■事実
Steamが2026年2月分のハードウェア調査(Steam Hardware Survey、https://store.steampowered.com/hwsurvey/Steam-Hardware-Software-Survey-Welcome-to-Steam)を公開した。
最も注目されるのはGPUシェアの劇的な変動で、NVIDIAのGeForce RTX5070が前月の2.87%からわずか1か月で9.42%へと急上昇し、首位に躍り出た。
変化率にすると約228%増という、Steam調査の歴史でも極めて異例の変動幅だ。
従来の首位であったGeForce RTX4060はシェアが7.46%と依然として高水準を維持しているが、RTX5070の急伸により2位に後退した。
3位にはGeForce RTX5060が続き、シェアは6.72%(前月比+4.22pt)を記録した。
RTX5060はBlackwellアーキテクチャの中で最も廉価な製品であり、VRAMは8GBを搭載する。
NVIDIAはVRAM不足を背景に現在RTX5060の供給を優先しているとされる。
RTX5060 Tiも4.28%(+2.71pt)と大幅に伸ばしており、BlackwellのGPUが軒並みシェアを拡大している。
RTX5080のシェアは前月の1.25%から1.66%へと増加した。
一方でAMDのRX9000シリーズは、先月の調査に初登場したにもかかわらず、今月の集計から姿を消す奇妙な状況となっている。
以下は2026年2月時点のGPUシェア上位20位(Steamハードウェア調査より):
| 順位 | GPU | FEB 2026 | 前月比 |
|---|---|---|---|
| 1 | NVIDIA GeForce RTX 5070 | 9.42% | +6.55pt |
| 2 | NVIDIA GeForce RTX 4060 | 7.46% | +3.10pt |
| 3 | NVIDIA GeForce RTX 5060 | 6.72% | +4.22pt |
| 4 | NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti | 5.60% | +2.86pt |
| 5 | NVIDIA GeForce RTX 3060 | 4.60% | +0.32pt |
| 6 | NVIDIA GeForce RTX 4070 | 4.58% | +2.47pt |
| 7 | NVIDIA GeForce RTX 5060 Ti | 4.28% | +2.71pt |
| 8 | NVIDIA GeForce RTX 4070 SUPER | 3.19% | +1.50pt |
| 9 | NVIDIA GeForce RTX 3070 | 2.93% | +0.66pt |
| 10 | NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti | 2.62% | +0.14pt |
| 11 | NVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPU | 2.45% | -1.54pt |
| 12 | NVIDIA GeForce RTX 3050 | 1.89% | -1.14pt |
| 13 | NVIDIA GeForce RTX 2060 | 1.73% | -0.18pt |
| 14 | NVIDIA GeForce RTX 5080 | 1.66% | +0.41pt |
| 15 | NVIDIA GeForce GTX 1650 | 1.64% | -1.11pt |
| 16 | NVIDIA GeForce RTX 3080 | 1.37% | -0.18pt |
| 17 | AMD Radeon(TM) Graphics | 1.36% | -0.91pt |
| 18 | NVIDIA GeForce RTX 5070 Ti | 1.27% | -0.23pt |
| 19 | NVIDIA GeForce RTX 3060 Laptop GPU | 1.24% | -0.80pt |
| 20 | NVIDIA GeForce GTX 1060 | 1.22% | -0.51pt |
| — | その他 | 約31.7% | — |
GPUシェアと同様に注目されるのが、システムRAMの搭載容量の変化だ。
32GBが全体の56.93%を占め、前月比約50%増という急激な伸びを見せた。
一方で16GBは約40%近いシェアから27.47%へと大幅に低下している。
32GBのDDR5メモリキットは現在350〜400ドル(約5万〜6万円)以上、プレミアム製品は500ドル(約7万5,000円)超で取引されている。
この急激な32GB比率の上昇は、メモリ価格がさらに高騰する前の「駆け込み購入」が広がっていることを示唆している。
なお今回の調査では、Windows 11のシェアが大幅に低下するなど、OSや言語の構成にも不自然な変動が見られた。
中国語(簡体字)ユーザーが前月比30.74%増という急増を記録しており、こうした急激な人口構成の変化がGPUシェアの数値に何らかの影響を与えている可能性は否定できない。
解説
正直なところ、「RTX5070が首位」という結果には驚きました。
ただし、この数字を額面通りに受け取っていいのか、個人的には少し慎重に見ています。
今回の調査では中国語ユーザーが前月比30.74%急増しているという異変も同時に起きており、人口構成の急変がGPUシェアを押し上げた可能性があります。
要するに、「中国市場でRTX5070を大量購入したユーザーがSteamに流入した」という解釈も成立するわけで、必ずしも全世界的なトレンドとは言い切れません。
AMDのRX9000シリーズが先月のデビュー直後に消えたのも、同じ文脈で見ると腑に落ちます。
ただ一点興味深いのは、RTX4060が7.46%と依然として健在であることです。
RTX5070が首位を取ったのはあくまでRTX5000系が急増したからであって、旧世代が崩壊したわけではない。
価格帯が異なる製品が並立しているという意味で、今のSteamユーザーの多様性がそのまま出ている結果だと思います。
一方でRAMの32GB化は本物のトレンドだと見ています。
メモリ価格の高騰が続く中で「今のうちに買っておこう」という行動が数字に出ており、これはGartnerが指摘したメモリ危機の影響がゲーマーの実際の購買行動にも波及している証拠です。
それにしても、32GBキットが5〜7万円という状況でこれだけ買われているのは、逆に言えば「それでも今買った方がマシ」という判断をしている人が多いということです。
RTX5060の3位浮上については、NVIDIAがVRAM不足を理由に供給を優先しているという事情が背景にあります。
8GBしか積んでいないエントリーモデルが6.72%という高いシェアを獲得している、というのは通常ではあり得ない展開で、これはNVIDIAのサプライチェーン戦略がそのまま調査結果に反映されている形です。
RTX5080がRTX5070 Tiよりシェアが高い理由も同じで、16GBのVRAMを持つ数少ない選択肢として市場での優先度が高まっています。
個人的に気になるのは次月の動向で、中国語ユーザーの増加が一過性のものなのか、継続するトレンドなのかによって、このGPUシェアの解釈が大きく変わります。
今月のデータはある種のノイズを含んでいる可能性が高く、来月以降のデータと合わせて見ていく必要があります。