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Snapdragon X2 Elite、ゲーミング性能は「希望」が見えるレベルに ― Hardware Canucksがプレビューテストを公開

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YouTubeチャンネルHardware Canucksが、Qualcommの次世代プロセッサ「Snapdragon X2 Elite」の早期パフォーマンスプレビューを公開した(https://www.youtube.com/watch?v=hlGrDZfeheA)。

テストに使用されたのはASUS Zenbook A14のプリプロダクション(量産前)モデルで、搭載チップはSnapdragon X2E-88-100。

これはX2 Eliteラインナップの中では18コアモデルの最下位にあたる。

ファームウェアとドライバはいずれもベータ版で、最終的な製品性能を保証するものではないと明確に断りが入っている。

なお、テストにあたってはASUS側に事前にCinebench 2024のスコアを提出し、期待通りの性能が出ていることを確認してもらった上で公開許可が下りたという経緯がある。

バッテリーテストは実施されていない。

最終版のファームウェアがまだ提供されておらず、バッテリー駆動時の電力最適化が未完成のため、正確な測定ができないというのがその理由だ。

ゲーミングテスト結果:前世代から大幅改善、ただし課題も明確

テストはすべて1200p解像度で実施され、比較対象は前世代のSnapdragon X1E-78-100(Lenovo Slim 7X、33W)、Apple M5(MacBook Pro 14、26W)、Intel Ultra X9 388H(ASUS Zenbook Duo、30W)、AMD Ryzen AI 9 HX 370(ASUS Vivobook S16、30W)、Intel Ultra 9 288V(Acer Swift 14 AI、30W)となっている。

Snapdragon X2E-88-100は31Wで動作している。

ゲームタイトル 設定 Snapdragon X2E-88 Snapdragon X1E-78 Apple M5 Intel Ultra X9 388H AMD Ryzen AI 9 HX 370 Intel Ultra 9 288V
Cyberpunk 2077 Medium, FSR 3 Perf 40.0 (18.4) 22.1 (15.9) 57.2 (31.1) 46.2 (34.2) 31.4 (27.5) 34.8 (29.4)
バルダーズ・ゲート3(Baldur’s Gate 3) Low 54.3 (47.0) 29.6 (25.5) 69.8 (49.1) 59.3 (53.8) 45.9 (35.7) 48.4 (45.0)
Counter-Strike 2 最高設定, 4xMSAA 113.3 (63.0) 86.5 (58.7) 非対応 188.7 (119.8) 132.6 (74.3) 142.8 (97.0)

※数値は平均fps(カッコ内は1% Low fps)。すべて1200p解像度。

Cyberpunk 2077では、X2 EliteはX1 Eliteの22.1fpsから40.0fpsへと約81%の向上を記録した。

AMD Ryzen AI 9 HX 370(31.4fps)やIntel Ultra 9 288V(34.8fps)を平均fpsで上回っている。

ただし、1% Lowが18.4fpsと極端に低く、他のすべてのプロセッサを下回っている点は見逃せない。

これはドライバやファームウェアの最適化不足によるフレームタイムのばらつきを示唆しており、体感的なスムーズさでは数字以上に不利な場面がありそうだ。

バルダーズ・ゲート3(Baldur’s Gate 3)では、X1 Eliteの29.6fpsから54.3fpsへと約83%の大幅向上。

1% Lowも47.0fpsと安定しており、Cyberpunk 2077とは対照的にフレームタイムの安定性も良好だ。

ただし、Apple M5の69.8fpsやIntel Ultra X9 388Hの59.3fpsには届いていない。

Counter-Strike 2では113.3fpsを記録し、X1 Eliteの86.5fpsから約31%の向上。

しかし、このタイトルではIntel Ultra X9 388Hが188.7fpsと圧倒的で、AMD Ryzen AI 9 HX 370(132.6fps)やIntel Ultra 9 288V(142.8fps)にも及ばない。

Apple M5はCounter-Strike 2に非対応のためテストから除外されている。

Snapdragon X2シリーズのラインナップ

X2シリーズは3nmプロセスに移行し、Orion CPUコアを大幅にアップデートした。

最大の構造変更は、従来のPrime(高性能)コアクラスターに加え、新たにPerformance(効率重視)コアクラスターを追加した3クラスター構成の採用だ。

12基のPrimeコアが2つのクラスター(各6基)に分かれ、さらに6基のPerformanceコアが日常タスクの処理を担当する。

GPU側では、新設計のAdreno X2を搭載。

処理コアが約50%増加し、キャッシュ容量の拡大、ハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシング(RT)サポートの強化、より高速なメモリアクセスが可能になった。

Qualcommは、Adreno X2のゲーミング性能がX1比で最大2.3倍に達すると主張している。

メモリ構成もモデルによって差別化されている。

最上位のX2 Elite Extremeは、Intelの Lunar Lakeと同様のオンパッケージメモリを採用し、192ビットバスによる6チャンネル構成で理論帯域幅228GB/sを実現する。

最大128GBまで対応可能だ。

通常のX2 EliteとX2 Plusはデュアルコントローラー構成で、オンパッケージまたは外付け(はんだ付けDRAM)の選択式となる。

以下に、X2シリーズの主要ラインナップを示す。

型番 コア数 Prime Perf Primeマルチ周波数 Perfマルチ周波数 ブースト周波数 キャッシュ GPU GPU周波数
X2 Elite Extreme
X2E-96-100 18 12 6 4.4GHz 3.6GHz 5.0/5.0GHz 53MB X2-90 1.85GHz
X2E-94-100 18 12 6 4.4GHz 3.6GHz 4.7/4.7GHz 53MB X2-90 1.85GHz
X2 Elite
X2E-90-100 18 12 6 4.0GHz 3.4GHz 5.0/5.0GHz 53MB X2-90 1.70GHz
X2E-88-100 18 12 6 4.0GHz 3.4GHz 4.7/4.7GHz 53MB X2-90 1.70GHz
X2E-84-100 12 6 6 4.0GHz 3.4GHz 4.7/4.7GHz 34MB X2-85 1.70GHz
X2E-80-100 12 6 6 4.0GHz 3.4GHz 4.4/4.4GHz 34MB X2-85 1.70GHz
X2E-78-100 12 6 6 4.0GHz 3.4GHz 4.0/4.0GHz 34MB X2-85 1.35GHz
X2 Plus
X2P-64-100 10 10 4.0GHz 34MB X2-45 1.70GHz
X2P-42-100 6 6 4.0GHz 22MB X2-45 0.9GHz

※X2 PlusシリーズはPerformanceコアクラスターを搭載せず、Primeコアのみの構成。セカンダリブースト周波数も省略されている。

ソフトウェア互換性の改善

初代Snapdragon X1 Eliteの最大の弱点だったゲームの互換性問題にも手が入っている。

Fortnite、Rainbow Six Siege、Robloxなど、カーネルレベルのアンチチートソフトウェアを使用する人気オンラインゲームが起動すらしなかった問題は、OSとドライバ側の刷新で対応済みとされる。

対応するアンチチートは、Epic Games Online Services(Easy Anti-Cheat)、BattlEye、Tencent ACE、Denuvo by Irdeto、Roblox、nProtect GameGuard、Uncheaterなど。

Qualcommは、最も人気のあるWindowsゲームの90%以上がX2シリーズで動作すると主張している。

また、GPUドライバの更新頻度も従来の四半期ごとから月次更新へと変更される予定で、新しいAdreno Control Panelアプリによるゲームごとの最適化設定も導入される。

CPU性能:ゲーミングの補足として

CPUベンチマークも参考として簡単に触れておく。

Cinebench 2024のシングルコアではX1 Elite比で約35%向上し、Qualcomm公称の39%にほぼ一致。

マルチコアでは約49%向上で、こちらも公称50%とほぼ合致している。

BlenderやHandbrakeといったCPUヘビーなワークロードでも、Intel、AMD、Appleの各競合を上回る結果が出ている。

ただし、これはあくまでCPU側の話であり、ゲーミングの体験全体を左右するのはGPU性能とソフトウェアの成熟度だ。

TDPと将来展望

QualcommはX2 Eliteシリーズの標準動作を20〜40Wに設定し、最大45Wまでの動作を想定している。

一方、X2 Elite Extremeは100W超での動作も可能な設計で、より高いTDPを許容するラップトップ向けに位置づけられる。

また、将来的にはディスクリートGPUとの組み合わせの可能性にも言及しており、PCIeレーンの接続自体は技術的に可能だとしている。

ただし、AMD・NVIDIA・IntelのGPUドライバとの連携にはメーカー間の協力が必要で、具体的な発表はまだない。

解説

正直なところ、このプレビューテストの結果を一言で表すなら「希望」ですね。

Hardware Canucks自身も動画の最後にまさにその言葉を使っていますが、的確な表現だと思います。

というのも、初代Snapdragon X1 Eliteのゲーミング体験は、はっきり言ってひどかった。

対応ゲームが少ない、動いてもフレームレートが低い、アンチチートで起動すらしない。

「Armプロセッサでゲーム?まあそんなもんでしょ」という評価が定着してしまっていたわけです。

それが今回、Cyberpunk 2077で40fps、バルダーズ・ゲート3で54fps。

X1 Eliteの倍近い数字が出ているのは素直にすごいことです。

ただ、手放しで褒められるかというと、まだ全然そこまでいっていない。

Cyberpunk 2077の1% Lowが18.4fpsというのは、プレイ中に明らかなカクつきが発生するレベルです。

平均40fpsと聞くと「まあ遊べるかな」と思いますが、定期的に18fpsまで落ちるとなると体感は相当厳しい。

これはまさに初代X1 Eliteから引きずっている「ハードウェアはいいのにソフトウェアが追いつかない」問題の象徴ですよね。

Counter-Strike 2の結果も象徴的で、113fpsという数字自体は悪くないんですが、Intel Ultra X9 388Hの189fps、AMD Ryzen AI 9 HX 370の133fpsと比べると見劣りする。

競技系タイトルではフレームレートがそのまま勝敗に直結するので、この差は無視できません。

個人的に一番気になるのは、テストに使われたのがX2E-88-100、つまり18コアモデルの最下位グレードだという点です。

最上位のX2 Elite Extreme(X2E-96-100)はGPUクロックが1.85GHzで、テスト機の1.70GHzより高い上に、192ビットバスのメモリ帯域も大幅に広い。

ここからどれだけ伸びるのかは未知数で、楽しみではあります。

あとはやはりソフトウェアの話に尽きます。

ドライバの月次更新への移行、アンチチート対応の拡充、Adreno Control Panelの導入と、仕組みとしては整いつつある。

でも初代でも「ソフトウェアは今後改善していく」と言って、結局1年半かけてようやくまともになった経緯がある。

今度こそ最初からちゃんとした状態で出してほしいですが、Microsoft側のWindows最適化も含めて不安要素は多い。

DRAM高騰の影響も気になるところです。

X2 Elite Extremeはオンパッケージメモリで最大128GBまで対応しますが、通常のX2 Eliteは外付けDRAMも選択肢に入る。

このメモリ不足の時代に、ラップトップ用のDDR5供給がどうなるかは見通せない。

総合的に見て、Snapdragon X2 Eliteは「薄型軽量ラップトップでゲームもそこそこ遊べる」ポジションを狙える初めてのArmプロセッサになりそうです。

ゲーミングPCの代替にはまだ程遠いですが、出張先や移動中に軽くゲームを楽しみたいという使い方なら、十分検討に値するレベルまで来ている。

ただし、製品版のドライバとファームウェアが出るまでは判断を保留するのが賢明です。

初代で「期待して買ったのに互換性で地獄を見た」人が少なくないですから。