米国の輸出抑制を受け、中国製EDAツールの販売が増加
政府の補助金と支援に後押しされ、中国国内の電子設計自動化ツール(EDA、集積回路や回路基板の設計に使用されるソフトウェア)開発企業は売上急増を目の当たりにしており、そのため研究開発投資を増やすことができる。
米国が昨年、先進的なEDAプログラムの中国企業への販売を制限したため、中国のチップ設計者は国産EDAツールの採用を増やさなければならなくなった。
その結果、Empyrean TechnologyとPrimarius Technologiesは、2023年第1〜3四半期に売上高が30%以上急増したとDigiTimesは報じている。
エンペリアンテクノロジーがライバルよりも財政的に成功しているのは、主に政府からの巨額の補助金によるものだ。
エンピリアン・テクノロジーの9ヵ月間の売上高は1億7100万円(235億2300万ドル)だったが、政府からの補助金はなんと1億2900万円(177億4500万ドル)。
この補助金が同社の収益性を決定づけた。一方、プリマリアス・テクノロジーズは、938万円(129万ドル)の補助金を受けているにもかかわらず、財務上の損失を抑えることができず、2800万円(385万1000ドル)にまで膨らんでいる。
政府の十分な援助があれば、中国のEDAツール開発企業は研究開発に巨額の資金を投じることができるため、2023年にはEmpyrean社が売上高の70.56%、Primarius社が67.47%を研究開発に充てる。
この数字は、研究開発費を売上高の30~40%と控えめに維持しているシノプシスやケイデンスの相対的な研究開発費を凌駕している。
中国のEDA市場は、依然として国際的な大手企業によって支配されている。
ケイデンス、シノプシス、シーメンスEDAが市場の80%以上を占めており、これは世界的な市場シェア(78%)よりもさらに高い。
中国政府は、国内EDA開発企業が2025年までに国内EDA市場の22%を獲得し、それまでに14nmおよび28nmプロセス技術向けのEDAツールを導入することを望んでいる。
この目標は、米国の輸出規制が厳しく、シノプシスとケイデンスは中国市場向けにGAAFETのサポートを除外した製品を提供せざるを得ない状況下で設定された。
中国政府は、同国のEDAセクターへの支援強化を公約しており、同国半導体セクターの外国製ツールへの依存度低減を目指している。
しかし、チップ設計者は低コストよりもソフトウェアの信頼性を重視するため、同市場での足場固めは徐々に進んでいくだろうとしている。
ソース:Tom’s Hardware – Chinese Chip Design Software Devs Receive Massive Government Support
解説:
中国で半導体設計ツールが国産化
アメリカの制裁によってアメリカ製の半導体設計ツールが使えなくなった中国ですが、内製化が始まっているようです。
制裁によって国内の半導体設計ツールの会社の売り上げが30%伸びているそうです。
こうした半導体関連の企業は中国の国策として潰さないようにしているのでしょうから、支援もさぞ手厚いでしょう。
中国では詐欺が横行していますので、半導体関連の企業が補助金で立ち上がってもほとんどが詐欺だったりします。
しかし、そのうちのいくつかはまともな企業できちんと育っているようですね。
効率は悪いですが、結果が出ているのは事実だと思います。
問題は中国の経済は急速に傾いているので、完全に沈没するまでに間に合うかどうかといったところでしょうか。
アメリカの経済関係のニュースでは今後7年間はリセッション(景気後退)すると言われており、中国がいくら自国の技術を伸ばしても売り先が無ければどうしようもありません。
アメリカの制裁が仮に無かったとしても「売ることがありませんでした」となったら意味が無いです。
少なくとも今後数年間は厳しい状態になることは確定していると思います。