■事実
NVIDIAがGamescom 2026にて「DLSS 4.5 Ray Reconstruction(レイ再構成)」を正式リリースし、NVIDIA App経由で即日提供開始しました。
新モデルは「第2世代トランスフォーマーモデル」を採用し、旧モデル比で処理能力が35%向上、パラメータ数は20%増加です。
性能コストは旧モデルとほぼ同等を維持したまま上記の強化を実現したとNVIDIAは説明しています。
レイ再構成はデノイズ(ノイズ除去)とDLSS Super Resolution(超解像)を単一モデルに統合する技術で、レイトレーシング/パストレーシング時に間引かれたピクセルをAIで補完する仕組みです。
対応GPUはRTX2000シリーズ・RTX3000シリーズ・RTX4000シリーズ・RTX5000シリーズの全GeForce RTXシリーズです。
発表時点でNVIDIA Appの「DLSS Override」機能経由で30タイトルが対応しています。(Cyberpunk 2077、DOOM: The Dark Ages、Resident Evil Requiem、Alan Wake 2、Marvel’s Spider-Man 2など)
新規対応タイトルとして「007 First Light」が9月15日にパストレーシング&DLSS 4.5対応、「Control Resonant」が9月24日発売時から対応することを発表しました。
GeForce RTX5000シリーズ購入者向けにControl Resonantを無料バンドルする施策も同時発表しています。
レイ再構成技術はNVIDIAのMODツール「RTX Remix」にも統合され、「Painkiller RTX」デモや「Quake III」向けMODで先行体験可能になっています。
レイ再構成自体は2023年にDLSS 3.5で初導入された技術で、今回のアップデートで基盤アーキテクチャが「第1世代トランスフォーマー」から「第2世代」に刷新されました。(DLSS Super Resolution側は今年公開のDLSS 4.5時点で既に第2世代化済みだったが、レイ再構成側は今回まで第1世代のまま据え置かれていた)
開発者向けには時間方向のデータ蓄積(temporal accumulation)をより細かく調整できる制御機能も追加されています。
比較表
| 項目 | DLSS 4 レイ再構成(旧・第1世代) | DLSS 4.5 レイ再構成(新・第2世代) |
|---|---|---|
| トランスフォーマー世代 | 第1世代 | 第2世代 |
| 演算能力 | 基準 | 約35%向上 |
| 処理パラメータ数 | 基準 | 約20%増加 |
| 実行時パフォーマンスコスト | 基準 | ほぼ同等を維持 |
| 対応GPU | RTX2000〜5000シリーズ | RTX2000〜5000シリーズ(変更なし) |
| 初回導入 | DLSS 4(2025年) | DLSS 4.5(2026年8月) |
(出典:NVIDIA公式発表)
ソース
- NVIDIA公式(Gamescom 2026 DLSS 4.5発表): https://www.nvidia.com/en-us/geforce/news/gamescom-2026-nvidia-geforce-rtx-dlss-4-5-announcements/
解説
NVIDIAが「多角視点」で見た今回のニュースの位置づけ:レイ再構成だけが「第1世代トランスフォーマー」のまま取り残されていたのは、今年頭のDLSS 4.5発表(超解像・フレーム生成が先に第2世代化)の”積み残し”だった。今回でようやく全パーツが第2世代に揃った形です。
自社データセンター(Blackwell世代GPU)で継続的に再学習させ、失敗パターン(動体・幾何形状・照明・オクルージョン外れ等)を潰し込むという開発サイクル自体が、ハードウェア→データ収集→モデル改善→ソフトウェア差別化という循環を作っている。これはCUDAロックインと同型の「学習データとエコシステムが競合の追随を許さない」構造であり、AMDのFSRやIntelのXeSSがスペック上は追いつけても、この学習基盤の差はスペック表には出てきません。
G-bufferの基本セット(アルベド・法線・ラフネス・深度・モーションベクトル・ノイズ入り輝度)さえ用意すれば数日で一次実装が可能という設計思想は、対応タイトル数を増やす上での重要な布石。追加要素はオプション扱いにすることで、予算の小さいスタジオでも参入しやすくしている。
海外メディアの実機検証では「Resident Evil Requiem」「Crimson Desert」「PRAGMATA」などで従来目立っていたフリッカーやゴースト(残像)が明確に解消されたと報告されている一方、「Cyberpunk 2077」の一部シーン(金網の反射など)ではむしろ従来より目立つアーティファクトが新規に発生した例も報告されている。「静止画で比較すれば差は歴然だが、動きの激しい戦闘中に劇的な体感差があるかは別問題」という冷静な評価も目立つ。
RTX2000/3000シリーズなど古い世代のTensorコアを積むGPUでは、RTX4000/5000シリーズに比べてパフォーマンスへの影響がより大きく出る可能性がある点は、公式発表では強調されていない。「全GeForce RTX対応」という謳い文句だけを見て体感差まで均一だと期待すると肩透かしを食う。
「第2世代」という響きだけ聞くとロマンを感じるが、中身は「デノイザーがより空気を読めるようになった」程度の地味な進化。派手さで言えばフレーム生成の6倍増殖の方が景気は良い。
個人的な見立て:今回発表で目立つのはむしろ「DLSS 5への言及が一切ない」点。次の大台への布石が見えない中で、既存スタックの隅々まで作り込むフェーズに入ったとも読める。これは技術的な行き詰まりというより、CUDAと同様に「今あるものを丁寧に磨き込むだけで競合が追いつけない」という余裕の表れとも取れる。
派手な新機能よりも、積み残しを丁寧に埋めてくる姿勢の方が、結局は競合との差を広げる。