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■事実
YMTCの業績と増産計画
YMTCは2026年下半期にIPO(株式公開)を計画しており、調達資金は設備投資とR&Dに充てる方針です。
YMTCは従来のNAND専業から転換し、新工場キャパシティの約50%をDRAM生産に割り当てる計画です。
LPDDR(低消費電力DRAM)サンプルを顧客に送付済みで、フィードバック次第でDRAM量産比率を調整します。
YMTCは2022年12月に米国のエンティティリストに追加されており、EUV・先端DUV露光装置などの米国製半導体製造装置へのアクセスは制限されています。
新工場には多様な生産ラインを設け、特定サプライチェーンへの依存を低減する設計とします。
YMTCの2026年第1四半期売上高は200億元(約30億ドル)を超え、前年同期比2倍以上に達しました。(中国メディア「界面新聞」報道)
同社のNANDフラッシュ世界市場シェアは10%を超え、世界3位(Samsung・Kioxia)に迫りつつあります。
YMTCは今年だけで武漢に新工場を2棟追加建設する計画で、既に完成済みの1棟と合わせると計3工場が稼働しました。
各工場の月産能力は最大10万ウェハー、3工場フル稼働で月産30万ウェハー超となり現状から2倍以上に増加します。
業界関係者は「真にエピックな規模の拡張」と表現しています。
CXMTの業績と増産計画
TrendForceによると2026年第1四半期の通常DRAM契約価格は前四半期比90〜95%上昇しています。(当初予測の55〜60%から大幅に上方修正)
TrendForceによると2026年第1四半期のNANDフラッシュ契約価格は同55〜60%上昇しています。
第2四半期の予測はDRAM +58〜63%、NAND +70〜75%(前四半期比)です。
Samsung・SK Hynixは顧客に「供給逼迫は少なくとも2027年まで続く」と警告しています。
SK Groupの会長はメモリ不足が2030年まで続くと発言しています。
新規ファブの大規模稼働は2027〜2028年以前には見込めないとTrendForceは分析しています。
UBS推計によると中国メモリ2社による今年の追加増産量は月12〜14万ウェハーに達する見込み。さらに2027年も増加を予測しています。
CXMTはHBM(高帯域幅メモリ)生産ラインも上海で整備中で、年内の量産開始を目指しています。
CXMTは計画中の上海STAR市場IPOから75億元(約11億ドル)を生産ライン強化に充てる計画です。
IC China 2025でDDR5(最大8,000 Mbps)やLPDDR5Xなどの高性能製品を公開し、チップ密度は24Gbに達し、韓国勢に迫る水準です。
中国メーカーは同等仕様の製品に対してグローバル価格比15%超の価格競争力を持ちます。(台湾業界調査機関・劉孟俊氏)
CXMT(長鑫存儲技術)の2025年売上高は約80億ドル、前年比130%増(AI需要と価格上昇が主因)です。
CXMTのDRAM月産ウェハー数は2024年初頭の10万枚から同年末には29万枚へと、ほぼ3倍に拡大しました。
合肥と北京の既存工場はすでにフル稼働状態です。
上海に新工場を増設中。設備設置は2026年下半期、量産開始は2027年の見込みです。
上海工場ではサーバー・PC・車載向けDRAMを生産する計画です。
市場全体の需給状況と前払い問題
2025年第4四半期以降、YMTCおよびCXMTの製品を確保したい顧客はチャンネル代理店に前払いが必須となっています。
深圳のあるサーバーメーカーは2026年1月時点で丸1年分の在庫を事前確保済みで、「もはや価格ではなく供給が問題」と述べたと報告されています。
前払い後は生産キューに組み込まれ、在庫が準備でき次第通知される仕組みで、メモリ価格の上昇に連動した対応をしています。
構造的背景
TrendForceは2026年のNAND需要は前年比20〜22%成長に対し、供給増は15〜17%に留まると予測しています。(需給ギャップ拡大)
中国メーカーが国産装置を採用することで、輸入品の長期検証期間を回避できるメリットも拡大の追い風となっています。
AIデータセンター向けHBM需要が急増し、Samsung・SK HynixがHBM優先でウェハー稼働を配分していることが、一般向けDDR5・NANDの供給を圧迫しています。
AIサーバーとSSD向け大容量ストレージの需要爆発が、スマートフォン・PC向けメモリを”後回し”にする構造を固定化しています。
解説
CXMTの月産能力が1年で3倍近くに急拡大したのは驚異的な数字だが、設備の”稼働率”と”歩留まり”が伴っているかどうかは別問題で、実効生産量は慎重に見る必要がある。
「待っていれば価格が下がる」という消費者の常識が完全に崩壊しており、DRAMで+90〜95%、NANDで+55〜60%(Q1対比)という数字は、1年前にはあり得ないと思われていたレベルだ。
中国製メモリの存在感拡大は、米国の輸出規制に対するカウンターとして機能し始めており、EUV・先端DUVなしで”ここまでできる”という実績を積み上げることが、長期的な対米交渉カードになる。
一般ユーザーへの影響:SSD・RAM価格の高止まりが2026〜2027年を通じて続く可能性が高く、「自作PC or メモリ増設を考えているなら今すぐ買え」という空気は、残念ながら間違っていない。
「中国メーカーが増産を急ぐほど、買い手が前払いを迫られる」という現象が並行して起きているのが今の市場で、それほど需要が供給を圧倒している。
YMTC Q1売上が前年比2倍という数字は、メモリ価格高騰の恩恵を真っ向から受けたことを示し、制裁で装置調達が制限されても「増産する理由」が揃いすぎている状況だ。
「前払いしないと並べてもらえない」という状況は、かつてのPS5争奪戦に似ており、違いは、これがコンシューマー向けゲーム機ではなく、BtoBの産業用メモリで起きているという点だ。
構造の核心は「AIがHBMを食い荒らし、普通のDRAM・NANDに回るウェハーが減った」ことで、AI需要が直接・間接に全メモリカテゴリを高騰させている。
YMTCがNAND専業からDRAMに参入しようとしている点は興味深く、従来の市場秩序(Samsung・SK Hynix・Micronの3社体制)に本格的に挑戦する意思表示のように見える。