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NVIDIAは、9GB GDDR7メモリを搭載したGeForce RTX 5060 TiとRTX 5060を5月~6月に発売する準備を進めている?

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※ 画像は記事の内容をもとにしたイメージです。必ずしも現実を反映しているわけではありませんのでご了承ください。

事実

噂の発端:Board Channelsリポート

Board Channels(中国の業界フォーラム)が2026年4月14日、RTX 5060 TiとRTX 5060に9GB GDDR7モデルを追加する計画があると報告しました。

この情報をVideoCardzが報道し広く拡散しました。

NVIDIAは公式にはこれらのモデルの存在を認めていません。(記事執筆時点)

ソースは http://www.boardchannels.com.cn/thread-131381-1-1.html

 

「9GB」を実現する技術的手法

現行のRTX 5060 Ti 8GBおよびRTX 5060 8GBは、2GBチップ×4枚の128bitバス構成です。

9GBモデルでは3GBチップ×3枚の96bitバス構成に変更されます。

32Gbpsメモリを使用しても384 GB/sにとどまり、現行8GBモデルの448 GB/sを下回ります。

コスト面はチップ枚数が4→3に削減され、製造コストの低下が見込まれます。

VRAM容量は8GB → 9GB(+1GB)です。

メモリバス幅は128bit → 96bit(25%縮小)です。

メモリ帯域幅(28Gbps時)は448 GB/s → 336 GB/s(25%減)です。

 

3GB GDDR7チップの供給状況

Samsung・SK Hynix・Micronの3社がすでに3GB GDDR7チップの量産体制を確立しています。

Micronが2026年2月に3GB GDDR7(36 Gbps)を正式発表し、三社体制が整りました。

現時点でNVIDIA製品に3GB GDDR7チップを採用しているのはRTX 5090のノートPC版とRTX Pro 6000 Blackwellのみです。

NVIDIAは調達先を複数社に分散させ、メモリ価格高騰・供給逼迫への対応を図っています。

 

リーカーによる否定

「RTX 5060 / RTX 5060 Tiの9Gモデルは現時点で計画なし。RTX 5050の9GのみがOn Track(予定通り進行中)」

信頼性の高いリーカー・MEGAsizeGPU(X: @Zed_Wang)が2026年4月15日午前1時過ぎ(日本時間)に否定情報を投稿しました。

VideoCardzはこの否定情報を受けて記事を更新し、「噂」タグを維持しながらもSKUが存在しない旨を明記しました。

RTX 5050 9GBは別の話

MEGAsizeGPUによれば、RTX 5050の9GB化は「計画通り進行中」です。

RTX 5050の場合、現行8GBモデルはGDDR6(128bit、320 GB/s)を採用しています。

9GBモデル(GDDR7、96bit)では帯域幅が336 GB/sとなり、わずかながら向上します。(RTX 5060系とは逆方向の変化)

 

RTX 5060系の現行ラインナップとうわさの9GBモデル

GPU ダイ CUDAコア数 VRAM・バス幅 TGP 状況
RTX 5060 Ti 16GB GB205-300 4,608 16GB GDDR7 128bit 180W 発売済み
RTX 5060 Ti 9GB GB205 4,608 9GB GDDR7 96bit 未定 うわさ(否定情報あり)
RTX 5060 Ti 8GB GB205-300 4,608 8GB GDDR7 128bit 180W 発売済み
RTX 5060 9GB GB205 3,840 9GB GDDR7 96bit 未定 うわさ(否定情報あり)
RTX 5060 8GB GB206-250 3,840 8GB GDDR7 128bit 145W 発売済み
RTX 5050 9GB GB206-150 2,560 9GB GDDR7 96bit 130W うわさ(進行中とされる)
RTX 5050 8GB GB206-300 2,560 8GB GDDR6 128bit 130W 発売済み

メモリ不足の背景

SK GroupのChey Tae-won会長はGTC 2026でDRAM不足が2030年まで続くと発言しています。

TrendForceはDRAMの契約価格が2026年Q2に前期比58〜63%上昇すると予測されています。

ゲーミングGPU向けGDDR7は「限られた生産能力しか割り当てられていない」状態(TrendForce)です。

9GB構成はメモリチップ枚数削減(4→3)による調達コスト抑制策でもあります。

AIデータセンター向けHBM(高帯域幅メモリ)の需要急増で、Samsung・SK Hynix・MicronはHBMへの生産能力シフトを継続しています。

その結果、GDDR7を含む一般向けメモリの供給が慢性的に逼迫しています。

 

解説

バス幅縮小のトレードオフ

「容量は増えたのに帯域が落ちる」という構造は、スペック表だけ見ると非常に分かりにくいトレードオフ

96-bit構成では名目上の帯域幅が128-bit比で25%削減される。(448 GB/s → 336 GB/s)

ただしこの生DRAM帯域の数字をそのまま性能差と読むのは、RTX 4000世代以降では正確ではない。(後述)

 

L2キャッシュが帯域差を隠蔽する(推測)

RTX 4000シリーズ(Ada Lovelace)以降、L2キャッシュ容量が飛躍的に増大した。(Ada最大72MB、Blackwell GB202で128MB)

これはAMDがRDNA2世代のInfinity Cacheで先に実証した概念で、大容量L2によってDRAMへのアクセス頻度が下がり、バス幅の差が実効ゲーム性能に出にくくなった。

かつてRTX 3060(192-bit、360 GB/s)がRTX 3060 Ti / RTX 3070(256-bit、448 GB/s)に帯域で劣りながらVRAM容量12GBだけが優位という歪な立ち位置だったが、L2が極小だったAmpere世代ではその帯域差が性能にそのまま出た。

RTX 4000世代以降はL2が大型化したことで、バス幅の差による性能影響は以前より大幅に緩和されている。(推論)

今回の96-bit構成にこれを適用すると:L2込みの実効帯域は96-bitでも約1,430 GB/s相当(推計)となり、128-bitの生DRAM帯域1,120 GB/sを上回る計算になる。

ただし容量の問題は別軸で残る

L2がゲーム用途で帯域差を隠蔽できるのは、VRAM使用量がL2の恩恵を受けられる範囲に収まっているときに限られる。

VRAMが逼迫してスワップが発生するような負荷では、L2のヒット率が急落し帯域差が露骨に出る。

AI推論など、VRAMをストリーミング的にフルに使う用途でも同様にキャッシュヒット率が維持できず、帯域の生数字が性能に直結する。

**「帯域の問題はRTX 4000世代以降、ゲーム用途では小さくなった。しかし9GBという容量の問題は依然として残る」**というのが現時点での整理だ。(推論)

1080pで10GBを超えるVRAM消費が出始めている現在、9GBが実際に足りるかどうかは使ってみるまでわからない。

しかし、帯域に関しては言葉で受ける印象よりは問題は小さいだろう。

NVIDIAの意図

3チップ構成はNVIDIAとAIBパートナー双方にとって製造コスト削減の側面がある。

NVIDIAが「96-bitでも十分」と主張できる根拠はL2の存在にあるが、それはL2込みで見れば128-bitも同様に恩恵を受けるため、差は縮まらない。

「メモリ不足への対応」と説明されているが、同時にメモリチップのBOM削減でもある。

 

「9GB」という半端な数字が象徴するもの

GBメモリの主流は8・12・16・24GB。「9GB」は消費者目線では奇妙に映る。

エンジニアリング上の要請(3GBチップ×3枚)が生んだ産物であり、消費者のために設計された数字ではない。

「9GBで帯域も落ちました」は、足し算と引き算を同時にやって「増えた」と言い張る計算式に近い。

 

メモリ不足が中位GPUの仕様を歪め始めており、コンシューマー市場は「AIが食べ残した部材で設計されたハードウェア」で戦う時代に入りつつある。

あくまでもメーカーのコスト削減が中心の変更と取るのが正しい。