AMDのKrackan Point APUは、メインストリームのRyzen AIオプションとして設計されており、より高速なLPDDR5Xメモリをサポートする見込みだ。
AMDのKrackan Point「Ryzen AI」APUはメインストリームプラットフォームを積極的に狙う: Zen5アーキテクチャ、RDNA 3.5、高速メモリ対応
AMDはPhoenixとHawk Point以降、モバイルCPUのポートフォリオを積極的に拡大しようとしており、Ryzen AI 300 「Strix 」シリーズに続き、Strix HaloとKrackan Point 「Ryzen AI」 APUの2つの異なるラインナップを投入する見込みだ。
仕様面では、AMD Krackan Point 「Ryzen AI」 APUは、電力効率に優れた動作を実現するZen 5およびZen 5cコアからなるモノリシック設計を採用し、搭載されるiGPUにはRDNA 3.5グラフィックスが搭載される。
レノボ・チャイナのプロダクト・マネージャー(Weibo経由)が公開した新情報によると、AMD Krackan Point「RyzenAI」APUは最大LPDDR5x-8000メモリ・ソリューションをサポートし、これまで謳われていた7,500MT/sを上回ることが明らかになった。
LPDDR5X-8000は、特にインテルのルナレイクCPUが最大LPDDR5-8533メモリをサポートすることを特徴としているため、嬉しい追加となるだろう。
AMDは次世代APUに一流の仕様を統合する計画で、Krackan PointはメインストリームユーザーにHawk Pointシリーズからの大規模な世代交代をもたらすだろう。
AMD Ryzen AI HX Krackan Pointに期待される機能
- Zen 5モノリシックデザイン
- 最大8コア(4x Zen 5 + 4x Zen 5C)
- 16 MBの共有L3キャッシュ
- 8 RDNA 3.5コンピュートユニット
- LPDDR5X-8000サポート
- 統合されたXDNA 2エンジン
- 最大50AI TOPS
- 2025年上半期発売
- FP8プラットフォーム (15W-45W)
AMDの次期APUは、特にAI PCやハンドヘルド機の領域で、スペックアップを通じてモバイル・セグメントを刷新する予定だ。チーム・レッドがStrix Haloシリーズと同時にKrackan Pointラインナップのリリースを計画していることを考えると、次期モバイルSoCは、市場のあらゆるセグメントをターゲットにした、
十分に装飾されたものになりそうだ。発売時期に関しては、Strix HaloとKrackanの両方が2025年以前に登場することはないため、CES 2025での発表がベストであることがわかる。
AMD Ryzen モバイル CPU:
CPU ファミリー名 |
AMD Sound Wave? |
AMD Bald Eagle Point |
AMD Krackan Point |
AMD Fire Range |
AMD Strix Point Halo |
AMD Strix Point |
AMD Hawk Point |
AMD Dragon Range |
AMD Phoenix | AMD Rembrandt |
AMD Cezanne |
AMD Renoir | AMD Picasso | AMD Raven Ridge |
ファミリー ブランディング |
未定 | Ryzen AI 400 | 未定 | 未定 | Ryzen AI 300 | Ryzen AI 300 | AMD Ryzen 8040 (H/U-シリーズ) |
AMD Ryzen 7045 (HX-シリーズ) |
AMD Ryzen 7040 (H/U-シリーズ) |
AMD Ryzen 6000 AMD Ryzen 7035 |
AMD Ryzen 5000 (H/U-シリーズ) |
AMD Ryzen 4000 (H/U-シリーズ) |
AMD Ryzen 3000 (H/U-シリーズ) |
AMD Ryzen 2000 (H/U-シリーズ) |
製造プロセス | 未定 | 4nm | 4nm | 5nm | 4nm | 4nm | 4nm | 5nm | 4nm | 6nm | 7nm | 7nm | 12nm | 14nm |
CPU コア アーキテクチャー |
Zen 6? | Zen 5 + Zen 5C |
Zen 5 | Zen 5 | Zen 5 + Zen 5C | Zen 5 + Zen 5C |
Zen 4 + Zen 4C |
Zen 4 | Zen 4 | Zen 3+ | Zen 3 | Zen 2 | Zen + | Zen 1 |
CPU 最大コア数 /スレッド数 |
未定 | 8/16 | 8/16 | 16/32 | 16/32 | 12/24 | 8/16 | 16/32 | 8/16 | 8/16 | 8/16 | 8/16 | 4/8 | 4/8 |
L2 キャッシュ (最大) |
未定 | 12 MB | 未定 | 未定 | 24 MB | 12 MB | 4 MB | 16 MB | 4 MB | 4 MB | 4 MB | 4 MB | 2 MB | 2 MB |
L3 キャッシュ (最大) |
未定 | 24 MB + 16 MB SLC |
32 MB | 未定 | 64 MB + 32 MB SLC |
24 MB | 16 MB | 32 MB | 16 MB | 16 MB | 16 MB | 8 MB | 4 MB | 4 MB |
最大CPU クロック |
未定 | 未定 | 未定 | 未定 | 未定 | 5.1 GHz | 未定 | 5.4 GHz | 5.2 GHz | 5.0 GHz (Ryzen 9 6980HX) |
4.80 GHz (Ryzen 9 5980HX) |
4.3 GHz (Ryzen 9 4900HS) |
4.0 GHz (Ryzen 7 3750H) |
3.8 GHz (Ryzen 7 2800H) |
GPU コア アーキテクチャー |
RDNA 3+ iGPU |
RDNA 3.5 4nm iGPU |
RDNA 3+ 4nm iGPU |
RDNA 3+ 4nm iGPU |
RDNA 3.5 4nm iGPU |
RDNA 3.5 4nm iGPU |
RDNA 3 4nm iGPU |
RDNA 2 6nm iGPU |
RDNA 3 4nm iGPU |
RDNA 2 6nm iGPU |
Vega Enhanced 7nm |
Vega Enhanced 7nm |
Vega 14nm | Vega 14nm |
最大GPU コア数 |
未定 | 16 CU (1024 コア) |
12 CU (786 コア) |
2 CU (128 コア) |
40 CU (2560 コア) |
16 CU (1024 コア) |
12 CU (786 コア) |
2 CU (128 コア) |
12 CU (786 コア) |
12 CU (786 コア) |
8 CU (512 コア) |
8 CU (512 コア) |
10 CU (640 コア) |
11 CU (704 コア) |
最大GPU クロック |
未定 | 2900 MHz | 未定 | 未定 | 未定 | 2900 MHz | 2800 MHz | 2200 MHz | 2800 MHz | 2400 MHz | 2100 MHz | 1750 MHz | 1400 MHz | 1300 MHz |
TDP (cTDP Down/Up) |
未定 | 15W-45W (65W cTDP) |
15W-45W (65W cTDP) |
55W-75W (65W cTDP) |
55W-125W | 15W-45W (65W cTDP) |
15W-45W (65W cTDP) |
55W-75W (65W cTDP) |
15W-45W (65W cTDP) |
15W-55W (65W cTDP) |
15W -54W (54W cTDP) |
15W-45W (65W cTDP) |
12-35W (35W cTDP) |
35W-45W (65W cTDP) |
発売時期 | 2026? | 2025? | 2025? | 2024H2? | 2024H2? | 2024H2 | 2024Q1 | 2023Q1 | 2023Q2 | 2022Q1 | 2021Q1 | 2020Q2 | 2019Q1 | 2018Q4 |
ソース:wccftech – AMD’s Mainstream Krackan Point “Ryzen AI” APUs To Support LPDDR5X-8000 Memory
解説:
AMDのKrackan Point APUの情報がリークしました。
AMD Krackan Point APUはStrix Pointの下に位置するAPUです。
Strix Pointがハイエンドとするならば、Krackan Pointはメインストリームになるのでしょう。
- CPUコアはZen5+Zen5C
- コア数/スレッド数は8/16
- GPUコアはRDNA3+
- GPUコア数は12コア768SP
となります。
Phoenix Pointの仕様とよく似ており、実質的にはこちらが後継モデルといってもよいと思います。
APUの複数展開が意味するもの
Zen4世代のAPUとZen5世代のAPUのラインナップを比較してみます。
Zen4世代
- Phoenix
- Phoenix2
- Hawk Point
Zen5世代
- Strix Point
- Krackan Point
- Strix Halo
このうちHawk PointはPhoenix Pointのアップデートですから、除外します。
今まで2つのSKUでカバーしていたラインナップを3つのSKUでカバーし、6コア/12スレッドのPhoenix2に相当するモデルが存在しませので、より上位のセグメントをカバーするようになったということです。
そのうえで最新の演算ユニットであるNPUを内蔵していますので今AMDが一般向けで一番力を入れているセグメントであるといってもよいと思います。
※ 事業的に一番力を入れているのはMI300シリーズだと思います。
次世代のBald Eagle PointはGPU用の専用キャッシュを内蔵していますので、iGPUの性能はかなり上がるでしょう。
そういったことまで考えるとAMDの戦略は数が出る中位から下位のグレードをAPUでカバーしてNVIDIAに対して数の優位を取り、圧倒的に劣勢なdGPU市場を性能がせりあがってくるAPUの優位性で覇権を目指すという風に読み取れます。
鍵を握っているのはCopilot+で売り出し中のARM
今年鳴り物入りで登場したSnapdragon Xシリーズは残念ながら価格が高いため売れ行きが芳しくないとのこと。
Snapdragon XはARMのIPを使っておらず独自に実装しています。
そのためARMから訴訟を起こされるとされており、マイクロソフトはそれを嫌って来年はNVIDIAのARM SoCをSurfaceに採用するとされています。
NVIDIAのARM SoCはMediatekのARMコア+Geforce iGPUの組み合わせでしょう。
これがAmpereになるのかAdaになるのかBlackwellになるのかは不明ですが、AIで独走中のNVIDIAのGPUが内臓されるとなればそれだけでプレミアがつくのは確実です。
AMDはSound WaveでSurfaceへの採用を目指していたとリーク情報では伝えられていましたが、残念ながらとん挫した形になります。
来年のGeforce Surfaceがどのような旋風を巻き起こすのか、ちょっと予想が付きません。
Sound Waveが出る前に死産してしまった忌子になるのか、それともAMDもARM版Windows向けにそのままSound Waveを出すのかなかなか難しい判断といえると思います。
いずれにしても来年はPCにとって大きな転換点になると思います。
来年Geforce Surfaceが大ヒットすれば、このまま一気にx86が占めている市場を塗り替えてしまうかもしれません。
マイクロソフトにとってクローズドなIPであるx86はあまりメリットがないのかもしれません。
去年の末以降、モバイル向けにも関わらずAPUの情報を増やしていますが、おそらく2-3年後、一般向けのゲームはゲーム機ではなくAPU搭載のゲーミングPCになっているのでは?とわたくしは感じています。