自作PCユーザーがゲーム用PCの解説をします

自作ユーザーが解説するゲーミングPCガイド

偽物DDR5メモリが流通中──プラスチック製DRAMが混入、見分け方も報告

投稿日:

■事実

背景:DDR5価格急騰の構造

AIデータセンターがHBM(高帯域幅メモリ)を大量消費する影響で、Samsung・SK Hynix・MicronがHBM生産にウェハ容量を優先配分。消費者向けDDR5の供給が減少しています。

DDR5-6000 32GBキットが2025年10月時点で約115ドルだったものが、2026年5月現在では490ドル前後まで高騰しています。(約4.3倍)

TrendForceの予測では2026年Q1のDRAM契約価格は前年比95%増。2026年Q2に価格ピークを迎えるとの見方が有力です。

DDR4も連動して高騰。2025年10月に60〜90ドル程度だった32GBキットが、2026年1月には150〜180ドルに上昇しています。

今回の偽物事例

Xユーザー(@taki_pc_1115)がSamsungブランド表示の16GB DDR5 SO-DIMMの偽物を報告。チップを物理的に取り外して切断して確認しています。

実際に搭載されていた「DRAMチップ」はプラスチック製の板(基板形状のダミー部品)。本物のDRAMは存在しません。

ラベルは”Samsung”なのに搭載チップはSK Hynix製という表示の不一致も確認されています。

外見的な識別ポイント(@haru_friskの投稿):①各エッジが丸い ②PMICの形状が正規品と異なる ③基板の色が薄くなっています。

Yahoo Japanオークションでも同様の偽物が12,845円(約85ドル)で出品されていた例がある。出品文には「ジャンク品・動作未確認」と記載、返品不可と明示されています。

流通の広がり

アジア市場のオンライン・実店舗の複数ルートに偽物が流通しています。

一部にはPMIC(電源管理IC)が誤配置・不正規なモデルも報告されています。

デスクトップ向けUDIMMはヒートスプレッダで内部のDRAMチップが隠れる設計のため、外観からの検出がSO-DIMMより困難です。

過去の前例

同様の手口で偽造GPUや偽Ryzen CPUが過去にも問題になっています。

分解したGPUのPCBを再組立して動作品として販売するケース、GPU本体とその他部品をAI企業向けに分離販売するケース等が確認済みです。

CorsairはこうしたDDR5偽物問題への対策として、2026年初頭にVengeanceシリーズの外箱をプラスチッククラムシェル+改ざん防止ラベル付きの仕様に変更しています。

解説

なぜ今なのか

DDR5価格が半年で4倍超に高騰したことで、偽造の「採算」が成立するようになった。転売利益が増えれば詐欺リスクも比例して上がる。

メモリはGPUやCPUに比べて一般ユーザーの関心が低く、購入時の外観チェックを省略しやすい。偽造ターゲットとして「狙いやすい部品」に浮上した。

なぜ見抜きにくいか

SO-DIMMはPCBが小さくチップが密集しているため、プラスチック製ダミーでも「一見それらしく見える」状態が作りやすい。

デスクトップ向けDIMMはヒートスプレッダで内部が隠れており、BIOSがエラーを返すまで気づかない。

「動作未確認ジャンク」という出品名目を使えば、出品者は責任を回避しながら詐欺的な商品を流通させることができる。法的グレーゾーンを巧みに利用している。

Corsairが動いた意味

Corsairが包装を変更した事実は、メーカー自身がこの問題を正規流通への脅威と認識していることの証左です。

ただし、包装変更は「正規品の真贋確認手段を増やす」施策であり、オークション・フリマ等の二次流通で出回る偽物への直接的な抑止力には限界がある。

具体的な自衛策

Yahoo Japan・メルカリ・AliExpressなどの個人間取引・グレーマーケットでの購入には特段の注意が必要だ。

外観チェックのポイント:①PCBエッジが丸みを帯びていないか ②PMICの形状が標準的か ③基板色が正規品と一致しているか(薄い場合は要注意) ④ラベルのメーカーと搭載チップのメーカーが一致しているか。

購入後もCPU-ZやHWiNFO等のツールで、認識された容量・型番・チップメーカーを必ず確認すること。

正規代理店・大手量販店での購入が最も安全。「動作未確認」品には相応のリスクが伴うと理解したうえで判断すること。

問題の構造

メモリ価格高騰が続く限り偽物流通も増え続ける。個別企業の対策には限界がある。

根本原因はAI向けHBMへの生産シフトであり、この傾向は少なくとも2026年後半、場合によっては2027〜2028年まで継続するとアナリストは予測している。

「中身がプラスチック」は潔さすら感じる。詐欺師も開き直りの新境地に達したのかもしれない。

「安い=お得」という発想が通用しない市場になった。今の相場では「安すぎるものは疑う」が正しい消費行動だ。

 

このような偽物が出てくると「世も末だな」と感じる。