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AMD Zen 6「Medusa Point」APUがGeekbenchに再リーク——2GHzで5GHzのZen 5と同等マルチ性能

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■事実

AMDの次世代モバイルAPU「Medusa Point」が、Geekbenchデータベースに再び姿を現した(https://x.com/BenchLeaks/status/2034091965185143137)。

今回のリークはハードウェアスカウティングボット「BenchLeaks」によって発見されたもので、数日前に初めて確認されたエントリと同じプラットフォームで動作しているが、スコアは前回から倍増している。

チップは「Plum-MDS1」プラットフォーム上で動作しており、これはFP10 BGAソケットを採用する評価基板で、28〜45W帯の次世代AMDモバイルSoCを対象に設計されたものだ。

GeekbenchのエントリはRyzen 9クラスとして登録されており、「Zen 6」アーキテクチャをベースにした10コア20スレッド構成となっている(https://browser.geekbench.com/v6/cpu/17130734)。

コアレイアウトは4+6の非対称ハイブリッド設計で、クラシックZen 6コアと効率最適化のZen 6c(高密度コア)を組み合わせたものとみられている。

ただし、Geekbenchが報告する2クラスター表記はソフトウェア側の制限によるものとされており、実際のレイアウトはクラシック4コア+Zen 6c 4コア+低消費電力LP 2コアという3層構成の可能性が指摘されている。

定格ベースクロックは2.40GHzと表記されているが、ベンチマーク実行中の実際の動作クロックは2.0〜2.1GHzにとどまっていた。

キャッシュ構成はL3が32MB、L2が10MBであることが確認されている。

現行Strix Point(Zen 5)のRyzen AI 9 365はL3キャッシュが24MB、Hawk Point(Zen 4)世代は16MBであり、Medusa Pointはすでにキャッシュ容量で世代を超えた優位を持つ。

Geekbench 6スコア比較

チップ アーキテクチャ 動作クロック シングル マルチ
Medusa Point(エンジニアリングサンプル) Zen 6 約2.0〜2.1GHz 2,300 13,002
Ryzen AI 9 365(Strix Point) Zen 5 ブースト最大5GHz 平均2,480 平均12,445

シングルコアテストでは現行のRyzen AI 9 365が約8%速い結果となった。

一方、マルチコアテストではZen 6サンプルがZen 5を約4.4%上回っており、マルチスレッド性能ではすでに逆転している。

この比較で最も注目すべきは動作クロックの差で、Zen 5がブースト5GHzで動作しているのに対し、Zen 6サンプルは2GHz前後という半分以下の周波数で動いている。

これはエンジニアリングサンプル特有の制約であり、最終製品ではZen 5同等以上のブーストクロックが実現される見込みだ。

今回のリークでは、GeekbenchがZen 6アーキテクチャに対してFP16「AVX-VNNI」サポートを初めて報告したことも確認された。

GCCコンパイラへのパッチ(znver6ターゲット追加)でも、Zen 6はAVX512_FP16、AVX_VNNI_INT8、AVX512_BMM、AVX_NE_CONVERT、AVX_IFMAといった命令セット拡張を持つことが以前から確認されている。

FP16(半精度浮動小数点)はAI推論や機械学習ワークロードで広く使われるデータ型であり、コンシューマー向けx86 CPUへのネイティブ対応はローカルAI処理の大幅な高速化に直結する。

AVX512_BMMはビット行列演算を加速する命令で、ローカルAIモデルのデプロイに特に有効とされる。

Zen 5まではこれらの命令セットはIntelのXeon系サーバー・ワークステーション向けCPUに限定されており、AMDのコンシューマー製品でのネイティブ対応はZen 6が初となる。

Zen 6の内部設計については、AMDが公開した公式ドキュメントにより、整数スケジューラーをZen 5の中央集権型1基から6基の分散型に変更することが確認されており、クロック効率と電力効率の同時向上を狙った再設計とみられている。

製造プロセスについては、デスクトップ向けZen 6(Olympic Ridge)のCCDがTSMC N2Pプロセスを採用するのに対し、モバイル向けのMedusa Pointは一部モデルがN3P/N3Cノードを採用する見通しとなっている。

Medusa Pointの直前には、Strix Pointのリフレッシュ版となる「Gorgon Point」(Ryzen AI 400シリーズ)が位置しており、AMDはZen 5世代のモバイル製品を継続販売しながらZen 6への移行を段階的に進める方針とみられる。

Medusa Pointの製品ラインナップは、Ryzen 5/7向けモノリシック10コアモデル(4C+4C+2LP)から、Ryzen 9向けの追加12コアCCDを搭載した最大22コアのMCM設計まで幅広い構成が用意される見込みだ。

新しいFP10 BGAソケットはFP8より約6%大きく、現行のStrix Haloが使用するFP11よりは小型とされる。

TDP帯については高TDP(45W)モデルと低TDP(28W)モデルの2クラス展開が出荷マニフェストから確認されており、薄型軽量ノートからゲーミングノートまでをカバーする。

Medusa Pointファミリーの上位に位置する「Medusa Halo」については、Zen 6コアとRDNA 5ベースの統合GPUを搭載しLPDDR6メモリコントローラーを採用するとリークされており、こちらも2027年のリリースが見込まれている。

Medusa Haloの上位モデルでは最大24コア構成と48基のRDNA 5 CU(コンピュートユニット)が想定されており、統合GPUとしては現行世代を大きく超える性能が期待されている。

現時点でAMDはMedusa Pointの仕様を公式に明らかにしておらず、詳細はCES 2027での発表が見込まれている。

解説

正直、この結果は相当インパクトがあります。

2GHzで動くZen 6のエンジニアリングサンプルが、ブースト5GHzで走るZen 5と同等以上のマルチコア性能を出した——言い換えれば、クロックを同じ条件に揃えれば、Zen 6はZen 5の2倍超のスループットを持つことになります。

エンジニアリングサンプルという注釈はもちろん必要です。

最終製品に向けてファームウェアや電力設定が大きく変わる可能性は十分ありますし、Ryzen AI 9 365の最良スコアと比べれば話はまた変わってきます。

ただ、それを差し引いても「アーキテクチャとしての効率性」という観点では非常に説得力のある数字であることは間違いありません。

Zen世代ごとのIPC向上幅はZen 4→5で10〜15%程度が相場でしたが、今回のリークが示す数字はその範疇を大きく超えています。

整数スケジューラーを1基から6基の分散型に再設計、FP16ネイティブ対応の追加、L3キャッシュの大幅増量(Zen 5の24MBから32MBへ)——これらの変更が掛け算で効いてくれば、2GHzでZen 5の5GHzに肩を並べる数字も納得できます。

FP16サポートについては、特にAI開発者コミュニティで注目度が高いポイントです。

ローカルLLMやオンデバイスAI推論で多用されるFP16演算が、コンシューマー向けx86 CPUでネイティブ対応されるのはZen 6が初となります。

「NPUに任せれば済む話では?」という声もあるかもしれませんが、CPUのFP16対応はデバッグ環境の整備や開発者ワークフローへの貢献が大きく、単なるスペック競争の話にとどまりません。

特に実験的なAI開発や小規模モデルの検証においては、GPU不要で再現性の高いCPUベースの検証環境が求められるケースは少なくありません。

IntelのXeon系プロセッサーでしか使えなかった命令が、AMDのコンシューマーノートPCで動作する——これはAI開発者にとってかなり意味のある変化です。

2027年という発売時期を考えると、Medusa PointはIntelのNova Lakeと直接ぶつかるタイミングになります。

IntelはArrow Lake世代でゲーマーや開発者から厳しい評価を受け、またその前の13世代・14世代の信頼性問題もあって、Nova Lakeでの全力巻き返しを狙っている状況です。

ただ、Medusa Pointが現時点でこれだけの片鱗を見せている以上、2027年のモバイル市場はAMDにとって久しぶりに強い追い風になりうるポジションだと思います。

気になるのは、Ryzen 5/7向けの10コアモノリシックモデルがRDNA 3.5+の統合GPUを搭載するという点です。

Strix PointのRDNA 3.5(最大16CU)と比べて8CUという構成は一見退化のように見えますが、これはMedusa HaloなどRDNA 5搭載の上位APUとの棲み分けを意識した意図的な設計とみられます。

FSR4がRDNA 4限定という残念な事例もあっただけに、Medusa Pointの統合GPUがどの世代のアップスケール技術に対応するかは引き続き注視しています。

現実的には、Medusa Pointを購入する多くのユーザーはCPU性能目的であり、本格的なゲームはMedusa Haloかディスクリートグラフィックスに任せるという分業が想定されているのでしょう。

2GHzで5GHzに勝つ片鱗を見せた——それだけで、Zen 6への期待値は十分に高まりました。

 

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