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NVIDIAがAIB GPU市場の94%を掌握——DRAM不足と価格高騰がゲーマー市場を直撃

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■事実

市場調査会社Jon Peddie Research(JPR)は、2025年第4四半期(Q4)のAIB(グラフィックカード)GPU市場レポートを公開した(https://www.jonpeddie.com/news/q425-pc-graphics-aib-shipments-decreased-4-4-from-last-quarter-to-11-million-units-with-a-cagr-to-2029-of-5-9/)。

レポートによると、Q4 2025のAIB出荷台数は前四半期比4.4%減の1,148万台となり、例年は年末商戦の恩恵で出荷が増加するはずのQ4にもかかわらず、10年間のQ4平均を大幅に下回る結果となった。

一方で前年同期比では36%増となっており、2024年から2025年にかけての大きな市場拡大は数字の上では確認できる。

メーカー別シェアはNVIDIAが94%、AMDが5%、Intelが1%となった。

前四半期(Q3 2025)との比較では、NVIDIAが1.6ポイント増、AMDが1.6ポイント減、Intelは横ばいだった。

前年同期(Q4 2024)との比較では、NVIDIAが約10ポイント増(84%→94%)、AMDが約10ポイント減(17%→5%)という大幅なシェア移動が起きている。

2025年を通じたAMDのシェア急落は特に顕著で、2025年Q1にRTX 5000シリーズ(Blackwell世代)が本格出荷された時点でNVIDIAが一気に8.5ポイントのシェアを奪い、AMDは17%から8%へ転落した。

その後Q2では94%対5%まで差が拡大し、Q3でNVIDIAが92%に小幅後退したものの、Q4には再び94%へ戻している。

以下のグラフはQ4 2024からQ4 2025にかけてのAIB市場シェア推移を示す。

デスクトップPCへのAIB搭載率(アタッチレート)は55%となり、前四半期から12.3ポイントという大幅な低下を記録した。

デスクトップPC CPU出荷台数は2,100万台で、前四半期比9.0%増、前年比0.7%減だった。

JPRのジョン・ペディ博士はレポートの中で「AIB市場はゲーマーに支えられているが、下からはノートPCとCPU統合グラフィックスに、上からは供給と需要の競争・メモリ価格の上昇・トランプ政権の関税によって挟み撃ちにされている。こうした不安定な状況が続けば、PCおよびAIB市場は2026年に約10%下落すると見ている」と述べた。

JPRの予測によれば、2024年から2028年にかけてのAIB市場のCAGR(年平均成長率)はマイナス5.9%となり、2028年末時点のインストールベースは1億7,200万台に達する見込みだ。

また、今後5年間でデスクトップPCへのAIB搭載率は103%になると予測している(ここでいう100%超は、1台のPCが生涯に複数回GPU交換を行うため)。

今回のAIB市場縮小の主因として、JPRはDRAM価格の高騰と米国の関税政策を明確に挙げている。

2025年末まではAIBパートナー各社のメモリ調達価格が固定契約で守られていたが、2026年にその契約が順次終了し、AMDは2026年1月から、NVIDIAは2月から価格を引き上げ始めた。

GPUのコスト構成において、GPUダイとVRAM(グラフィックメモリ)が占める割合は約80%にのぼるため、GDDR6やGDDR7の価格上昇はそのまま製品価格に転嫁される。

メモリ価格高騰の根本的な原因は、AI・データセンター向けHBM(高帯域幅メモリ)の需要急拡大だ。

Samsung、SK hynix、Micronの三大メモリメーカーが生産能力を、利益率の低いコンシューマー向けDDR5やGDDRから、利益率の高いHBMへと振り向けており、コンシューマー向けメモリ全般の供給が逼迫している。

IDCの分析によれば、AIサーバーや大規模クラウドを運営するメガテック企業(ハイパースケーラー)は1台あたりのメモリ搭載量がコンシューマー機器とは桁違いに多く、AI投資の拡大がメモリ供給を不均衡に圧迫していると指摘している。

MicronはDRAM不足が2028年以前には解消しないとの見通しを示しており、IDCも2026年のDRAM供給増加率が歴史的平均を下回ると予測している。

AMDのシェア急落にはメモリ・価格問題に加え、独自の要因も重なった。

AMDは2025年10月に旧世代のRadeon RX 5000・RX 6000シリーズを「メンテナンスモード」(新規ゲーム最適化なし、重大バグ修正のみ)に移行する方針を表明し、ユーザーの強い反発を招いた。

RX 6000シリーズは発売から4年未満であり、Steam DeckやROG Xbox AllyにもRDNA 2アーキテクチャが採用されていることから、コミュニティの怒りは特に大きかった。

AMDはその後、ゲームサポートの継続を約束して方針を軟化させたが、ブランドへの信頼低下は避けられなかった。

CES 2025・CES 2026の両キーノートでAMDはコンシューマー向けGPUをほぼ取り上げず、データセンターAI・Heliosラックスケールプラットフォーム・Zen 6サーバーチップに集中するという姿勢を続けている。

Intelは1%のシェアを維持しているが、Battlemage世代のArc GPUは普及に苦しんでおり、存在感は事実上ゼロに近い。

AIB市場の縮小は、CPU市場にも波及する可能性がある。

JPRのレポートではCPU出荷は現時点で比較的堅調とされているが、メモリ価格の高騰はPC全体のコスト押し上げ要因であり、新規PCの購入やアップグレードを先送りにするユーザーが増加するとみられる。

米国のトランプ政権による輸入関税は、GPUを含むPC部品のコスト増を招いているが、JPRはこれをDRAM高騰ほどの主因とは位置づけていない。

ただし関税の水準は頻繁に変動しており、AIBパートナー各社が価格設定を安定させにくい要因の一つになっていることは確かだ。

NVIDIAはGeForce RTX 5000シリーズ(Blackwell)の投入を2024年末から順次進めているが、上位モデル(RTX 5070 Ti以上)は入手性の問題が指摘されており、転売価格が大幅なプレミアム(割増価格)で取引されるケースも報告されている。

こうしたプレミアム転売(スキャルピング)はAMDのRadeon RX 9000シリーズでも確認されており、実際の市場価格はMSRP(メーカー希望小売価格)から大きく乖離している状況だ。

市場の先行きに関して、JPRは現在のトレンドが続いた場合に「サブ500ドル(約7万円前後)のメインストリーム向けゲーミングPCセグメントが数年以内に実質消滅しかねない」との懸念を示している。

■解説

正直、94%という数字は「シェア競争」と呼べるレベルではないですよね。

ゲーミングGPU市場がほぼNVIDIA一社の独占状態になってしまっている。

AMDが2024年Q4に17%持っていたシェアが、1年でわずか5%まで溶けてしまったというのは、単純に価格性能比だけで説明できる話じゃなくて、エコシステム全体の問題だと思っています。

RDNA 4のRadeon RX 9070シリーズは、価格性能比で評価されたはずでした。

でもゲームの最適化は基本的にGeForceが基準になっていて、DLSSやレイトレーシング(RT)周りのエコシステムの強さはAMDとは比べ物にならない。

「同等のゲームが動くなら少し安いAMDで」という選択肢が成立する時代は、少なくともコア層のゲーマーには通用しにくくなっている、ということですね。

さらに追い打ちをかけたのがドライバのメンテナンスモード騒動で、これはタイミングが悪すぎました。

RX 6000なんてまだ4年経っていないのにサポートを縮小する姿勢を見せてしまったことで、「AMDのGPUはサポートが短い」というイメージが固まってしまった。

そして今のAIB市場最大の問題は、NVIDIAとAMDの競争よりも、DRAMショックの深刻さです。

AIデータセンター向けのHBM需要がコンシューマー向けGDDRの生産枠を食い潰している構図というのは、メモリメーカーが自分たちでは変えられない大きな力が働いていて、簡単には解決しない。

Micronが「2028年以前には解消しない」と公言しているのはかなり重い話で、個人的には2026年中の状況改善は期待できないと見ています。

「デスクトップPCへのアタッチレートが12.3ポイントも急落した」というJPRのデータは、要するに高すぎてみんな買い替えを先送りにしているってことで、それを示す指標としてかなり分かりやすい数字だと思います。

500ドル以下のメインストリームセグメントが実質的に消えつつあるという議論も現実味を帯びてきていて、ゲーミングPCが富裕層向けの贅沢品になりかねない方向に向かっているのは本当に困った話です。

AMDにとっては、アーキテクチャの質ではなく外部環境とブランド上の課題に埋没させられているという状況がもったいない。

RDNA 5次世代の勝負どころはフレームジェネレーション(FSR 4)と開発者エコシステムの巻き返しをどこまでできるかですが、まずDRAM市場が回復しなければ価格競争力の土台そのものが揺らいでいる、というのが今の構造的な問題だと思います。

NVIDIAにとってはこれ以上ない追い風が吹いている状況で、Blackwell世代の成功がBlackwell Ultra・Rubin世代へとつながるロードマップも順調に見える。

ただ、独占に近い状態が続けば競争圧力が下がって価格や技術革新のスピードが鈍化するリスクもあり、長期的にはゲーマー全体にとってマイナスだということは忘れてはいけない点だと思います。