPUはRadeon RX 7000シリーズ(RX 7600〜RX 7900 XTX)です。

300以上のタイトルで正式サポート、ドライバー更新だけで有効になります。

当初の正式リリース予定は2026年7月で、約1か月前倒しでの提供です。

リリース前倒しの直接的な引き金

6月22日、ValveがProton Experimentalビルドにおいて誤ってFSR 4.1.1 INT8のDLLファイルを含めて配布です。

このDLLはAMD署名入りで、RDNA3.5(Radeon 890M搭載APU / Steam Machine向け)を主なターゲットとするものでした。

一部ユーザーが削除前にファイルを取得し、OptiScalerを経由してRDNA2 GPUでも動作することを確認・公開です。

情報が拡散したことを受けてAMDが即日公式リリースを決断したとみられます。

技術的な仕組み:FP8とINT8の違い

RDNA4(RX 9000シリーズ)のFSR4.1はFP8(8ビット浮動小数点)命令を使用——第2世代AIアクセラレーターがハードウェアレベルでFP8とINT8の両方をサポートします。

RDNA3は第1世代AIアクセラレーターのためFP8をネイティブサポートせず、INT8(8ビット整数)のみ対応です。

AMDはFP8向けに開発したFSR4.1のMLモデルをINT8形式に移植・最適化し、RDNA3で動作する別ビルドを作成します。

最終的な画質はFP8版と同等レベルに仕上がったとAMDのソフトウェア責任者が発表しました。

パフォーマンスオーバーヘッドはRDNA4のFP8版が3〜5%程度なのに対し、RDNA3のINT8版は約10%程度の増加です。

具体的なパフォーマンス実績

Crimson Desert 4K:RX 7900 XTXでネイティブ平均43fpsがFSR4.1適用後に64fpsへ向上(約49%改善)しました。

画質はFSR 3.1比で明確に向上、RX 9000シリーズのFSR4.1と視覚的にほぼ同等です。

対応ロードマップ

RX 7000シリーズ(RDNA3デスクトップGPU):2026年6月22日対応済みです。

RDNA3 / RDNA3.5搭載APU(Ryzen AI 300/400、Ryzen AI Max、Ryzen 200G、Steam Deck Z1 Extreme等):軽量MLモデルを開発中、リリース時期は未定です。

RX 6000シリーズ(RDNA2):2027年初頭に対応予定(さらなる最適化が必要)です。

フレームジェネレーションおよびレイリジェネレーションはRDNA4専用のまま変更はありません。

これまでの経緯

  • 2025年8月:AMDがGPUOpenで誤ってFSR4 INT8版ソースコードを公開→即削除、コミュニティに拡散
  • 2025年10月:漏洩コードを基にしたFSR4 INT8版ベンチマークが複数メディアで実施——RDNA3での動作が技術的に実証される
  • 2026年2月:AMDは公式見解として「現時点で展開の予定はない(no updates to share)」と回答
  • 2026年3月:OptiScalerがINT8版FSR4の非公式導入を容易化、Windows環境のRDNA3ユーザーにも普及
  • 2026年5月:AMDがRDNA3向けFSR4.1を2026年7月にリリースすると正式発表(RDNA2は2027年初頭)
  • 2026年6月22日:Valve Protonでのリーク発生→当日中にAMDが前倒し正式リリース

解説

技術的判断か、商業的判断か

以前の記事でも指摘したが、INT8版FSR4の技術的実現可能性は2025年10月時点でコミュニティが証明済みだ。

「技術的困難」という説明は、AMDがRDNA3ユーザーにRX 9000シリーズへの買い替えを促すための商業的判断と読める。

実際、2026年2月に「予定なし」と言っていたのに3か月後には「7月に提供」と発表——技術的問題が理由なら、このスピードで解決できるはずはない。

今回の前倒しリリースの直接の引き金がリーク(=情報漏洩)だったことも、AMD側の判断が「お客様のためではなく状況次第」であったことを示している。

ブランドダメージの総括

約1年間、RDNA3ユーザーを「FSR4なし」のまま放置したダメージは大きい。

「AMDはロングライフをうたっておきながら、旧世代ユーザーを切り捨てた」という印象を多くのユーザーに植え付けた。

競合のNVIDIAはDLSS 4.5をRTX 20シリーズ(2018年発売)まで展開——この対比は非常にまずい。

RX 7000シリーズオーナーが「FSR4のためにRX 9000へ買い替えた」と後悔するケースは、笑いごとではない実害。

今回の公式対応は正しい判断だが、「遅すぎた」という批判は免れない。

RX 7000シリーズの立ち位置が変わる

FSR4.1対応によってRX 7000シリーズの「今後の価値」は確実に上昇する。

特にRX 7900 XT / XTX:VRAM 20GBの広さがローカルLLM・画像生成用途に引き続き有利で、ゲームでもFSR4.1の画質恩恵を得られる。

RX 9070 XTへの「FSR4目当ての買い替え」の動機がほぼ消えた。

唯一の慰めは「1年待ったユーザーの方が1年分の電気代を節約できた」こと。

RDNA3 APUとSteam Machineへの影響

今回リリースされたのはデスクトップ向けRDNA3 GPUのみ——Steam MachineのRDNA3.5 APUはまだ正式対応していない。

ただしValveのリーク(今回の前倒しの引き金)はSteam Machine向けのビルドだったため、公式対応は近い可能性が高い。

Steam Deckも同様に「軽量MLモデル」待ちの状態——こちらのリリース時期は未定だ。

Steam Machineにとって、FSR4.1の有無は競合コンソール(PS5)とのアップスケーリング品質の比較に直結するため、AMDとValveにとってリリースを急ぐ理由がある。

RDNA2は2027年初頭——まだ待たされる

RX 6000シリーズユーザーはさらに半年以上待つ必要がある。

RDNA2はWMMA(Wave Matrix Multiply-Accumulate)命令のサポートが弱く、技術的に本当に追加の最適化が必要な可能性がある。

「技術的困難を理由にした先送り」か「本当に困難」かの判断は、現時点では保留が適切だ。

【AMDがINT8版を「動作するが品質保証が難しい」と言い続けた約1年間、コミュニティは勝手に動作させていた——公式サポートとはいったい何だったのか。

 

すでに公式がサポートする前にコミュニティ版が存在していたので、影響は大きくはないだろう。しかし、「約束を守った」という点でユーザーに安心感を与えた。

一次的に売り上げに影響が出たとしても長い目で見れば必ずプラスになる。

AMD製品はAIに弱いという印象をある程度払拭してくれるだろう。

いろいろと書いてきたが、このこと自体は非常に意義があることだ。

紆余曲折があったが、最初に宣言したことはきちんと実行してほしいところだ。ラインナップがハイエンドからエントリーまで広くカバーしているRDNA2番も予定されているので、大いに期待したいところだ。

Steam Machineにも搭載され、RDNA3はまだ現役であるから、FSR4が対応した意義は大きい。