Threadripperが僅差で勝利した。
NvidiaのGraceサーバーCPUとAMDのThreadripper 7980XおよびThreadripper Pro 7995WXの39のテスト比較は、NvidiaのArmベースのチップがAMDの強力なチップに遠く及ばないことを示している。
このベンチマークはPhoronixの提供によるもので、3つのCPUをさまざまなLinuxアプリケーションでテストした。
Phoronixは、Grace-Hopper GH200を搭載したGPTshop.aiのワークステーションをテストした。
Grace-Hopper GH200は、Grace CPUとHopperベースのH200 GPUの両方を搭載している。Grace CPUは72コア、480GBのLPDDR5Xメモリを搭載し、Armアーキテクチャをベースにしている。
個々のGraceチップは単独では販売されておらず、GH200のようなCPUとGPUのコンボデバイスや、ダブルチップのGrace Superchipにのみ搭載されている。
対照的に、Threadripper 7000は複数のモデルを備え、最大1TBのDDR5を搭載できる。
39の個別テストが行われたが、PhoronixはGraceが64コアの7980Xと96コアの7995WXに対してどの程度優れていたかを測定するための総合的なパフォーマンス指標を含めなかった。
しかし、各CPUの勝敗を集計したところ、最終的にGraceは17のテストで7980Xに、15のテストで7995WXに勝った。
つまり、Graceは勝ったテストよりも負けたテストの方が多く、総合的な性能は考慮されていないものの、Graceも遅れをとっていると思われる。Phoronixはまた、同じGraceワークステーションをAMDのEpycサーバーCPUとテストした。
これはGraceにとって素晴らしい結果とは言えないが、この状況下ではそれほど悪いものではない。
Threadripper 7000は多くの利点を享受している:多くのアプリはArmではなくx86のみに最適化されており、Threadripper 7000は効率重視のGraceチップよりもはるかにアグレッシブなクロック速度を持ち、はるかに多くのL3キャッシュを搭載している(7980Xは2倍以上、7995WXは3倍以上)。
ここでの比較は完全に公平ではないかもしれない。
結局のところ、Graceはサーバー用に設計され、効率に重点を置いているのに対し、Threadripperは最大限のパフォーマンスを引き出す正真正銘のワークステーション用チップだ。
NvidiaはGrace CPU単体のTDPを公表しておらず、Phoronixも公表すべき電力データを入手していない。
しかし、Grace SuperchipのTDPは500ワットであり、Graceが1つだけでも250ワット以上のTDPを持つことを示唆している。
比較のため、7980Xと7995WXの定格電力は350ワットであり、Graceがより効率的であることを意味しているのかもしれない。
Graceはまた、効率という点ではインテルのSapphire Rapidsと比べても遜色ない。
今月初めのベンチマークでは、Nvidiaのサーバー用CPUは生の性能ではIntelに負けているが、効率に関しては逆転していることを示している。
ソース:Tom’s Hardware – Nvidia Grace falls short of Threadripper 7000 in head-to-head Linux benchmarks
解説:
nVIDIAのGraceは性能ではThredripperに及ばず。
という実にArmらしい話題が出ていたので取り上げてみます。
圧倒的な高利益を叩き出し、世界中で注目を浴びるnVIDIAですが、利益の源泉の一つであるGrace-HopperのCPU部分に関してです。
ベンチマークでThredripperと比較したところ、テストではThredripperのほうが勝っているテストが多かったとのこと。
Thredripperはワークステーション用のCPUであり、シングルとマルチができるだけ高い数値が出るように出荷時に設定されているため、当然といえば当然です。
対してGraceはサーバー用のチップのため、並列動作させてリソースを分配し、フェアユースされることを重視されるCPUですから、シングルスレッド性能よりもマルチ性能に重点が置かれています。
また、運用コストも比較の際に求められますので、効率も重視されます。
それらを考え合わせると、サーバーではこれらの比較はあまり意味をなさないと思います。
おそらく、Graceと同じアーキテクチャーでワークステーション向けに調整された製品があるとしたらほとんど変わらない性能があるのではないかと思います。
AppleがM1/2/3を出してきたとき、マイクロソフトは慌ててWindowsが動作するSnapdragonを出してきましたが、モバイルやサーバーにはデスクトップやワークステーションにはあまり求められていない効率というものが重視されます。
そして、効率の点ではx86はArmに勝つことは非常に難しいです。
それはモバイルのバッテリー持続時間に極端に現れますので、WindowsマシンもArmを搭載せざるを得なかったのでしょう。
来年からモバイルでWindows Armが発売されますが、バッテリーの持続時間が極端に伸びることになると思います。
リソースを多く持つIntelはLunarlakeをモバイル用CPUとして準備していますが、これはモロにArm対策と言ってよいでしょう。
Intelが用意する以上、Armに匹敵する効率があるのかもしれません。
あとはその条件で性能がどこまで出せるかですね。
こればかりは実物を見ないと何とも言えません。