AMD (NASDAQ:AMD 83.08 -0.87%)は、インテルの7nm分野での壮大なつまずきに続いて、かなりの後押しを受けています。
アナリストからの栄誉と株価の絶え間ない上昇にもかかわらず、同社はノースランド・キャピタル・マーケッツ, 株式調査および投資銀行サービスのプロバイダーから今日、まれな格下げを受けました.
ノースランドのアナリスト、ガス・リチャード氏は本日、AMDを「アウトパフォーム」から「マーケット・パフォーム」に格下げしました。
また、同アナリストはAMDの株価目標を80ドルとしており、現在の市場価格水準84.40ドルに対して5.5%の下降可能性があるとしています。
リチャード氏は、AMDの見通しを引き下げた理由として、いくつかの潜在的なリスクを挙げています。その中には、2020年後半にデータセンター向け半導体需要が減速する可能性があることや、ARMがx86プロセッサ・セグメントに浸透しつつあることなどが含まれている。
しかし、重要なことに、同アナリストは、インテル(NASDAQ:INTC 49.14 -0.28%)が7nmプロセッサの生産でTSMCとの提携に転じる可能性があることも、AMDに関する今日の控えめな見通しの主な要因として挙げている。
なお、Intelは2020年第2四半期決算の一環として、”同社の7nmベースCPUの製品化時期が、事前の予想よりも約半年ずれている “と発表していたことに注意が必要だ。
その後、7月27日のDigiTimesは、Intelが7nmの歩留まりの問題を克服するためにTSMCに転向する可能性を示唆する情報源を引用している。
なお、Intelの7nmノードは、トランジスタ密度と歩留まりの点でTSMCの5nmノードと同等である。この開発が実を結べば、Intelは7nm関連の問題を効果的に回避することができ、それによってAMDが期待する潜在的な利益を回避することができるだろう。
興味深いことに、ノースランド社は現在、より冷静なAMDの見通しについては、やや一匹狼的な見方をしている。
例として、Cowen Inc. (NASDAQ:COWN 17.81 1.54%)は先週、同社の株価目標を100ドルに引き上げ、AMDのLisa Su最高経営責任者(CEO)との会談で明らかになったAMDの「ロードマップの一貫性、実行の信頼性、主要顧客とのより緊密なコラボレーションのメッセージ」を強調した。
Intelが7nmノードの欠点を克服できたとしても、AMDは新製品を投入することで、市場シェアのより大きなセグメントを掠め取ろうとしている。
その一例として、同社は現在、2020年10月までに待望のBig Navi(RDNA 2)GPU(コードネーム:Navi 21)の発売に向けて取り組んでいる。
AMDは、この新しいGPUが、CPU分野でZenアーキテクチャが謳っているのと同じレベルの破壊を4Kゲーム分野にもたらすと考えている。さらに、すでにNavi 31とNavi 41のGPUにも着手している。
解説:
ノースランドのアナリストがAMDの投資判断を引き下げ
サーバー需要の減とIntelが一部TSMCのプロセスを使うという判断を行ったことにより、AMDの評価を下げました。
AMDが今、リードしているように見えるのはひとえにTSMCのプロセスを使っていることに寄ります。
そのため、Intelが同じ武器を手に入れれば、その優位は一瞬でひっくり返されると言うことです。
基本的に同じプロセスが使えるnVidiaとの差は縮まっていないことが何よりの証拠ですね。
Intelのプラットフォームを頻繁に変えるやり方や価格設定にはかなりの批判が集まっていますが、IntelはThunderbolt3をUSB4として無償で提供しており、業界に対して果たしている役割もまた大きな企業であることは忘れてはいけないと思います。
Comet Lake-SからIntelもかなり割安感が出てきました。
また、Rocket Lakeまではソケットが共通になります。
Alder Lakeからはソケットが変わりますが、こちらはDDR5に対応するといわれていますので、仕方ないのかなと思います。
AMDもDDR5に対応する世代からソケットが変わります。
AMDの真価が問われるのは、アーキテクチャー的にあまり情報が公開されていないZen4以降もIntelへのリードを広げていくことが出来るのかと言うことと、Navi3XとNavi4XでGeforceに追いつき、追い越せるのかと言うところでしょう。
特にGPUは毎年、新製品を発売していく予定であり、Navi10でTuringに追いつき、Navi2XでAmpereに引き離されないようにできるかどうかと言うところもかなり評価に影響してくると思います。
RX5700XT(Navi10)は非常に優秀な製品だったのですが、Geforceの陰に隠れて、あまり脚光を浴びていません。
RTXやDLSSと言う新技術を引っ提げて投入されたTuringと比べるとあまりに地味すぎるというのが本当のところだと思います。
しかし、こういう、当たり前の性能が出せていなかったのが今までのRadeonであり、Navi10でようやく正常に戻ったと言ってもよいと思います。
コストを気にするnVidiaに対して、惜しげもなく最新のプロセスを採用するというのがAMDの美点の一つですが、TSMCのプロセスをうまく活用できるかどうかが今後のAMDの評価を決めるでしょう。