同じ工場が現在、RTX 4090DベースのGPUのバッチテストを行っている。
Financial Times(FT)』紙が掲載したレポートによると、中国の複数の工場が、Nvidia GeForce RTXゲーミング・グラフィックス・カードを再利用し、専用のAIアクセラレータを作るのに忙殺されているという。
再加工工場がターゲットとしている最も人気のあるGPUは、入手可能な最高のグラフィックカードの1つであるGeForce RTX 4090である。ある工場のマネージャーは、12月だけで4,000枚以上のNvidia GeForceグラフィックカードの分解を担当したと情報筋に語った。
米国の制裁により、中国の組織はNvidiaの最も強力なAIアクセラレータを調達することが困難になっている。
そのため、いくつかの工場がグリーンチームからコンシューマーゲーム製品を再利用するために分解ラインを設置したと考えられている。
その後、制裁がさらに強化され、GeForce RTX 4090のようなゲーミングGPUも対象となったため、中国の工場はすでに新しいGeForce RTX 4090Dのバッチを購入し始めている。
FTの報道によると、中国の工場経営者はRTX 4090Dの部品性能と収穫を評価している。
Nvidiaの中国市場向けRTX 4090Dは、ゲームではRTX 4090より約5%遅くなると予想されている。
しかし、Nvidiaが行った修正のフルミックスは、「遅いバージョンは、大規模な言語モデルのトレーニングには十分なパワーがないことを意味する可能性がある」とFTは報じている。
FTの報道で眉をひそめるのは、これらのGPU再利用工場の活動が短期間で4倍に急増したという主張だ。
情報筋によると、中国のある工場では11月に約1,000枚のGeForce RTXグラフィックカードを処理し、12月には約4,000枚に増えたという。
中国のソーシャル・メディア・ソースによって、消費者向けゲーミング・グラフィックス・カードが分解され、ブロワー・スタイルのクーラーが後付けされている写真が掲載された。
しかし、GPUとVRAMチップがこれらのゲーミング・グラフィックス・カードから取り外され、「AIアクセラレータ」PCBに使用されるという中間段階もあると言われている。
中国製RTX 4090DグラフィックカードをAIアクセラレータに再利用することが可能かどうかは、しばらく様子を見る必要がある。
もしそれが可能だというニュースが出れば、米国による制裁措置がさらに強化されるかもしれない。
解説:
旧西側諸国の常識が通用しない中国の最先端半導体産業
RTX4090Dが中国のAIデータセンターのAIアクセラレーターに改造する工場にどんどん送られているようですね。
普通、旧西側諸国ではメモリをリボールしてGPUのクーラーを換装する手間を考えると到底コストに見合わないので、民生用のゲーム向けGPUをAIアクセラレーターに換装するなどというバカげたことはしません。
しかし、人件費をほぼ無視して国策でAI/MLに投資していく中国にはこの理屈は通用しないようです。
アメリカは規制を改造されないことを前提に考えていると思いますが、中国に対しては改造してAI/MLのアクセラレータに使用しますので、現行の規制では不十分ではないかと思います。
その証拠に規制当局は当初、nVIDIAにRTX4090Dを発売しないように圧力をかけていたと報じられました。
nVIDIAは当然これには反発しました。
これでは規制の意味がなく、これはnVIDIAの主張が正しいと思います。
しかし、アメリカはあくまでも中国を旧西側諸国の常識で測っているところがあります。
中国に対しては我々の常識は全く意味を成しません。
80年代90年代、中国ではゲームのROMを削って中身の回路を露出させ、顕微鏡でROMのパターンを確認して中身をコピーしたという信じられない逸話が残っています。
普通はペイしないのでそんなことはしませんが、人件費を限りなく0に近く出来る中国ではそういう我々の常識では信じられないようなことも平気でやります。
そのため、もっと規制のもとになる考え方を変えていく必要があるのかなと思います。
とりあえずゲーム用のRTX4090やRTX4090Dを吸い上げていることをどのように考えているのかをはっきりさせない限り、アメリカがいくら強力な規制を決定したとしても全く意味をなさないと思います。
規制するならば、こうしたゲーム向けのGPUを大量に購入して中国に送っている業者も規制しないとだめなのでしょう。
ある意味、わたくしの想定した通りの結果になっています。