インテルは、最新のAI NPUとBattlemage “Xe2 “GPUコアを搭載し、第3四半期に発売される次世代CPU Lunar LakeをComputexに先駆けてプレビューした。
Intel Lunar Lakeが次世代の薄型軽量AI PCプラットフォームの基準を設定する: 新CPUコア、40%高速化したAI NPU、Battlemage「Xe2」GPUなどを搭載
インテルはComputex 2024での発表に先立ち、次世代CPU「Lunar Lake」のプレビューを報道陣に公開した。
同社は、Lunar Lake CPUが次世代のAI PCプラットフォームの基盤となることを明らかにし、2024年第3四半期に発売を予定しており、すでに生産ウェハーを稼働させていることを明らかにした。
Lunar Lakeの詳細に入る前に、インテルはコードネームMeteor Lakeと呼ばれる第1世代の「Core Ultra 100」CPUラインアップが700万個以上を出荷したと述べている。
この青い船は、Meteor Lake、Arrow Lake、Lunar Lakeの各CPUを通じて、2024年末までに4,000万ユニットを出荷するという目標を達成し、最終的には2025年までに1億ユニット以上を出荷することを確信している。
インテルMeteor Lake CPU自体は、AI強化セキュリティ、Client-Optimized LLM、Local Personal Assistantsなどを含むインテルの「AI PC」プラットフォームにより多くの経験と最適化がもたらされ、開発者サイドで絶大な評価を得ている。
これらの長期的な目標は、Arrow Lake、Lunar Lake、Panther Lakeなどの次世代CPUプラットフォーム上で強固なAI PC体験を提供することである。
インテルLunar Lake CPUは、あらゆる面で全く新しいアーキテクチャで出荷されます。新しいCPUコア、新しいGPUコア、そして新しいNPUコアが搭載され、これらすべてが3Dパッケージング技術と電力革新における最新のイノベーションによって実現されている。
主な変更点には、最新のLion Cove PコアとSkymont Eコアの利用が含まれ、IPCの向上が期待される。
インテルは、新しいP/E CPUコアの性能とIPCの数値について話すにはまだ少し早すぎるが、評価中であり、より多くの情報がすぐに共有されるだろうと述べている。
同社はまた、これらのコアをよりよく管理するために強化されたThread Directorとともに、新しいCPUコアによる「大幅な」IPCとperf/wattの向上についても述べている。
GPU面では、インテルはコードネーム「Battlemage」と呼ばれる全く新しいXe2 GPUアーキテクチャを追加する。
これは長い間待ち望まれていたもので、Lunar Lakeは統合グラフィックス・ソリューション向けに設計されたXe2-LPG設計を活用する最初のCPUとなる。
この全く新しいグラフィックチップの最大の利点は、AI用のインテルXMXエンジンが追加されたことだ。
現在、Meteor Lakeチップに搭載されているIntelのXe-LPG iGPUは、DP4aアクセラレーションを使用しており、第1世代のXMXエンジンを利用していないが、Lunar Lakeでは、XMXアクセラレーションだけでなく、第2世代のXMXコアも利用できるため、より高速なパフォーマンスが可能になる。
NPUの面では、インテルのLunar Lake CPUは、Core Ultra “Meteor Lake “チップに搭載されている既存のNPUが11TOPSであるのに対し、NPUだけで45TOPS以上を実現することができ、3倍以上のAI性能を追加している。
以下は、インテルのMeteor LakeとLunar LakeのTOPSの内訳である:
- Lunar Lake (GPU/NPU / 合計) – 60+45= 105 AI TOPS
- Meteor Lake (GPU/NPU / 合計) – 19+11= 30 AI TOPS
計算すると、Lunar LakeのGPUはMeteor LakeのGPUの3.15倍のブーストを提供し、Lunar Lake NPUはMeteor Lake NPUの4.09倍のブーストを提供する。
しかし、AI特有のタスクに関しては、GPUとNPUがほとんどの力仕事をこなすことを念頭に置く必要がある。
Lunar Lake CPUはまた、500以上のモデルで最適化を可能にする一方で、混合精度や他のいくつかのデータタイプをサポートする。
性能評価に使用されたチップは、4+4構成(4つのPコアと4つのEコア)の初期サンプルであった。
このチップには2つのSKUがあり、1つはPL1が17W、もう1つはPL1が30Wでした。
Lunar Lakeはオンパッケージメモリを採用しており、このサンプルではシングルランクのLPDDR5メモリが使用されていた。
Lunar Lake-MX「Core Ultra 200V」チップは、最大32GBのオンパッケージ・メモリ容量を提供することがわかっている。
リファレンス性能は、インテル・フィルモア・ピーク接続を使用し、eDP 1.4、PSR2、LRR2.5機能を備えた14インチ2880×1800パネルを搭載していた。
インテル Core Ultra 200V “Lunar Lake” CPU SKU(暫定):
CPU 名 | アーキテクチャー | コア数/ スレッド数 |
GPU コア数 | オンパッケージ メモリ |
NPU | TDP |
Core Ultra 7 2XX |
Lion Cove + Skymont | 4+4 (8/8) | 8 Xe2 (Battlemage) | 32 GB | 3x Meteor Lake | 7-15W |
Core Ultra 7 2XX |
Lion Cove + Skymont | 4+4 (8/8) | 8 Xe2 (Battlemage) | 16 GB | 3x Meteor Lake | 7-15W |
Core Ultra 5 238V |
Lion Cove + Skymont | 4+4 (8/8) | 7 Xe2 (Battlemage) | 32 GB | 3x Meteor Lake | 7-15W |
Core Ultra 5 234V |
Lion Cove + Skymont | 4+4 (8/8) | 7 Xe2 (Battlemage) | 16 GB | 3x Meteor Lake | 7-15W |
インテルはまた、Meteor Lake(Core Ultra 7 165U)、AMDのRyzen 7 7840U/8840U、次期Snapdragon X Eliteチップに対するLunar Lake CPUの初期性能の数値も公開している。
AI TOPSでは、Lunar Lake CPUはStable Diffusion 15でSnapdragon X Eliteより約40%速く、グラフィックス性能では、Lunar Lake Battlemage “Xe2” GPU(17W)は3DMark Time SpyでMeteor Lake Alchemist “Xe1” GPU(15W)より50%向上し、CPUコア性能はRyzen 7 8840UとSnapdragon X Eliteより「より速い」という。
これらすべてのテストにおいて、インテルは自社と競合他社のAI PCプラットフォームで、電源プランを「バランスモード」、電力モードを「最高の電力効率」、パフォーマンスモードを「最高のパフォーマンス」に設定したという。
さて、電力の数値に目を移すと、インテルはLunar Lake CPUに全く新しい「Advanced Low Power Island」を搭載し、Ryzen 7 7840UとRyzen 7 8840Uチップに対して30%、Snapdragon 8cx Gen3チップに対して20%の電力削減を実現した。
これらすべてのテストにおいて、インテルは自社と競合他社のAI PCプラットフォームで、電源プランを「バランスモード」、電力モードを「最高の電力効率」、パフォーマンスモードを「最高のパフォーマンス」に設定したという。
さて、電力の数値に目を移すと、インテルはLunar Lake CPUに全く新しい「Advanced Low Power Island」を搭載し、Ryzen 7 7840UとRyzen 7 8840Uチップに対して30%、Snapdragon 8cx Gen3チップに対して20%の電力削減を実現した。
Intel モバイルCPUラインナップ:
CPU ファミリー | Panther Lake | Lunar Lake | Arrow Lake | Meteor Lake | Raptor Lake | Alder Lake |
製造プロセス (CPU タイル) |
Intel 18A | Intel 20A | Intel 20A | Intel 4 | Intel 7 | Intel 7 |
製造プロセス (GPU タイル) |
TSMC 3/2nm? | TSMC 3nm? | TSMC 3nm | TSMC 5nm | Intel 7 | Intel 7 |
CPU アーキテクチャー |
Hybrid | Hybrid | Hybrid (Four-Core) | Hybrid (Triple-Core) | Hybrid (Dual-Core) | Hybrid (Dual-Core) |
Pコア アーキテクチャー |
Cougar Cove | Lion Cove | Lion Cove | Redwood Cove | Raptor Cove | Golden Cove |
Eコア アーキテクチャー |
Skymont? | N/A | Skymont | Crestmont | Gracemont | Gracemont |
LP Eコア アーキテクチャー (SOC) |
Skymont? | Skymont | Crestmont | Crestmont | N/A | N/A |
最高の構成 | 未定 | 4+4 (MX Series) | 未定 | 6+8 (H-Series) | 6+8 (H-Series) 8+16 (HX-Series) |
6+8 (H-Series) 8+8 (HX-Series) |
最大コア数/ スレッド数 |
未定 | 8/8? | 未定 | 14/20 | 14/20 | 14/20 |
計画された ラインナップ |
H/P/U シリーズ | Vシリーズ | H/P/U シリーズ | H/P/U シリーズ | H/P/U シリーズ | H/P/U シリーズ |
GPU アーキテクチャー |
Xe3-LPG (Celestial) |
Xe2-LPG (Battlemage) |
Xe-LPG (Alchemist) |
Xe-LPG (Alchemist) |
Iris Xe (第12世代) |
Iris Xe (第12世代) |
GPU 実行ユニット数 |
未定 | 64 EU | 192 EU | 128 EU (1024 コア) |
96 EU (768 コア) |
96 EU (768 コア) |
サポート メモリ |
未定 | LPDDR5X -8533 |
未定 | DDR5-5600 LPDDR5-7400 LPDDR5X – 7400+ |
DDR5-5200 LPDDR5-5200 LPDDR5-6400 |
DDR5-4800 LPDDR5-5200 LPDDR5X -4267 |
メモリ容量 (最大) |
未定 | 32 GB | 未定 | 96 GB | 64 GB | 64 GB |
Thunderbolt ポート数 |
未定 | 未定 | 未定 | 4 (TB4) | 4 (TB4) | 4 (TB4) |
WiFi 対応世代 |
未定 | WiFi 7 | 未定 | WiFi 6E | WiFi 6E | WiFi 6E |
TDP | 未定 | 17-30W | 未定 | 7W-45W | 15-55W | 15-55W |
発売時期 | 2025H2 | 2024H2 | 2024H2 | 2023H2 | 2023H1 | 2022H1 |
解説:
LunarLakeの情報がリーク。
まずわたくしはLunarLakeに関しては懐疑的です。
理由はやはりSnapdragon X EliteやAppleのM3などに対して後手後手に回っていると感じるからです。
LunarLakeとArrowLakeは省電力がLunarLake、従来と同様の路線がArrowLakeとx86が弱いといわれているモバイルPCに搭載するために作られたCPUです。
メモリはオンパッケージ(CPUのパッケージ上に実装)されるので、ノートPCのマザーボード上にメモリを実装する必要がありません。
省電力性が高く、マザーボードを簡素にすることができます。
AppleのMシリーズも同様のパッケージになっています。
その代わり後からメモリを増設することはできません。
LunarLakeはモバイルから組み込み(携帯ゲーミングPCのような)に向けた用途を想定しているのでしょうから、妥当な仕様だと思います。
Intelの説明では、CPU性能ではSnapdragon X EliteやPhoenix Pointを上回り、iGPUではAlchemistを50%上回っているという説明がなされています。
このウリがLunarLakeの弱点をそのまま表していますので、わたくしがLunarLakeに感じる懸念をそのまま以下に説明します。
まずCPU性能ではSnapdragon X EliteやPhoenix Pointを上回っていると説明されていますが、モバイル機器に関して求められているのは省電力性であって、効率がウリとされていないのは大きなマイナスだと思います。
もともとx86は省電力性を無視した絶対の性能では歴史的にARMに勝ってきています。
LunarLakeが志向するセグメントで求められるのは効率であって絶対性能ではありません。
もちろん性能が高いことに越したことはありませんが、バッテリーの持ちが遥かにSnapdragonに劣っていたら意味がないです。
iGPUではAlchemistを50%上回っているということですが、比較対象がSnapdragon X EliteとPhoenix Pointになってないところにちょっと不安を感じます。
Snapdragon X Eliteはモバイルノートで、Phoenix Pointは携帯ゲーミングPCでそれぞれ強いです。
しかし、LunarLakeはどちらも狙っているような感じでどちらにも不安があります。
省電力性でARMに勝っていると思いっきり喧伝できないところが、モバイルノートとして使うときに不安を感じますし、ゲーミングGPUとして散々な評価だったAlchemistと比較しているところに携帯ゲーミンPCとして使うときに不安を感じます。
省電力性や効率に関しては正直、実機で比較してみない限りは評価不能だと思います。
ノートPCのバッテリーの持ちというのは評価するのがそれほど難しい項目であり、多くの人の手にわたって評価を受けない限り絶対的な評価をするのは不可能だと思います。
同じCPUを搭載していても、筐体の排熱性能やバッテリーの容量などメーカーが違うだけで性格がガラリと変わることがあります。
しかし、ARMとx86が使われてきた用途を考えるとこの点はかなりx86が不利であるとわたくしは予想しています。
携帯ゲーミングPCに関しては言わずもがなです。
すでにAlchemistを使ったことがあるかたならば、ゲームに対する安定性というものがいかに重要で評価を上げるのが難しい項目なのかわかっていると思います。
昨年Starfieldが出たばかりの時期にAlchemistが動作環境に入っていなかったのは記憶に新しいと思いますし、衝撃を受けたものと思います。
現在でも公式のシステム要件の中にIntelのdGPUの名前はありません。
現物を持っていませんのでARC A700シリーズできちんと動作するのかどうかを確認することができませんが、性能はシステム要件を上回っていても、公式の動作要件に入っていないということがゲーミングGPUに何が必要なのかということを端的に表していると思います。
何度も繰り返し書いていますが、ゲーム用のドライバというものはある程度まで最適化が進むとあとは個別のゲームに対するノウハウの集合体になります。
それはいいままでどの程度真剣にゲームの世界にコミットしてきたかというのが問われる形になります。
この点において業歴の浅いIntelは先行2社にかなうものではありません。
こうしたことを考えると、LunarLakeのGPU性能がいくら高く、拡張性がほぼ0の携帯ゲーミングPCに使われたとしても積極的に選ぶ気にはなれないなとわたくしは思います。
省電力性とゲームに対する安定性、この2点において現時点では抜きんでたものを感じません。
この点がLunarLakeに不安を感じる理由です。
あとは発売後に実力で証明するしかないでしょう。