AMDのコンピューティング・グラフィックス担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、リック・バーグマン氏は、同社のブログ記事の中で、次世代の「Zen 3」マイクロアーキテクチャを採用した初のクライアント・セグメント・プロセッサが2020年内に発売されることを確認した。
「では、AMDはPC分野で次は何をするのだろうか? あまり多くは語れませんが、最初の「Zen 3」クライアント・プロセッサが今年後半に発売される予定で、高性能の旅は続いていると言えます。」
Bergman氏は、今週火曜日に発売された新しいRyzen 4000GとRyzen PRO 4000Gプロセッサ・シリーズで、コンシューマーおよび商用デスクトップ・セグメントを獲得しようとするAMDの新たな取り組みを詳しく説明したブログ記事の中で、次のように書いています。
多くのことがRyzen 4000GとRyzen PRO 4000Gセグメントの成功に乗っているようだ、それほど、新しいプロセッサは、大量のOEMチャネルに独占的に供給され、Lenovo、HP、およびDellのような企業からのプレビルドを介してのみ利用可能になります。
AMDは最近の記者会見で、OEM部門が小売のDIY部門の約5倍の大きさであることを明らかにし、グラフィックスとCPUコア数が最大8まで統合された4000Gシリーズのチップは、少なくとも最初のうちは、プリビルトに適している。
同社は、これらのチップをDIYの小売チャネルに投入することを意図しているが、暫定的な時期は明らかにしていない。
Ryzen 4000Hと4000Uシリーズのモバイルプロセッサを1H-2020年に発売し、現在は4000Gシリーズのデスクトップチップを発売した同社は、「Back to School」、「Black Friday/Cyber Monday」、「Holiday」などの小売店の次期商戦に食い込むことを期待している。
AMDは以前、「Zen 3」が今年発売されることをRyzen 3000XTのプレスミーティングで明らかにしていたし、今月初めにはCEOのDr. Lisa Suのツイートでも明らかにしていた。
ソース:techpwerup – AMD Higherup Confirms “Zen 3” Client Processor Launch Within 2020
解説:
こちらはRenoirのことになります。
techpowerupに私の推測を裏付ける記事があったので紹介します。
新しいプロセッサは、大量のOEMチャネルに独占的に供給され、Lenovo、HP、およびDellのような企業からのプレビルドを介してのみ利用可能になります。
AMDは最近の記者会見で、OEM部門が小売のDIY部門の約5倍の大きさであることを明らかにし、グラフィックスとCPUコア数が最大8まで統合された4000Gシリーズのチップは、少なくとも最初のうちは、プリビルトに適している。
同社は、これらのチップをDIYの小売チャネルに投入することを意図しているが、暫定的な時期は明らかにしていない。
記事の核心的な部分はここで、
- 発売当初はOEMにのみ独占的に供給される。
- OEMはDIYの約5倍のマーケットサイズ
- DIYのチャネルにも投入するが、時期は未定
と言うわけで、私の推論通りならば、「ノーマルのRyzen4000(CPUのみ)が供給された後に、OEMからの需要を見ながらリテール版を投入する」と読み取れます。
こうすることによって終売間近のRyzen3000シリーズの売れ行きに影響を与えずにOEM向けの新製品を市場に供給することが出来ます。
また、文章からはOEMメーカーからの要求があったのではないかとうかがわせる部分があります。
単に弾不足のIntel製品をカバーするために入れているに過ぎないのかもしれませんが、こういったことは実績が重要だと思います。
リテール品が出るのか出ないのか?と言ったことが話題になっていますが、これもノート用のRenoirで実績を作り、初めてOEMにある程度のボリュームを出荷することになったAMD製品ならではの「初物における混乱」だと思います。
よくも悪くもOEMの売り手側、買い手側両方が我々のように必死に情報を集め、自分の頭で考えて物の良し悪しを判断できる能力を持ってない(そこに労力をつぎ込まない)からです。
OEMチャネルにいるエンドユーザーから見たらAMDは以前としてIntelのパチモノの二番手メーカーと言う意識が大きいと思います。
保守的な層と言うのはそういうものです。
Renoirの成功はIntelの牙城を崩す
Renoirの成功は今までIntel一強独裁だったOEM製品へも食い込み、その牙城を突き崩そうとしています。
OEMチャネルの顧客と言うのは極めて保守的な層が多いので、ここを突き崩すのは並大抵ではありませんが、メーカーのサポート付き製品にAMDの製品が載り、一定の数が出るというのはかなり大きな意味を持ちます。
OEM製品の顧客層はよくも悪くもあまりPCに堪能でもなく、関心もない層が多いので、性能よりも安心感を選ぶ人が多いです。
例えば、Intelで言えば、B460/H470/Z490チップセットの違いを気にする人などいません。
※ おそらく、ほとんどはH410およびB460搭載製品で占められるでしょう。
ある意味「ちゃんと動けば何でもよい」と思っているからです。
PCI Express4.0は確かに素晴らしいですし、3950Xの16コアは目もくらむような性能です。
数の出る世界に必要なのは安定性とコストであり、このようなきらびやかな性能はほとんど必要とされていません。
我々のようなマニアとは全く違った考え方の全く違った世界があると言うことは理解しておいてください。
それだけにOEMメーカーが本気でAMDを売り出すことには大きな意味があると思います。
Renoirには確かに華々しい性能はありません。
私がRenoirこそが「真のIntelキラー」と言った意味が分かるのではないでしょうか?
Ryzen4000シリーズの話題ですので、オマケ程度ですが、触れておきます。
2020年Q4ですので、10-12月までの間に発売されると言うことになります。
クリスマスシーズンに間に合わせるのは11月の中旬くらいには発売される必要があります。
恐らく年内に間に合う初期ロットは争奪戦になるのではないかと思います。
昨年7月7日のRyzen 9 39000X、11月のRyzen 9 3950X発売日の再来のようになるでしょう。
コロナ騒動が一段落していませんので、深夜販売などのイベントはないかもしれませんが、ユーザーからの期待も高く、ショップもかなりの期待感を持っているものと思います。