■事実
リーク元は著名ハードウェアリーカー「LC Tech Leaks」(X上のアカウント名@laurentschoice)、2026年8月19日にCPU-Zのスクリーンショットを投稿しました。
対象チップはIntel次世代デスクトップ向けNova Lake-Sのエンジニアリングサンプルで、型番表記は「Core Ultra 9 4950K」です。
現行のCore Ultraブランド(2023年のMeteor Lakeから採用)は3桁の型番(例:Core Ultra 9 285K)を使用しており、4950Kは4桁への回帰を示唆しています。
コア構成は28コア(Pコア8基+Eコア16基+低電力Eコア4基)、リーク元は「8P&20E」と表記しています。
CPU-Zベンチマークのスコアはシングルスレッド約1,000点、マルチスレッド約20,000点です。
テストプラットフォームはZ990チップセット、新ソケットLGA1954となります。
CPU-Zの表示上はIntel 18Aプロセスと出ているが、これはCPU-Zのデータベースが未更新のため現行Panther Lake(18A)の情報を流用している可能性が高く、実際のプロセスは確定していません。
別のリーカー「Gotou_3rd」は型番「4950K」自体は確定していないとしつつ、4桁化の方向性自体は正しいとコメントしています。
「Golden Pig Upgrade」(金猪升级包)は、ノートPC向けにも「Core Ultra 4000HX」のような4桁命名が使われると補足しています。
VideoCardzの記事によれば、著名リーカーJaykihnによる repost もあり、複数の独立したリーカーが4桁化の情報を後追いで確認している状態です。
VideoCardzは32スレッド以下のCPU-Zデータベースで比較を実施:Ryzen 9 9950X3D2が17,294点、Ryzen 9 9950X3Dが17,005点、Ryzen 9 9950Xが16,935点で、リーク通りなら4950Kはこれらを上回ります。
快科技の記事では比較対象としてCore Ultra 9 285K(シングル890点・マルチ18,428点)を提示しています。
この28コア構成はNova Lake-Sのフラッグシップではなく、Pコア16基+Eコア32基+低電力Eコア4基で計52コアとなるデュアルタイル版が上位に控えていると複数のリークで報じられています。
別途、同じ28コア構成(8P+16E+4LPE、bLLC搭載モデル)についてPL1が公称125Wに対し296Wに達するとの情報もあります。(Weibo「金猪升级包」経由、WCCFtech報道)
LGA1954は新設計のソケットで、現行のLGA1851(Arrow Lake向け)を置き換える。対応チップセットはB960・Z970・Z990・Q970・W980の900シリーズです。
Nova Lake-Sの正式発売時期は2027年第1四半期(CES 2027前後)との観測が複数の情報源で一致しています。
対するAMDの次世代デスクトップ「Zen 6(Olympic Ridge)」も、当初見込まれていた2026年発売から2027年へ延期との報道が続いています。(AM5ソケット継続、最大24コア)
比較表(CPU-Zスコア、32スレッド以下データベース基準)
| CPU | シングルスレッド | マルチスレッド | 備考 |
|---|---|---|---|
| Core Ultra 9 4950K(リーク値) | 約1,000点 | 約20,000点 | エンジニアリングサンプル、未確定 |
| Core Ultra 9 285K(現行Intel機) | 890点 | 18,428点 | Arrow Lake、快科技記載値 |
| Ryzen 9 9950X3D2 | ― | 17,294点 | VideoCardz記載値 |
| Ryzen 9 9950X3D | ― | 17,005点 | VideoCardz記載値 |
| Ryzen 9 9950X | ― | 16,935点 | VideoCardz記載値 |
※各メディアが引用するIntel Core Ultra 9 285Kのスコアには890/18,428点(快科技)と890/18,400点(WCCFtech)など微差があり、掲載元により若干のブレがある旨を注記推奨。
プラットフォーム比較表
| 項目 | Nova Lake-S(新) | Arrow Lake(現行) |
|---|---|---|
| ソケット | LGA1954 | LGA1851 |
| 対応チップセット | B960/Z970/Z990/Q970/W980 | Z890等 |
| 最大メモリ容量 | 256GB | ― |
| 発売時期(見込み) | 2027年Q1(CES前後) | 2024年発売済み |
解説
① まず今回のリーク自体への距離の取り方
Intelの型番はここ数世代で「5桁(14900K)→3桁(285K)→4桁(4950K?)」と、3世代連続でルールが変わりつつある。ユーザーが覚えるより先にIntelの命名担当が忘れていそうな勢いだ。
「4950K」という具体的な型番はまだ内部的な仮称の可能性が高く、CPU-Z側の検出ミスや暫定表記である可能性も複数の海外メディアが指摘している。数字の並びに一喜一憂する前に、まずここは割り引いて見ておきたい。
CPU-Zスコアだけを見れば現行最速のAMD機を上回るが、これはあくまでエンジニアリングサンプル・早期シリコンの数値。クロック・消費電力・冷却条件が確定していない段階のスコアを最終製品の性能として受け取るのは早計だ。
② そのスコアの裏にある電力の懸念
実際、同じ28コア構成についてPL1が公称125Wの2.4倍近い296Wという報告も同時に出ており、「速いが電気を大量に食う」というIntelの近年のパターンが早くも見え隠れしている。
ここから先は筆者の見方になるが、この「速いが電力・発熱面に無理がある」という傾向こそが、Intelが近年繰り返してきた問題の核心だと考えている。
③ 筆者の見方:性能と安定性のトレードオフというIntelのパターン
intelは近年、性能で圧倒したときは安定性が、安定性が高い製品では性能が振るわなかった。
そうして徐々にブランドを毀損していったわけだが、性能の高いとされるNova Lake-Sでその信用を取り戻すことが出来るかどうかがカギになるだろう。
性能の高いIntel製品といえばRaptor Lake/Refreshをすぐに思い出す方もいるだろう。
排熱の問題で1年程度経ってから次々に壊れるという不具合に苦い思い出がある方もいるだろう。
長い伝統を持つIntelはかつての高い信頼というブランドを取り戻すことが出来るか?
どんなに性能が高くてもまともに動かなくては意味がない。様子見という方も多いかもしれない。
PL1が296Wという今回の数字を見ると、この構図がまた繰り返されるのではという既視感を覚える。CPU-Zのベンチマークで話題になるたびに、性能の高さよりもむしろ「今度は大丈夫なのか」という点の方が気になってしまう。
④ プラットフォーム戦略という、もう一つの視点
Nova Lake-SはLGA1851からLGA1954へまたソケットを変更する。一方でAMDはOlympic Ridge(Zen 6)でもAM5ソケットを維持し続ける方針とされている。
AMDの長期ソケット戦略がIntel側に多世代対応を意識させている構図は今回も変わらず、Intelは「反応する側」であり続けている。性能面での挽回を急ぐあまり、ユーザー側の乗り換えコストへの配慮が後回しになっていないか、という点も気になるところ。
⑤ 業界全体のタイミングという背景
Nova Lake-SとAMD Zen 6(Olympic Ridge)がともに2027年へずれ込んでいる状況は偶然ではなく、DDR5メモリ価格高騰(いわゆる「RAMageddon」)が両社にとって新プラットフォーム投入のタイミングを難しくしている可能性がある。高性能CPUを出しても、組み合わせるメモリが高騰していては新規PC需要を刺激しにくい。
Haswell世代のCore i7-4790Kなど、4桁命名自体はIntelにとって目新しいものではない。ブランド名は変わっても数字の付け方は結局過去のパターンに収束するというのは示唆的で、半導体業界は意外と一回りして同じ場所に戻ってくるものだと感じる。
⑥ 締め
型番が4桁に戻っても、電気代とソケット買い替えの桁は変わらず。そして何より「壊れない」という一番地味な性能が、今回ばかりは一番気になる。
名前より先に、冷却と電源ユニットと、そして信頼の心配をした方がよさそうな一枚だ。