インテル社の第12世代CPU「Alder Lake」の電力要件が明らかになりました。
見たところ、次期ラインナップは既存の第10世代、第11世代プロセッサに比べてより電力を必要とするものになりそうです。
インテル Alder Lake CPUの電源要件が明らかに – 第12世代CPUは第10世代および第11世代プロセッサよりも電力を消費する
第12世代Intel Alder Lake CPUは、新しいプロセスノード「Intel 7」(旧10nm Enhanced SuperFin)を採用します。
これは、Skylake以降に採用されてきた既存の14nmプロセスとは大きく異なるものです。
FCPOWERUPの最新の数値に基づいて、インテルはAlder LakeデスクトップCPUの電力要件を公開していますが、どうやら電力要件は上がっているようです。
電力要件(PSU 12V2)の要件表によると、Intel Alder Lake-SのCPUは4つのTDPセグメントで登場します。
- 165W (エンスージアスト)
- 125W (アンロック)
- 65W (メインストリーム)
- 35W (低消費電力)
すべてのセグメントで連続電流の定格は同じですが、ピーク電流の定格は平均で20%上昇しています。より詳細な数値は以下の通りです。
165W TDP CPU
- 10/11th Gen: 40A/480W
- 第12世代 45A/540W (+12.5%)
125W TDP CPU
- 第10世代/第11世代 34A/408W
- 第12世代:34A/408W 39A/468W (+14.7%)
65W TDP CPU
- 10/11 第3世代 30A/360W
- 第12世代 38.5A/462W (28.3%増)
35W TDP CPU
- 第10世代/第11世代: 16.5A/198W
- 第12世代: 20.5A/246W (+24.2%)
インテル Alder Lake デスクトップ CPU の定格消費電力
CPU TDP セグメント |
35W | 65W | 125W | 165W |
第10/11世代 (連続電流) |
13A | 23A | 26A | 37.5A |
第12世代Alder Lake (連続電流) |
11A | 23A | 26A | 37.5A |
第10/11世代 (ピーク電流) |
16.5A | 30A | 34A | 40A |
第12世代Alder Lake (ピーク電流) |
20.5A | 38.5A | 39A | 45A |
第10/11世代 (ピーク電力) |
198W | 360W | 408W | 480W |
第12世代Alder Lake (ピーク電力) |
246W | 462W | 468W | 540W |
ピーク電力増分 (対第10/11世代) |
24% | 28% | 15% | 13% |
この数字をもとにした電力需要は、インテルの第12世代Alder LakeデスクトップCPUでは50〜100W増加すると報告されています。
これはピーク電流なので、持続時間が10ms以下のブーストクロック負荷(Power Limit 4)ということになります。
既存のCore i9-11900KのPL2(Tier 2)定格は250Wで、Alder Lake CPUの初期のESバージョン(非K)ではすでに228WのPL2定格が確認されていますので、上位のSKUでは250W以上のPL2定格が予想されます。
TDP 165WのCPUセグメントもまったく新しいものです。
第10世代、第11世代では165Wの製品はありませんでしたが、Alder LakeのCPUはコア数が増え、ハイブリッド化されていることから、新たなTDPのカテゴリーを導入する可能性があります。
なお、AMD Zen 4も来年の発売時には170WのTDPを採用すると予想されています。
つまり、消費電力が増加しているのはGPUだけではなく、メインストリームのプロセッサーも同様です(技術的には、コア数が多く、クロックが速く、価格が500ドル以上であるため、メインストリームではありません)。
Zen 4はTSMCの5nmプロセスノードを採用する予定ですが、これはIntelの10nm ESF(Intel 7)よりも進んでいるため、AMDは効率性の面でIntelに対してリードを保つかもしれません。
Alder LakeのCPUの冷却は、安定した動作のためにハイエンドの冷却ソリューションを必要とする現行のComet LakeやRocket Lakeのチップに比べて厳しいものになるかもしれません。
Intel Alder Lakeデスクトップ製品とZ690プラットフォームは、10月27日に発売される予定です。
この製品は、PCIe5.0とDDR5テクノロジー、および新しいハイブリッド・アーキテクチャ・アプローチを採用した初のメインストリーム・コンシューマ・プラットフォームであり、マイクロソフトはWindows 11オペレーティングシステム向けに最適化しています。
解説:
AlderlakeではRocketLakeよりさらに爆熱へ
この限界プッシュはAMDを引き離すまで続くと思われます。
AMDが引き離せるかどうかは微妙なところですから、ずっと続く可能性があるということですね。
AMDもSocketAM5では、TDP170Wまでになるという噂が流れていますので、Zen4からは爆熱になる可能性があるということになります。
私としてはハイブリッドと言うと省電力と言うイメージがあったのですが、余裕があったらすべて性能につぎ込むというセッティングになるようです。
これによってますますCPUクーラーの排熱能力が重要になるのは間違いありません。
ミニPCファンにとってはかなり厳しい話になります。
追記:
Raptor Lake以降、ひたすらEコアを増やしていくのはなぜなのか?
私はこの点においてIntelの意図を測りかねていました。
しかし、ArrowLakeの40コア48スレッドと言う話を聞いて、ひらめくことがありましたので一応書いておきます。
まずPコアとEコア、どちらがトランジスタ当たりの性能(効率)が高いかと言うことです。
一番上の画像によると、1Pコアのダイ面積は4Eコアに等しいことになっています。
つまり、1Pコアは4Eコア以上のマルチスレッド性能があるのかどうかと言う話になってきます。
ベンチマークで測られているわけではないので断言はできませんが、恐らく、この場合、1Pコア<4Eコアとなるのではないでしょうか?
つまり、マルチスレッド性能を高めるには効率の悪いPコアは8コア16スレッドに止め、ダイ面積当たりの効率が良いEコアをひたすら増やしていくというアプローチの方が効率が良いのではないかと思います。
そんなにコア数とスレッド数を増やして何の意味があるのか?と思われるかもしれませんが、今のRyzenも16コア32スレッドを使い切っている人と言うのは少数派ではないでしょうか?
増やすならば、ダイ面積当たりの効率が良いコアを増やしていった方が高いマルチスレッド性能が得られるためと言うことではないかと私は思います。
私は気が付きませんでしたが、これが、big.LITTLEフィロソフィの基本的な理念なのかもしれませんね。
※ もちろんそれをパラノイア的にマルチスレッド性能を上げる方向に実装するということまでは想定されていなかったとしてもです。
そう考えると意味不明だったEコアをひたすら増やすという方針も非常に合理的な考えに基づいた方針と言うことが理解できます。
実際にどうなのかは出てみないとわかりませんが、恐らくはそう言うことなのだと思います。