■事実
Valveが公開した2026年7月分のSteam Hardware & Software Survey(月次調査)で、VRAM容量16GBのGPUが初めて8GB GPUのシェアを上回りました。
16GB VRAM GPUのシェアは25.90%、8GB VRAM GPUは25.32%で、その差はわずか0.58ポイントです。
前月(2026年6月)時点では16GBが24.50%だったため、1ヶ月で+1.40ポイントの上昇です。
8GBは6月時点で約25.64%とみられ、7月にかけて-0.32ポイント下落(25.32%へ)しました。
同時にCPUコア数でも8コアが27.85%となり、6コアの27.52%を初めて上回りました。(前月比それぞれ+0.38 / -0.12ポイント)
この集計はWindows・macOS・Linuxを含むSteam全体の「デフォルト統合ビュー」に基づく数値です。
Windows単体データでは傾向が異なり、6コアCPUが依然28.43%で優勢、VRAMも8GBが最多(33.20%)のままでする
個別GPUランキングでは、GeForce RTX3060(12GB版、3.71〜3.88%)が引き続き首位、モバイル版RTX4060(8GB、3.44〜3.64%)が2位、RTX5070が3.40%で続伸中です。
16GB専用モデルではGeForce RTX5070Tiが1.78%で最多、Radeon RX9070XTが1.40%でする(2026年5月にサーベイ初登場後の伸び)
Steam調査はユーザーの任意参加(オプトイン)による集計であり、Steamプラットフォーム全体を網羅した完全な統計ではありません。
複数メディアは、AMD製GPUのSteam側での検出精度が近年改善し、Radeon RX9070XT/RX9060XTなど16GB搭載モデルがより正確にカウントされるようになった点も、16GB躍進の一因として指摘されています。
背景として2026年はDRAM/GDDRメモリ価格が高騰しており、GPUメーカー各社がVRAM構成やモデルラインナップを見直す動きが続いています。
4GB VRAMのRadeon RX9050のような低容量モデルも2026年に新規投入されており、低価格帯では依然として少VRAM構成の新製品が存在します。
表(個別GPUモデルの参考ランキング)
| 順位 | モデル | VRAM | Steamシェア |
|---|---|---|---|
| 1 | GeForce RTX3060(デスクトップ) | 12GB | 3.71〜3.88% |
| 2 | GeForce RTX4060(モバイル) | 8GB | 3.44〜3.64% |
| 3 | GeForce RTX5070 | 12GB | 3.40% |
| — | GeForce RTX5070Ti(16GB専用モデルの最多) | 16GB | 1.78% |
| — | Radeon RX9070XT | 16GB | 1.40% |
※ 調査時期による誤差あり。
ソース:Valve公式Steam Hardware & Software Survey(各種メディアが同一データを報道)
- https://www.tomshardware.com/pc-components/16gb-gpus-and-8-core-cpus-officially-become-the-most-popular-configs-on-steam-latest-hardware-survey-shows-modern-gamings-growing-hunger-for-more-resources
解説
「16GBがようやく主流に」と聞くと大きな転換点に見えるが、実際の差はわずか0.58ポイントで、統計的な誤差の範囲という指摘も出ている。
とはいえ16GBは前月から6ヶ月連続で右肩上がりのシェア拡大を続けており、一時的なブレというより明確なトレンドと見るのが妥当だ。
要するに「レイトレーシング・高解像度・大容量テクスチャを前提にしたゲームが増え、8GBでは画質を下げないと快適に遊べない場面が増えてきた」ということ。
個人的には、これはユーザーの意識が急に変わったというより、新製品ラインナップ側が16GB以上に寄ってきた結果を単に反映しているだけ、という側面が大きいと見ています。
実際、首位モデルの顔ぶれを見ると2〜3世代前のRTX3060やモバイル版RTX4060がまだ上位を占めており、大半のユーザーが「最新の16GBカードに買い替えた」わけではなく、既存の低VRAM機を使い続けているだけとも言える。
Windows単体データでは8GBがまだ最多という事実は重要で、Mac/LinuxやSteam Deckなどを含めた統合ビューが実態をやや先取りしている可能性がある。
背景にあるDRAM/GDDR価格高騰との関係も無視できない。以前取り上げたGIGABYTEのGPU値上げ(最大40%)のように、メモリコストの上昇でメーカー側が低VRAMモデルを値上げ・整理する動きが進めば、消費者は「高VRAM機を選びたくて選んでいる」のではなく、単に選択肢自体が狭まっている可能性もある。
4GBのRX9050のような製品が今も新規投入されている点は、「低価格帯を切り捨てられない事情」の表れであり、業界全体が一方向に進んでいるわけではないことを示している。
「16GBが主流になりました」と言われても、実際には半数以上のユーザーがいまだに12GB以下という、なんとも歯切れの悪い”多数派交代劇”だ。
「8GBはもう卒業」というより、「時代についていけない子から順番に置いていかれている」という表現のほうが実態に近いかもしれない。