■事実
AMDのCFO Jean Hu氏が花旗(Citi)2026グローバルTMTカンファレンスで、TSMCのウェハコスト上昇分を顧客に転嫁する方針を明言しました。
粗利拡大が目的ではなく、コスト増加分を顧客と分担する従来からの慣行だと説明。「ウェハ価格が上がればCPU価格も上げる」と明言しました。
AMDは総保有コスト(TCO)や長期的な戦略パートナーシップでの競争力維持を重視する姿勢を示し、顧客の理解を求めています。
値上げは先進プロセス(TSMC N3・N2)を採用する新型プロセッサに集中する見込みで、2027年発売予定の新型Ryzenも対象になる可能性があります。
別報道(DigiTimes)によれば、Intelは今年10月にコンシューマー向けCPU価格を10%程度引き上げる計画。過去1年余りで複数回目の値上げとなります。
Intelは2026年に入ってから複数回の値上げを実施済み(2月・3月・4〜5月・7月など)。10月の引き上げが実現すれば、年間累計の値上げ幅は30%超に達する可能性があります。
Intelのサーバー向けCPU「Xeon 6980P」は既に1個あたり約1,495ドル(約12%)の値上げが実施済みです。
Intelの次期主力デスクトップCPU「Nova Lake」(Core Ultra 400系)は2026年第4四半期に量産開始、2027年第1四半期から28コアモデルを皮切りに順次発売予定と報じられている。AMDは同時期(2027年6〜7月)に追随する見通しです。
表:2026年Intel CPU値上げの推移
| 時期 | 値上げ幅目安 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 2026年2月 | 約10〜15% | 一部コンシューマー向け |
| 2026年3月 | 約15% | 全般的な調整 |
| 2026年4〜5月 | 約8〜10% | サーバー向けCPU中心 |
| 2026年7月 | Core Ultra 7系で約15〜16%、Xeon旗艦で約12% | Core Ultra・Xeon一部モデル |
| 2026年10月(予定) | 約10% | コンシューマー向け全般 |
| 2026年通年累計(見込み) | 30%超 | ― |
※本表はDigiTimes・TrendForce・Yicai等、複数の背景リサーチ情報源を統合したもの。
ソース:
- AMD CFO発言(Citi 2026 Global TMTカンファレンス)、Intel価格改定(DigiTimes/TrendForce報道)
解説
「CPUも値上げ」というニュースだけ見ると単発の出来事に見えるが、実際は2026年を通じてIntel・AMD双方が積み重ねてきた値上げの延長線上の動きです。
直接の引き金はTSMCの先端プロセス(N3/N2)のウェハ価格上昇。AMD CFOが「ウェハ価格が上がればCPU価格を上げる」と明言している通り、コスト転嫁の構造がかなり単純明快になっています。
ここでもメモリ危機(GDDR7/DRAM高騰)と同じ構図が見える。AI需要が先端ノードの生産能力・HBM・パッケージング・基板といった多方面のリソースを吸収し、そのしわ寄せがコンシューマー向け製品に向かっています。
AMD CFO自身も「supply is very tight」「not only wafers, advanced process node, HBM tight, packaging, substrate」と、複数のボトルネックが同時進行していることを認めています。
Intelの値上げは既に「常態化」しつつある。2月・3月・4〜5月・7月と積み重ねており、10月の10%upが実現すれば年間累計30%超という数字は、単発のインフレ対応ではなく構造的な価格転嫁のフェーズに入ったとみるべきだ。
一方で値上げの矛先は選択的。過去の値上げはCore Ultra 7クラスの人気モデルやサーバー向けXeonに集中し、旗艦のCore Ultra 9 285Kやエントリー帯は据え置かれるケースもあった。「売れる製品から取る」という精度の高さは、単なる原価転嫁というより収益最大化の側面も見える。
新世代CPU(Nova Lake、Zen6)の投入時期は2027年に後ろ倒しの傾向。値上げが先に来て新製品が後から来る順序は、消費者にとって「型落ち製品を高く買わされる期間」が長引くことを意味する。
DIY自作erにとっては、GPU・メモリに続いてCPUまで値上げの波が来たことで、パーツ単体でのコスト管理がほぼ機能しなくなりつつある。「型落ちを待てば安くなる」という自作の基本戦略そのものが崩れかけている。
値上げの通知が来るたびに「またか」と思うようになったら、それはもう驚くべきニュースではなく天気予報の域
買い時を待つ時代から、買える時に買う時代への転換点かもしれない