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サムスンとSKハイニックスが長期契約を強化し、DRAM価格のピークが見えてきた

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■事実

SamsungとSK hynixが長期契約に完全移行

SamsungはMicrosoft、Google、AMDなどの主要顧客と3年単位のLTA交渉を最終段階で実施中です。

SK hynixはGoogleと最長5年のDRAM長期供給契約を推進。当初は3年が想定されていたが、SK hynixは「3年では短すぎる」との立場で、HBM3EのGoogle向け優先供給を交渉カードに、次世代HBMの供給コミットメントと引き換えに期間延長を交渉中です。

SK hynixはMicrosoftともDDR5の複数年LTA契約を最終調整中。契約規模は数十兆ウォン規模とされ、価格下落に対するフロア価格(下限価格)や契約総額の10〜30%の先払い条項が含まれています。

MicronもCEOが決算説明会で初の5年戦略顧客契約(SCA)締結を発表しており、LTA化はメモリ業界全体のトレンドになっています。

韓国メディア報道によると、SamsungとSK hynixがグローバル大手テック企業との1年短期契約を事実上廃止し、3〜5年の長期調達契約(LTA)のみで供給する方針に転換しました。

Samsung DS部門CEOであるチョン・ヨンヒョン氏は2026年3月18日の株主総会で「年次・四半期契約から3〜5年の複数年契約への転換を推進している」と明言しています。

DRAM価格の推移と現状

2026年Q1のコンベンショナルDRAM契約価格は前四半期比55〜60%上昇(TrendForce)しています。

Samsungは2026年Q1のDRAMを前年同期比100%値上げ、前四半期比75〜80%上昇で供給しています。

2026年Q2はさらに前四半期比30%の追加値上げを実施する予定です。

DRAMピーク説の根拠

Googleの「TurboQuant」(DRAM上のKVキャッシュを圧縮する技術)が数週間前からDRAMスポット価格の下押し要因として機能し始めています。

アナリストJukan(@jukan05)は「LTAのみを新規に締結しているという事実が、メモリ企業自身が『ここからそれほど価格は上がらない』と判断していることを示唆している」と指摘しています。

価格が引き続き大幅に上昇すると予測するなら、メーカーは今の価格を長期固定しようとはしないはず、という理屈です。

 

NANDは別の動きを見せる

TurboQuantはDRAMのKVキャッシュのみを圧縮するため、NANDへの需要には影響を与えません。

UBSはNAND価格のピーク時期を2027年Q2から2027年Q3へ後ずれ修正しています。

理由は中国YMTCが増設生産能力の相当部分をNANDではなくDRAMへ振り向けているため(約30,000ウェーハ/月規模)です。

メモリ企業の業績見通し

株価への影響は2026年以降、Samsung株は約60%上昇、SK hynix株は約50%上昇、SanDisk株は183%急騰でした。

KB Securitiesはいくつかのアナリストが示す試算として、SamsungのNAND・DRAM売上急拡大により2026年の営業利益を327兆ウォン、2027年には488兆ウォンと予測しています。

この予測が正しければ、Samsungは2027年に世界で最も利益を上げる企業となり、NVIDIAの営業利益を上回る可能性があります。

 

解説

「今の価格で固定したがる」=上値が限られているシグナル

LTAへの転換を「需要の安定化」と解釈するのは表向きで、真の意味は「これ以上の価格上昇は見込めない」という内部判断の表れ、というJukanの読み解きは説得力がある。

価格がまだ上がると確信しているなら、売り手は長期固定などしない——これはあらゆる市場で通じるロジックだ。

SamsungとSK hynixがほぼ同時にLTA一本化を打ち出したことは、業界コンセンサスとして「ピーク圏に入った」という認識が共有されつつある可能性を示す。

DRAMとNANDで乖離するピーク時期

PCやゲーム機に使われるSSDのコスト高騰はNANDの動向に連動するため、2027年Q3まで続く可能性がある点はコンシューマー製品の価格見通しに直結する。

DRAMはすでにピーク圏に入りつつある一方、NANDは2027年Q3まで上昇が続く見通しという「非対称な構造」が浮かび上がる。

YMTCがDRAMに生産能力をシフトしているのは、今現在DRAMのほうが利益率が高いから——これは供給側の合理的行動だが、NAND不足を長引かせる副作用を生む

TurboQuantという技術的変数

AIが引き起こしたメモリ高騰を、AIの技術革新が緩和し始めるという構図で、NANDには効かないため、まだ部分的な緩和にとどまるだろう。

Googleが開発したDRAM上のKVキャッシュ圧縮技術がDRAMスポット価格の下押し要因として機能し始めているのは興味深い。

「最も儲かる会社」になるのはメモリ企業という構図

「AIで一番儲かるのはNVIDIAではなくSamsungかもしれない」という説は、半導体市場の力関係が根本的に変化していることを示す。

2027年にSamsungがNVIDIAを上回る営業利益を達成する可能性があるというKB Securitiesの予測は、現在の異常な市場環境を象徴している。

AIインフラへの投資競争がNVIDIAを潤してきたが、その上流にいるメモリメーカーが「最終受益者」になりつつある構図である。

コンシューマーへの含意

LTAの下限価格条項は「価格が下がりすぎる」ことへのリスク管理はメモリ企業は下落局面でも一定の価格を維持できる仕組みを確保しており、「暴落して安くなる」パターンは起きにくい。

DRAMがピーク圏に入りつつあるとすれば、PC・ゲーム機など消費者向けハードウェアの価格高騰に「出口」が見え始めている可能性がある。

ただしNANDは2027年Q3まで上昇が続く見通しのため、SSD搭載製品の値下がりは遅れる。

 

SamsungがNVIDIAを利益で抜く未来——AIバブルの「最終受益者」が買いたたかれてきたメモリ製造業者というのは、シリコンバレーが想定していなかった結末かもしれない。

DRAMのピークが見え始めたとしても、NANDが続く限り消費者の財布の苦しさは続く——「半分だけ終わった」という感じがしっくりくる。

いずれにしてもメモリはコンピューターの動作には必ず必要とされるものなので、AI需要が続く限り価格下落圧力は大きくならないだろう。

今起きているのは何度も赤字を出してきたメモリ企業のトラウマが市場価格に反応したということかもしれない。