※ 画像は記事の内容をもとにしたイメージで、必ずしも現実を反映しているわけではありませんので注意してください。
■事実
ドイツの大手PCパーツ小売店Mindfactoryにおける2026年第9〜11週(3月1日〜15日)のGPU週間販売データが、X(旧Twitter)アカウント「@TechEpiphanyYT」によって公開された。(https://x.com/TechEpiphanyYT/status/2033459971778560055)
同期間の総販売台数は1,995台にとどまり、これは通常の週次販売量の約3分の1という異例の落ち込みとなった。
メーカー別の販売台数はAMDが1,110台(55.6%)、NVIDIAが795台(39.8%)、Intelが90台(4.5%)で、AMDが台数ベースで過半数を占めた。
このデータはドイツ単一店舗のものであり、グローバル市場全体を直接反映するものではない点に留意が必要だ。
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Radeon RX 9070 XTが全GPU販売の25.6%を獲得
最も売れたGPUはAMD Radeon RX 9070 XTで、510台を販売して全体の25.6%を占めた。
2位はRadeon RX 9060 XTの405台(20.3%)で、AMDが上位2位を独占している。
AMD販売台数1,110台のうち、この2モデルだけで915台(約82%)を占めており、RDNA4アーキテクチャへの集中が際立っている。
RDNA3世代の旧モデルはRX 7600が40台、RX 7900 XTX・RX 7900 XT・RX 7700 XTがそれぞれ20〜30台と低水準にとどまる。
NVIDIA勢のトップはGeForce RTX 5080の235台(11.8%)。以下、RTX 5070 Tiの180台(9.0%)、RTX 5070とRTX 5060がそれぞれ140台(7.0%)、RTX 5090は105台(5.3%)と続いた。
RTX 5060 Tiは今回のデータに含まれていない。この集計期間中、RTX 5060 TiはRX 9060 XTと比較して多くの市場で価格競争力が劣るとも指摘されている。
Intel GPU(Arc)は合計90台(4.5%)で、Arc B580・B570・A770がそれぞれ20台を記録した。
RX 9070 XTの価格推移について補足すると、同GPUは2025年3月の発売直後から供給が逼迫し、一時はMSRP(599ドル)から大幅に乖離した800〜900ドル水準で取引された。
発売以来約1年を経た現在、価格が正常化に向かいながらも販売台数が高水準を維持していることは、価格弾力性の高さを示している。
AMDのリサ・スー(Lisa Su)CEOは、RX 9070 XTの初週販売量について「前世代比で10倍以上」と公表しており、Mindfactoryのデータはそのロングテールが続いていることを示す一例だ。
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VRAM容量・アーキテクチャ別の詳細
VRAM容量別では16GB以上のモデルが1,510台(75.7%)と圧倒的多数を占め、8GB以下は485台(24.3%)にとどまった。
現行世代のRDNA4・Blackwellはどちらも16GBが主流で、VRAM16GB以上の比率の高さはこれら新世代GPUの普及を反映している。
アーキテクチャ別では、RDNA4(AMD新世代)が915台(45.9%)、Blackwell(NVIDIA新世代)が815台(40.9%)と現行世代同士がほぼ拮抗した。
RDNA3が140台(7.0%)、Intel Arcが90台(4.5%)、GeForce GTシリーズなどのレガシーGPUが35台(1.8%)と続く。
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ボードパートナー別シェアと個別モデルトップ3
ボードパートナー別の販売台数はPowerColorが370台(18.5%)でトップ。次いでMSI 335台(16.8%)、XFX 310台(15.5%)、Gigabyte 255台(12.8%)、Sapphire 240台(12.0%)、Palit 215台(10.8%)、ASRock 180台(9.0%)、ASUS 60台(3.0%)と続く。
PowerColor・XFX・SapphireといったAMD専業に近いパートナーが上位3社を独占しており、RX 9070 XTとRX 9060 XTの強さを直接反映している。
個別モデルのトップ3はすべてAMD RDNA4・16GBが占めた。
| 順位 | モデル | 台数 |
|---|---|---|
| 1 | PowerColor Radeon RX 9070 XT Reaper 16GB | 110台 |
| 2 | PowerColor Radeon RX 9060 XT Reaper 16GB | 80台 |
| 3 | Sapphire Radeon RX 9070 XT Pulse 16GB | 70台 |
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販売全体が「通常の3分の1」に急減した背景
今回の集計期間に総販売台数が通常の約3分の1まで落ち込んだ主因はNVIDIAの供給制約にある。
NVIDIAはGDDR7メモリの調達不足を背景にRTX 5080の供給を優先しており、RTX 5070 TiおよびRTX 5060 Tiの出荷量が引き続き制約されているとされる。
AMD Radeon RX 9070 XTの価格は発売時ピーク(北米800〜900ドル)から大幅に下落し、2026年3月時点では北米で700ドル前後、英国で500〜600ポンド、日本でも2025年12月水準まで戻っている。
価格が下落してもRX 9070 XTの週間販売台数が高水準を維持していることは、供給の安定と価格競争力の両立が続いていることを示している。
解説
Mindfactoryの週次データは毎回注目していますが、今回の第9〜11週データはいくつかの点で面白い内容です。
まず強調したいのは「全体の販売台数が通常の3分の1」という前提です。
これは単純に「AMDが圧勝した週」というより、「NVIDIAがまともに供給できていない週のデータ」として読む必要があります。
RTX 5080が235台でNVIDIA内トップというのは価格帯を考えると悪くない数字ですが、RTX 5060 TiのデータがそもそもないというのはNVIDIAの供給状況を如実に物語っています。
RX 9070 XT(510台)とRX 9060 XT(405台)で全GPU販売の約46%を占めているのは圧倒的ですが、個人的にはRX 9060 XTの405台という数字が特に気になります。
あまり話題にならないRX 9060 XTが、RTX 5080(235台)を大幅に上回るペースで売れている。
RTX 5060 Tiが価格面で同等のポジションを取れていない間に、RX 9060 XTがミドルレンジ市場を着々と塗り替えているわけで、これはAMDの在庫管理と価格戦略が正しく機能している証拠だと思っています。
振り返ると、RX 9070 XTはMSRP599ドルに対して発売直後に800〜900ドルまで高騰しましたが、あれだけの混乱があっても約1年後にこの販売台数を維持しているのは、製品の実力と供給管理の両面でAMDが正しい判断をし続けてきた結果でしょう。
Radeonユーザーとして正直嬉しいのは、今回のデータがROCmや生成AIワークロードとは無関係な「純粋な消費者向けゲーミングGPU市場」での話だという点です。
ゲームの実用性能・価格・供給の三拍子が揃っていれば、ユーザーはちゃんとAMDを選ぶ。
長年「NVIDIAでないと不安」という空気が続いていたゲーミング市場で、その空気がRDNA4で確実に変わりつつあることをこのデータは示しています。
VRAM容量別の75:25(16GB以上 対 8GB以下)という比率も、AMDの戦略の正しさを裏付けています。
RX 9070 XTもRX 9060 XTも全モデルが16GBという判断は、DRAM高騰局面にあっても「将来性を担保する容量を最初から提供する」というユーザー目線のアプローチであり、8GBと16GBを混在させて市場を混乱させた競合との差は明らかです。
Steam Hardware SurveyではRDNA4の普及率がGeForce GT 730以下という衝撃的な数字が出ていますが、これは韓国のPC방(ゲームカフェ)が大量にNVIDIA GPUを一括でSteamに報告するバイアスが主因です。
実売データとSteam Hardware Surveyのかい離は今に始まった話ではありませんが、RDNA4に限っては特にひどい。
欧州・北米・日本での小売り販売データを複数参照すれば、RX 9070 XTが他の全GPUを大きく引き離して売れていることは明白で、Steam Hardware Surveyを根拠に「AMDは普及していない」と言うのは現状では誤りだと断言できます。
ボードパートナー別でPowerColorが首位、XFX・SapphireがTop3を占めているのも興味深いです。
AMD専業に近いパートナーがこれだけ上位に並ぶのは、RDNA4の販売が健全であることを意味しています。ASUSやZOTACが下位なのはNVIDIA供給制約の直撃を受けているからで、ここにもAMDの供給安定の優位が出ています。
GTC 2026でDLSS 5が発表された翌日にこのデータが出てきたのは、なかなか皮肉な対比です。
将来の技術で語るNVIDIA、いま売れているAMD──NVIDIAの「ニューラルレンダリングの夜明け」を聞きながら、今日も店頭でRX 9070 XTが売れていく。これが今のGPU市場の現実です。